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恋愛結婚学研究所恋愛結婚学研究所

2017.11.01

婚活関連サービス市場予測2017下半期

2017年も婚活関連サービス市場では、各企業、行政機関および地方自治体によるさまざまな活動があり、新しいサービスが展開されてきました。恋愛結婚学研究所と共同で、2017年度上半期の婚活・恋愛関連市場の総括と2017年度下半期の予測をしましたので、ご報告します。

 

【2017年度上半期の婚活・恋愛関連市場】

 

1関連指標の推移

 

①生涯未婚率

総務省統計局『国勢調査報告』により算出した、人口統計資料集(2016)によると、2010年時点での、50歳時点での未婚率(生涯未婚率)は、男性20.14%、女性10.61%。
2015年の『国勢調査報告』によって算出した、2015年の未婚率は、男性23.4%、女性14.1%でした。生涯未婚率は今後も同様の伸び率で上昇を続ける見込みであり、婚活支援サービスの必要性は一層増すと想定されます。

②出生率

6月2日に厚生労働省が発表した2016 年の人口動態統計(速報値)によると、1人の女性が生涯に何人の子どもを産むのかを推計した合計特殊出生率は1.44となり、2年ぶりに悪化しました。
合計特殊出生率は、2005(平成 17)年には過去最低である 1.26まで落ち込んだ後、近年微増傾向が続いていましたが、少子化に歯止めがかかったとは全く言えない状況です。

 

2婚活関連サービス(※1)上場企業の業績推移

 

婚活関連サービスを提供する、上場企業が上半期に公表した業績推移は下記の通りです。

 

【株式会社IBJ】(※2)

2015年12月期 売上高 4,123百万円 営業利益 843百万円
2016年12月期 売上高 5,268百万円 営業利益 1,111百万円
2017年度12月期(予想)売上高 9,259百万円 営業利益 1,281百円

 

【パートナーエージェント株式会社】(※3)

2016年3月期 売上高 3,644百万円 営業利益 445百万円
2017年3月期 売上高 3,812百万円 営業利益 204百万円
2018年3月期(予想)売上高 4,649百万円 営業利益 405百万円

 

【株式会社ツヴァイ】(※4)

2016年2月期 売上高 3,890百万円 営業利益 146百万円
2017年2月期 売上高 3,763百万円 営業利益 50百万円
2018年2月期(予想)売上高 3,800百万円 営業利益 60百万円

 

【株式会社リンクバル】(※5)

2015年9月期 売上高 1,772百万円 営業利益 264百万円
2016年9月期 売上高 2,144百万円 営業利益 294百万円
2017年9月期(予想)売上高 2,667百万円 営業利益 380百万円

婚活関連サービス事業を営む上場企業各社は、概ね増収傾向にあります。

 

3子育て支援関連の予算推移

 

国家予算の中で婚活関連サービスに関連する、内閣府の地域少子化対策強化交付金の交付金額の推移を調査しました。
地域少子化対策強化交付金は、「我が国の危機的な少子化問題に対応するため、結婚・妊娠・出産・育児の一貫した「切れ目ない支援」を行うことを目的に、地域の実情に応じたニーズに対応する地域独自の先駆的な取組を行う地方公共団体を支援する」予算です。
2015年度は、25億円(補正予算25億円)、2016年度は45億円(当初予算5億円・補正予算40億円)と推移しました。(※6)(※7)

地方自治体での婚活サポート事業としては、2001年度から開始された茨城県の「いばらき出会いサポートセンター」が全国での先駆けとして知られています。
2016年度の展開例として、長野県に10月オープンした「長野県婚活支援センター」などが挙げられ、市町村や県が本腰となって婚活支援に力を入れています。

2017年度当初予算では、これまでの成果をもとに、「①結婚支援や、②結婚、妊娠・出産、子育てに温かい社会づくり・機運の醸成の取組について、これまでの自治体の取組から発掘された優良事例の横展開を支援する」という名目で、575百万円となっております。(※7)

 

4婚活関連サービスの利用動向推移

 

