「情熱大陸」爆笑問題・田中裕二の全発言

16日のTBS系(毎日放送制作)「情熱大陸」で、爆笑問題・田中裕二の密着ドキュメントが放送されました。「情熱大陸」放送600回記念企画として、2週連続で爆笑問題が出演するんです。来週23日は太田光編が放送されます。

爆笑問題の2人はテレビに毎日のように出ていて、プライベートは丸裸に近い。特に田中は病気も結婚も離婚も、なんだか全部だだ漏れです。ましてやレギュラーのラジオ番組「爆笑問題カーボーイ」や「日曜サンデー」(ともにTBSラジオ)などでもプライベート情報を毎週かなり話しています。

とはいえ、万人がラジオを聞いてるわけじゃない。「日曜サンデー」だってローカル番組です。そこで今回は「情熱大陸」が長い密着取材をもとに、田中の様子を全国ネットの30分番組でかっちり伝える。いい機会になりました。

情熱大陸ディレクターからのインタビューに応じた伊集院光によると、田中は密着取材中に「猫かわいい」と「巨人強い」しか言わない、と困っていた様子。いったい最終的に田中裕二はカメラの前でどんな発言をしたのでしょう?

田中のほぼ全発言を書き起こします。



・楽屋でリラックスムードの田中

♪ギミギミ

※MAX「Give me a Shake」を陽気に口ずさむ。
「爆!爆!爆笑問題」(TBS系)でMAXと共演した前後でしょうか


・車中取材にて

僕はね、太田とはうまくいってないんですよ、実は

※このわりと衝撃的な発言の続きは後ほど


・家から仕事場に移動する朝の車中にて

朝刊はサンスポ、夕刊は東スポ。これはもうバカみたいに何年もずーっとそうですね。(紙面に目を通しながら)巨人強いっすよ


・「雑学王」(テレ朝)収録中にトチる

今日は芸能人10人に競っていただきまして、えー、"通答"正答率"……? 通算"正答率! 通算ですよね

※スタジオで出されるカンペの間違いをそのまんま読んだ
太田「わかるでしょ?こいつカンペ読んでるだけなんですよ!カンペが間違えば自分も間違う!」


・車中取材にて。
ディレクター「ふだん、どうやって自分を磨いてらっしゃる?」

ふだん磨いてないですね、なんにも。磨く? 俺はね、ほぼ、ほぼ運ですよ。ほとんどが。いやだから、おれはホントそういう人生だから、自分で切り拓いた感はまったくないんですよね


・「爆笑問題カーボーイ」(TBSラジオ)収録スタジオにて
太田「田中はほんとに形だけで『ボクも働いてます』みたいな」

アッハッハ(笑)


・「ニッポンの教養」(NHK総合)収録現場にて
太田「おまえ(田中)なんかさ、ウソばっかだよね」

アッハッハ(笑)


・楽屋前で「情熱大陸」の取材を拒否する田中
ナレーション「田中が不意に我々のカメラを遮った」

密着……。ここで、ちょっと、すいません

※楽屋の扉を閉じて取材班のカメラを拒否。なんだか田中らしからぬ行動。ものものしい。いったいウーチャカになにが……? その暗部がこのあと明らかになる


・↓それから一時間後。田中のいる楽屋に入ってみると……

今終わりました。はい。「ヴィクトワールピサ」ってのが今、断トツ一番人気。これがやっぱ強いんですよ!

※田中が取材をシャットアウトしたのは、なんと競馬の予想に集中するためだった!


・取材拒否について

真剣ですよ! だってそりゃ。この状況(カメラ向けられた)だったらできないですもん。ぜんぜん頭に入んないもん

※「日曜サンデー」内で競馬コーナー持ったりしてるから、仕事っちゃ仕事なんですけどね


※12年前、1998年の「情熱大陸」VTRが紹介される
当時の田中が漫才のネタ作りについて解説していた

結局ここまで作ってもぜんぶボツ。そんなの、そっち(ボツ)のほうが多いくらいです


・↓あれから12年が経ち、現在のネタ作り風景。太田の自宅にて
ディレクター「よろしくお願いいたします」

お願いします。いま帰ってきたところです、ちょうど。(ネタ帳を見ながら)最近のニュースとかね。「パワースポット」


・12年前のネタ作りとの違いは、PC導入でネタが綺麗にプリントアウトされること

前は手書きで。ハハハ(笑)

