同じ映像と考えられる番宣があったので、BShiとBSプレミアムで比較してみよう。BSプレミアムの新番組番宣であれば大量に流れるだろう・・という期待はその通りだったけれど、見た目には同じ映像でも編集過程が微妙に異なるらしく、放送されるタイミングによって特徴が異なるなど局間に比較には不向きな例が多かったため、都合のよいデータの確保に時間がかかった。元が同じ映像であれば見た目には大差ないようにも思えるけれど、この比較では同じ局でも差が出てしまうのでできるだけよい条件の映像を探した上での比較です。
上
局:BSプレミアム
放送日:2011/04/03
下
局:BShi
放送日:2011/03/28
映像はBSプレマップ、新日本風土記の番宣の一つ。今回はアニメは関係ありません。
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60iで撮影された実写映像だけど、山と森の遠景でほとんど静止したカット中のフレームの分布を見てみる。こちらはBSプレミアム。
BShiでも大きめの分布で鮮明映像だけど、BSプレミアムでは横の伸びが少しよくなり、絵で見ても細部の潰れが減りより鮮明になっている。この映像自体は元は横1440なのだけど、それなのに結構差がある。ということは、エンコーダだけの問題ではなく、余分なリサイズが発生するような局内伝送での劣化など複数の要素が影響していたと思うけれど、BShiは横1920放送だったのに1440映像の鮮明さすら表現できていなかったようだ。
絵として細部を比較してみると、森の木々の枝など細い線もBShiより鮮明になっているけれど、そのような細かい描写よりも精細な特徴のない山の岩肌のような目立たない部分のディテールがプレミアムではよく残るようになったようだ。気付きにくいような部分でも情報を切り捨て過ぎることがなく、全体に引き締まった緻密な映像に向上した。
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こちらはBshiの同じフレーム。BShiも荒れた感じはなく、枝のような細かい部分は僅かにボケているもののよく残っている。上で触れた通り、山とか雲のような境界のはっきりしないところの方が情報が大きく削られていてBSプレミアムと比較するといかにも圧縮しました、という感じの絵になっていた。以前からBShiの静止画画質はそれ程悪くないと感じていただけに、BSプレミアムの情報量の多い絵と比較した落差に今更ながら驚く。目が悪いだけ、と言われればその通りだけど。
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次に、圧縮に非常に厳しい動きの部分を見てみる。動きながら撮影する桜+映像効果としてフェードアウトするカットの途中のフレームを比較。
こちらはBSプレミアム。動きのある細かい映像がさらにフェードアウトで明るさも変化するという動画圧縮にはイジメのような部分なので、BSプレミアムでも大量にノイズが発生してしまい、そのノイズ成分が周囲に明るく見えている。
これだけ見ると、頑張ったところで放送の限界それほど高くない、という印象になってしまうけれど、BShiとの比較で見るとそれほど悲観するような状態でもなさそう。
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同じフレームのBShi。
BSプレミアムより、周囲が少し黒くなっているけれど、圧縮劣化がノイズというよりほとんどブロックに近くなり、ディテールをほとんどく失った結果、細かいノイズすら存在しない絵になってしまっただけ。
BSプレミアムでは上下隅が明るくなっているのに対し、BShiではかなり暗くなっているけれど、この映像は60iで撮影されているのでフレームで見た時は常にコーミングがあるわけで本来上下に縞の影響の分布がはっきり出る方が理想。BShiではほとんどの部分がブロックノイズ化して縞の情報を失ってしまったために上下隅の部分が暗くなってしまった、という表現の方がこの差の説明にふさわしいだろう。
この比較自体ひじょーに分かりにくく、とってつけたような説明も説得力もないけれど、キャプチャ画像があれば目で見た比較は誰でもできるので、ここはあに瓶らしく、いつもの手法で比較してみました。
回りくどい言い方になったけれど、動きの少ない絵でも圧縮に厳しい部分もBSプレミアムではBShiより情報がよく残るようになっていて、BShiでは度々発生していた大規模な破綻は出にくくなったと考えてよさそうだ。この傾向はもちろんここで比較したフレームに限らず、BSプレミアムの画質は精細になり、かつ安定感も向上と着実な進化を遂げている。
逆に、BShiよりBSプレミアムの方が若干ノイズが多いと感じる映像もあるけれど、鮮明な放送になったことで圧縮でノイズが増えたというより、今までは潰れて見えなかったものが見えるようになったという要素の方が強く影響している気もする。鮮明化=好印象になるとも限らないし放送画質の調整もいろいろと考えた結果なのだろう。
絶賛するような凄さはないけれど個人的には新NHKBS画質は期待以上の出来で、アニメに限らず今後の放送に期待したいところ。