リクルートブライダル総研は、2016年に結婚した人の11.3%が婚活関連サービスを用いて結婚しているとの調査結果を発表しました。(※8)
2016年に結婚した人の11.3%は婚活サービスで相手を見つけており、年々増加傾向とのこと。
婚活サービスによって結婚した人の割合(婚姻年別)の推移は、既婚者ベースで、4.7%(2013年)→6.7%(2014年)→8.3%(2015年)→11.3%(2016年)でした。
また、婚活サービスに対するイメージと考え方について、若年層ほど、ポジティブなイメージを持っていることも調査結果から示唆されています。

 

サービス別の利用動向

 

①婚活パーティ・恋活パーティ

大手結婚相談所を含む各社が婚活パーティ事業に参入しています。株式会社IBJの2016年度のイベント動員数は約50万人と2015年度の38万人から大幅に増加しまいた。(※9)

パートナーエージェントによると、2017年3月期の婚活パーティ『OTOCON』の年間参加者数は136,491人と前年比111.7%増と倍増となりました。(※10)

非上場会社では、婚活パーティで9年連続総参加人数ナンバーワン(※11)である、株式会社エクシオジャパンが運営する婚活パーティブランド『エクシオ』は2015年の参加者数が462,915人、2016年が462,108人とほぼ横ばい。

株式会社シャン・クレールが運営する、設立23年となる老舗の『シャンクレール』は2015年の参加者数が303,888人、2016年が422,836人と大幅な増加でした。(※12)

上記から婚活パーティ・恋活パーティの参加者数自体は増加傾向にあることが示唆されます。

 

②結婚相談所

上場企業各社の新規年間入会者数の推移は、各企業の発表によると、

株式会社IBJ
12.3万人(2015年度)⇒13.3万人(2016年度)(※9)

株式会社パートナーエージェント
9,085人(2016年3月期)⇒8,663人(2016年3月期)(※13)

株式会社ツヴァイ
12,291人(2015年度)⇒11,302人(2016年)(※14)

と、各社によって成長の差が現れる結果となりました。

また、株式会社IBJが運営する日本最大級の結婚相談所ネットワーク、「日本結婚相談所連盟」に加盟する相談所数、登録会員数は2015年末の1,128社、56,753人から、2016年末の1,325社、58,422人とともに増加しております。(※15)

 

③マッチングアプリ

国内最大級のマッチングアプリ、エウレカ株式会社の運営する『Pairs』のユーザー数推移(※16)は、2012年11月リリース以降、増加を続け、2014年6月に会員数100万人突破、以降200万人突破(2015年2月)、300万人(2015年10月)、400万人(2016年5月)、そして1月23日には、500万人を突破しました。

また、株式会社ネットマーケティングが運営する『Omiai』は2017年6月末現在、226万9千人(※17)、サイバーエージェントグループの株式会社マッチングエージェントが運営する『タップル誕生』も2017年2月に会員数が200万人を突破しました。(※18)

 

④相席系居酒屋・相席系店舗

株式会社セクションエイトが全国に70店舗(※19)を運営する「相席屋」に代表される、相席系の居酒屋が次々と店舗数を増やしています。
相席系居酒屋を訪問する客層は、男女ともに20代・30代の層が中心となっていますが、最近ではより幅広い年齢層の方が利用するようになっています。
現在はそういった幅広い顧客のニーズを反映し、顧客層の年齢を高めに設定し、高級感を特徴にした店舗や、居酒屋形態だけではなく、カフェスタイルや、ラウンジ、バー系などさまざまなタイプの出店がされています。

 

【2017年度下期以降の市場予測】

前項を踏まえ、2017年度下期以降の婚活関連サービス市場を下記の通りに予測します。

 

①市場概要

生涯未婚率・結婚率の指標が低迷を続けており、いまなお改善を要求されていること、そして、関連サービスの利用者数が伸長し続けていること。さらに、政府が重要課題として多くの予算を計上していること。この3点から、サービス提供機会はさらに拡大すると予想され、民間企業および地方自治体による婚活関連サービス市場は、2017年度下期も拡大する見込みです。

 

