正社員、契約社員、1日8時間週4日以上のアルバイト、会社と雇用契約を結ぶ際には福利厚生として社会保険に加入することができます。
会社からすれば、一定の労働条件を満たす従業員を社会保険に加入させることは義務です。
その社会保険の加入に、マイナンバーの提出が必須になりました!!
健康保険組合は組合によってマイナンバーの提出が後からでも加入は可能なようですが、雇用保険にはマイナンバーがないと加入すらできません。
入社日まで遡って加入はできるにしても、早めに加入手続きを済ませておきたいですね。
そんな時のためのマイナンバー確認方法をお伝えします。
社会保険とは
まずは、「給与から毎月天引きされているもの」くらいの認識しかない社会保険について簡単に説明します。
社会保険は
- 医療保険
- 年金保険
- 介護保険
この3つを指します。
医療保険は会社で所属している健康保険組合に所属することで、「病院で保険証を見せれば3割負担で医療行為を受けられる」あれです。
年金保険は厚生年金のことを指します。年金受給の際には、働いている期間分の厚生年金が上乗せで支給されることになります。
介護保険は40歳以上の人は加入必須です。介護が必要になった時、訪問介護や老人福祉施設の利用などの各種サービスを受けられます。
これとは別に、雇用保険というものがあります。雇用保険は主に「働けない」時に効果を発揮する保険で、加入していれば失業中や育休中などに給付金を受け取ることができます。
その他にも教育訓練給付や介護休業給付などがあり、従業員の雇用の安定と促進を目的としています。お世話になったことのある人も多いのではないでしょうか。
労働保険としては、労災保険というものもあります。これは従業員がお金を払うものではないのですが、業務中や通勤中の事故・災害によって生じた病気、ケガ、傷害、死亡に対して保証が出ます。
給与から天引きされているものは?
給与から天引きされているのは、健康保険と厚生年金と介護保険(3つセットで社会保険)、雇用保険、あとは所得税です。所得税は所得に対してかけられている税金なので、社会保障には特に関係ありません。まぁ、税金なので国家補償を受けるためのお金といえばそうなのですが……。
社会保険加入の条件とは
まずは社会保険加入の条件を確認しましょう。
社会保険は、事業主や従業員の「入りたい」「入りたくない」の意思に関係なく、加入が義務付けられています。加入していないと法律違反なのです。
- 事業主を含む従業員1人以上の会社、国や地方公共団体などの法人
- 常時使用の従業員が5人以上いる、一部の業種を除く個人事業所
条件を満たす事業所は、社会保険の強制適用事業所となります。
例外となるのは、常時使用の従業員が5人未満の個人事業所や、5人以上の個人事業所でも理美容業、飲食業などのサービス業、農林漁業などの場合です。
ただ、これらの事業所も一定条件をクリアし、申請を行えば社会保険を適用させることができます。
正社員・契約社員
上記のような事業所に所属する場合、下記の人々は社会保険への加入が必須となります。
- 法人企業の代表者
- 取締役員
- 正社員
- 試用期間中の従業員
- パート・アルバイト ※条件あり
- 外国人従業員
これらの人たちは問答無用で加入となります。
社会保険加入のメリットについてちょこっと説明
「問答無用」「強制」と言われると「え〜…加入したくない…」と思う人も出てくるのですが、社会保険は入れるなら入っておいた方がお得です。なぜなら、会社に所属している間は社会保険料の半分を会社が支払ってくれるからです!!
フリーランスや自営業者は、社会保険料は全額負担になります。地味に大きいのです。
そもそも社会保険に加入しない方法はないの?
ありません。
会社で所属している健康保険組合に入らない場合には国民健康保険に加入することが必須ですし、厚生年金を支払わなくても国民年金の支払いが必須です。
雇用保険は雇用されていなければ加入する必要はありませんが、子供を産んだあとの育休期間に給付金が出るか出ないかは家計に大きな影響を与えます。
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健康保険と任意の医療保険について
もしもの時のために医療保険に加入する人は多いと思いますが、実は健康保険のサポートもかなり手厚いものがあります。
1ヶ月以内で100万円の医療費がかかってしまったとしても、3割負担の時点で30万円まで下がるのはもちろん、個人の所得金額に合わせて1ヶ月間の医療費の上限が決まっているので、自己負担は5〜10万円程度に収まったりするのです。
それくらいの金額なら、毎月5,000円の医療保険を掛け捨てするより普通に貯金できそうですよね。
アルバイト・パート
アルバイト・パートの場合には「1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、同じ事業所で同じ業務を行っている正社員など一般社員の4分の3以上」である場合に、社会保険加入必須となります。
なお、平成28年10月からは
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 勤務期間1年以上またはその見込みがある
- 月額賃金が8.8万円以上
- 学生以外
- 従業員501人以上の企業に勤務している
場合にも社会保険に加入することができるようになりました。
しかしながら、年収150万円を超えない場合には配偶者の扶養に入った方がお得、など色々あります。
マイナンバー
社会保険について確認ができたところで、マイナンバーについて見ていきましょう。
平成27年から配布が始まったマイナンバーは、個人の社会保険の加入状況や収入状況、住んでいるところやなんやかんやをスッキリ管理するために誕生したものです。
実際全然実用化されていないですが。
マイナンバーカードは、プラスチック製のICチップ付きカードで券面に氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバー(個人番号)と本人の顔写真等が表示されており、本人確認のための身分証明書として利用できるほか、自治体サービス、e-Tax等の電子証明書を利用した電子申請等、様々なサービスに使用できます。
通知カードの発行方法
通知が開始した時には、「住民登録のある住所」に「本人か家族の受け取り必須」で通知書が送られてきていましたが、「前の家から住民票移動してなかった!」なんて人や住所不明の人たちの手元に通知カードが届かないという事件が続出しました。
面倒なのでそのまま放置してしまったという人も多いのではないでしょうか?
