UNIX的なアレ

UNIX的なこととかいろいろ

日本のエンジニアの地位をあげるために

日本のITはなぜ弱いのか? 日米でこんなに違うプログラマーの扱い - まぐまぐニュース!

確かにその通りで、やはりエンジニアは言われたものを作る職業という認識をされているケースが多いです。最近のエンジニアが主体となったベンチャー企業などでは変わってきているとはいえ、業界の割合でいえばごく一部といえると思います。

上記の記事にもある通り、サラリーマン経営者による個人の責任を極限まで減らした意思決定を行いそれによってプロジェクトが遂行されることが正義とされてしまうと、どうしてもエンジニアとしてのクリエイティビティを出すチャンスは減らされてしまいます。これに対してどう向き合えばいいのかを考えてみました。

なお、英語学んで海外に行けばいいじゃないかという個人にフォーカスした視点はいれません。

IT人材の人数は2019年がピーク

IT人材の育成(METI/経済産業省)

こちらのデータを見る限り、2019年にIT人材の人数はピークとなりそれ以降の平均年齢は上がり続けるという傾向にあります。一方で需要は増え続けるわけで国内におけるIT人材の需要と供給のバランスが今まで以上に崩れていくという予測がたっています。

このように人材不足が発生する見通しとなっており、この不足分を供給するには国外の人材に頼るしかないわけですが、このままだと社会における母数が減ってしまうエンジニア出身の人間が経営や意思決定に関わる可能性がより減ってしまうということが数値上にも起きてしまいます。

エンジニアの地位を上げるには

しかし、意思決定のレイヤーに関わる人にはエンジニア出身の人が増えれば業務そのものが変わってくるでしょう。ここでいうエンジニアとは「新卒の頃に研修でJava書いたことがあるとかで昔おれはSEやってたんだぜ」とか言い張る変なおじさんのことではありません。ちゃんと前線でコードを書いて開発をしていた人のことを指しています。

そしてそういったエンジニア出身の意思決定者を増やすにはどうすればいいか。シンプルなことでエンジニアの総数を増やすのが一番良いと思っています。単純に幹部候補生となる人材の候補にエンジニア出身の人がいるということが重要だからです。

もっと全体のレベルをあげる対策をという考え方もありますが採用・育成をしていた経験上、まずレベルのトップラインは勝手に伸びていきます。どちらかというと、数を増やした上でボトムのレベルをどこまで上げていくのかというのが大事な論点になるかと。

プログラミングの義務教育化による変化がどこまで起きるのかはわかりませんが、ボトムのレベルを上げるという観点は大事かと思っています。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/2016_zentaihombun.pdf

ロールモデルの不在

わかりやすいロールモデルの不足というのはあります。確かに業界を引っ張っている有名なエンジニアの方は沢山います。しかし、エンジニアからみたロールモデルであり、これからエンジニアを目指す人からみたらロールモデルとしてはいまいちイメージするのが難しい。あまりにも遠すぎるし、高尚すぎる。

そのため必要となってくるのが、わかりやすいロールモデルです。これからエンジニアを志望する可能性があるだろう人に向けたロールモデル。そういった人が出てくることで、これからの若い層が目指すエンジニア像というものが少しは具体的になってくる可能性があると思っています。例えばそれが、メディアでよく見かける有識者とかすごい金持ちみたいな、俗っぽいことでもいい。そういった扱いが表に出ることが大事だと思っています。

マクロ的視点でみる

当然、こういうことを言うとレベルが低い層ばかりふえてうんちゃらみたいな話になりがちです。しかし、確実に潜在的にIT人材に向いている人はいますし、実際に就業してからその楽しさに気付く人もいる。

自分自身の周囲というミクロな環境に限っていえば当然、そんな層が増えたら困るのはわかっています。一方で、マクロな観点でいうとエンジニアになりたいだろう人材の母数が増えその中から一部の優秀な人材が生まれてくると考えるのであれば、母数を増やすということは非常に大切なことです。

そしてさきほども書きましたが、ミクロな環境における不幸をなくすためにもボトムのレベルを上げるという施策は必須になってきます。

できる施策や方向性はいろいろある

対策としてできることは1つではないと思っています。実際に、技術のトップラインを支え続け産業のレベルを上げ続けている人達は心から尊敬していますし、その活動自体本当に素晴らしいと思っています。

一方で私自身が興味があり、自身でとりくみたいと思っている方向がまさにこのあたりです。様々な方向から日本のIT産業を支える必要があるのではないでしょうか。