②婚活関連サービスのトレンド

各社公表のサービス利用者数等の指標から、「結婚相談所」「婚活パーティ」「恋活パーティ」「マッチングアプリ」の既存サービス利用者は堅調に増加し、2017年度も主要な出会いの手段として利用されると予想しています。

「結婚相談所」については、各社の会員数や業績に差が出始めており、集客やマーケティング力、特に各相談所の強みを婚活希望者に訴求できるかがポイントとなるでしょう。

「婚活パーティ」については、開催回数・参加者数はさらに増加すると想定され、婚活の手段としてさらに身近なものになるでしょう。事業者間の競争が強まり、サービスのクオリティ担保や、登録者の属性・イベント内容の差別化が事業者の優劣を分ける要素となるでしょう。

「マッチングアプリ」については、利用者が引き続き増加しており、各社から新しいマッチングアプリが次々とリリースされています。2017年度も出会いの手段として、より一層浸透することが予想されます。各サービス間の競争が強まり、今後はマッチング率・成婚率等の効果が問われるフェーズになるでしょう。

「相席系居酒屋・相席店舗」について事業者間の競争は激しさを増し、利用者の層やニーズに応えるために新たなジャンルや業態の店舗が次々と登場するでしょう。

若年層を中心に婚活サービス利用に対する抵抗が薄れ、婚活関連サービスの浸透度が高まっています。一方で、各サービスを提供する企業間での競争が強まり、および各婚活サービス間での利用者の奪い合いが厳しくなるものと予想されます。

各社、既存顧客層のシェア確保が目下の大きな課題ですが、40代以降の層およびシニア層など、婚活サービスの浸透が不十分な層へのリーチも残された課題であると言えます。

 

(文責・恋愛結婚学研究所長 新上 幸二)

 

(注)
※1 婚活関連サービスとは、「結婚相談所」「婚活パーティ」「恋活パーティ」「マッチングアプリ」を指す
※2 株式会社IBJのIR(http://www.ibjapan.jp/ir/)より引用。2015年度は単体、2016年度以降は連結。
※3 株式会社パートナーエージェントのIR(http://www.p-a.co.jp/)より引用
※4 株式会社ツヴァイのIR(http://www.zwei.co.jp/ir/library.html)より引用。単体の数字を引用。
※5 株式会社リンクバルのIR(http://linkbal.co.jp/ir/library/)より引用
※6 内閣府説明資料より抜粋
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/tihousousei_setumeikai/h28-01-14-siryou14.pdf)
※7 平成29年度少子化対策白書より抜粋
(https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/201611d.pdf)
※8 ブライダル総研の調査資料より引用
(http://bridal-souken.net/data/konkatsu/konkatsu2017_release.pdf)
※9 株式会社IBJの決算説明資料より引用
(http://www.ibjapan.jp/ir/ir-data/meeting/2016/20170214.pdf)
(http://www.ibjapan.jp/ir/ir-data/meeting/2016/20160212.pdf)
※10  株式会社パートナーエージェントの有価証券報告書より引用
(http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=yuho_pdf&sid=2538177)
※11 エクシオサービスサイトより引用 (https://www.exeo-japan.co.jp/)
※12 シャンクレールのニュースリリースより引用
(https://www.2400.co.jp/topics/2017.html)
(https://www.2400.co.jp/topics/2016.html)
※13  株式会社パートナーエージェントの決算説明会資料より引用
(http://www.zwei.co.jp/ir/library/2016/0420.pdf)
※14 株式会社ツヴァイの決算説明会資料より引用
(http://www.zwei.co.jp/ir/library/2017/0413_01.pdf)
※15 株式会社IBJの有価証券報告書より引用
(http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=yuho_pdf&sid=2347772)
(http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=yuho_pdf&sid=2505459)
※16 株式会社エウレカのPairsサービスページより引用(https://eure.jp/service/pairs/)
※17 株式会社ネットマーケティングの月次IRニュースより引用
(http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS06701/df76f8a1/b03d/44e2/87ee/06468099cdcf/140120170707426997.pdf)
※18 株式会社マッチングエージェントのホームページより引用(https://www.matchingagent.co.jp/)
※19 株式会社セクションエイトのプレスリリースより引用
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000024054.html)

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