重要なマイナンバーの「通知カード」というからにはしっかりしたものが届くのかな? と思っていた人も多いはずですが、届いたのはペラペラで色素も薄めな頼りない紙1枚でした。
免許証のようにしっかりとしたカードを発行するためには別途申請が必要で尚更面倒です。なお、今は暫定的にこの通知カードでも確定申告などに使用できていますが、正式には
通知カードは、マイナンバーの確認のためのみに利用することができる書類です。一般的な本人確認の手続きにおいて利用しないようお願いします。
とされています。
通知カードをまだ一度も受け取れていない人は
住民票の登録状況だったり、郵送期間に不在にしていたりで通知カードを受け取れていない人はお住いの市区町村へ相談に行きましょう。
通知カードを再発行する方法
通知カードを紛失した場合、通知カードの再発行は可能です。
ただし! 再発行はかなり面倒です。まずは警察にて遺失届を提出する必要があります。
遺失届の提出時に発行される受理番号の控えをもち、お住まいの市区町村窓口にて通知カードの再発行の手続きをとります。
- 警察の受理番号
- 運転免許証などの本人確認書類
- 手数料500円
この3つが必要です。
外出時に通知カードを紛失し、不正利用などが心配される場合には番号を変えることも可能です。
マイナンバーカードの発行方法
マイナンバーの発行はWEBからもできます! でも受け取りは必ず市区町村の窓口というクソ仕様です……なぜ、郵送しない……。
- 郵送による申請:マイナンバーカードの交付申請書にご本人の顔写真を貼り、送付用封筒に入れて郵便ポストへ
- スマートフォンによる申請:スマートフォンで顔写真を撮影し、所定のフォームからオンラインで申請
- パソコンによる申請:デジタルカメラで顔写真を撮影し、所定のフォームからオンラインで申請
- まちなかの写真機からの申請:申請書を持参して、申請可能な証明用写真機で顔写真を撮影して申請
交付時に発行される交付通知書に記載された交付場所に、交付通知書と通知カード、本人確認書類を持っていくと、マイナンバーカードを受け取ることができます。
マイナンバーカードの再発行
マイナンバーカードを紛失したら、マイナンバーの不正利用を防ぐためにまずはマイナンバーカードの機能停止手続きを行います。クレジットカードと同じような扱いですね。
機能停止は個人番号カードコールセンターへ電話を!
0570-783-578 (全国共通ナビダイヤル)
・平日8時30分~20時00分
・土日祝9時30分~17時30分
(年末年始 12月29日~1月3日を除く。)
・マイナンバーカードの紛失、盗難などによる一時利用停止については、24時間365日受け付け。
その後、警察に行って遺失届を提出し、その時に発行される受理番号の控えを持ってお住いの市区町村窓口へ……
急ぎでマイナンバーだけ知りたい時の裏技
とにかく面倒なマイナンバーの通知カードやマイナンバーカードの発行・再発行。
そんなことやってる暇はない! 転職先にいますぐマイナンバーを提出しなければならない!! そんな時の裏技があります。
それは、住民票を発行する時に「マイナンバーも載せてください」とお願いすること。
住民票の発行依頼書にマイナンバー記載のチェック項目がある時にはその項目にチェックを入れる、なければ窓口で依頼する。
基本的に役所の人に「いいえ、載せられません」というような拒否権はありませんので、こちらが希望すれば載せてもらえます。
ただ、取り扱いが厳重なものなので「載せなくてもいいんじゃないですか…?」と言われることはあるようです。そんな時は「社会保険加入のためにどうしても必要なんです……」などなど伝えると良いかと思います。
まとめ
社会保険の手続きをする側からすれば、マイナンバーがないと手続きが止まってしまうなんて本気で面倒くさいです。従業員の皆さんも、番号がわからない時には少なくとも住民票の発行が必要になるわけで……。
手間が増えて困りますが、これが馴染んでいって全ての手続きが楽になる未来がやってくることを信じて、対応していきたいと思います。
マイナンバーに関する情報は公式サイトでもしっかり確認を。