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NASA月観測衛星、JAXAの「SLIM」にレーザー照射–将来の月着陸の目印に
2024.08.09 18:45
米航空宇宙局(NASA)は米国時間7月29日、月観測衛星「LRO」による宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月探査機「SLIM」との実験内容を公開した。
LRO(Lunar Reconnaissance Orbiter)は2009年6月に打ち上げられた探査機で、高度50kmから月を観測している。SLIM(Smart Lander for Investigating Moon)は2024年1月に月面へのピンポイント着陸を実施した探査機で、3回の「越夜」に成功したが、現在は活動を停止している。
SLIMには、クッキーほどの大きさで光を反射する「Laser Retro-reflector Array(LRA)」が搭載されている。LROはLRAを狙って、上空からレーザーを照射。最初の8回は狙いを外したものの、5月24日の実験でLRAを捉えることに成功した。
LROは2023年12月にも同様の実験を行っており、インド宇宙研究機関(ISRO)の「Chandrayaan-3」の月着陸機「Vikram」にレーザーパルスを照射し、LRAからの応答を記録している。
NASAによると、電源もメンテナンスも不要と言うLRAは、月面で何十年も使用できるため、将来のミッションに信頼できるビーコンを提供できるという。
LRAは、例えば、暗闇の中で「Artemis」の着陸機を月面に誘導するなど、宇宙飛行士や宇宙機がその近くに着陸するのを助けるために、すでに月面にある宇宙機の位置を示すことができると説明する。
LROに搭載されている月軌道レーザー高度計(Lunar Orbiter Laser Altimeter:LOLA)は、現段階で月を周回する唯一のレーザー機器だが、月面へのミッションに備えるために月の地形をマッピングするように設計されているという。
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NASA発表