太田「どんどん年を追うごとに(田中の)仕事が楽になっていく」


・太田と簡単にネタ打ち合わせした後でその内容を取材班に説明

……みたいな感じで(笑)、いろいろこう、おもしろきゃ、今のは本当にアドリブなんで、ま、そんなようなことを繰り返して、やって、それでこうメモって

太田「10発中1個は当たるか当たらないか」
※「12年前と同じ説明……」とテロップ


・ネタ作りの一部始終を見たいディレクター
「こっからどう組み立てられるか観察していいですか」

ムリ!それムリです

太田も「それ絶対ムリ」


・国立演芸場での漫才披露後、楽屋にて。
太田「漫才はツッコミまで全部決める。このツッコミをしろと。あとは台本どおりやるだけ。それは本当に(田中が)100パー間違ったツッコミをするから」

アハハハハ(笑)。90パーくらいだと思うよ?


・ディレクター「田中さんのすごいところは?」
太田「考えないところですかね。『またゼロに戻った』ってのが毎回あるんですよ。そのゼロに戻れることがすごいなってつくづく思う」
ディレクター「毎回真っ白な画用紙になれるみたいな?」

だから寝付きはいいんですよ。本当にいいんですよ

太田「まったく悩まないんですよコイツは」


・車内にて。太田との関係性を語る

僕はね、太田とはうまくいってないんですよ、実は。うまく付き合ってはない。それほんとそうなんです。太田は的確なツッコミをしてくれる人が大好きだから、たとえばネプチューン名倉なり、くりぃむしちゅー上田なりのほうが、太田とうまく付き合ってるんですよ。で、オレはたまに気づかないとか間違ったりするんで、(太田が)イラッとしたりするんですね


・↑発言を受けてディレクターが「田中さんの果たしてる役割もあると思います」

ゼロとは言いませんけれども。たとえばそうですね、だから太田とずっと一緒にやってたら、めんどくさくなっちゃう人もいるだろうし、オレもたまにあるからね。あと、いろんな考えを持つ相方だと、ぶつかると思うんですよ。オレは本当に何も考えないで平気な人間なので、そのへんはひとつありますよね


・「サンデージャポン」(TBS系)本番前に台本を読み込む田中

いや、一応流れだけ


・サンジャポ本番終了後
ディレクター「司会進行のコツみたいなのってあるんですか?」

(首を横に振りながら)ないですよ(笑)。ないですよ。遊んでるだけ、みたいな

ナレーション「かわされた」


・車中にて。ディレクターからもう一度問われる
「司会進行のコツは本当に無いんですか?」

なんにも思い浮かばないんだよなー、そのコツとか。みんなプロだから、なんか喋ってくれるのね。別にオレがなにか引き出そう! とかしなくても、みんなね、プロだから。(司会は)誰でもできる感じ。ノート写すのとそんな変わらない


・スペシャルドラマ「サザエさん2」(フジ系)にノリスケ役で出演する田中。その休憩中に自己分析

器用貧乏的なところはあるかも知れない。学校の成績でもオール4みたいな


・空き時間にカツオ役の子役と並んで背くらべ

(身長が)もうすぐ、もうすぐだもの。もうギリギリでしょ。時間の問題だもの


・楽屋で「TVぴあ」を読んでいると
ワカメ役の子役にイタズラっぽく椅子を揺らされる

なーんだよ!

※子どもと自然に戯れる


・休日に芸人仲間と草野球。後輩の瞬間メタル・山口の服装にツッコむ

ヤクザじゃねーかよおまえ! 野球? これ


・後輩に「久々にこの天気で野球ができるのがいいですね」と話しかけられて

ね!


・ディレクター「(試合中に)マイクつけます?」

ムリだろ! マイクはつけません! マイクつけたら(野球)できないでしょ! 別に「情熱大陸」優先じゃないですから!


・ピッチャー田中。イニングを終えてベンチに帰りながら

ショートに飛んだら安心安心

※守備が堅いんでしょうか


・バッターボックスのねづっちが際どいボールに苦戦してるのをベンチで見ながら

うわー、これムリ! ムリ! 今のはいい球だよ!


・ねづっちがデッドボール

あーっ! おぃ! ねづっち大丈夫か!ハハハ(笑)


・引き続きねづっち「デッドボールだけに『しきゅう』(死球&至急)一塁に行きます」

"しきゅう"一塁に! かけました! (手を叩きながら)ハハハ(笑)


・チャンスにライト前へタイムリーヒットを放つ

(一塁上で黙ってガッツポーズ)


・駆け出し時代に腕を磨いたライブハウス「La.mama(ラママ)」を再訪
新人コント大会のポスターを見て

あ、(自分たちが)いるじゃん


・ラママでインタビュー。爆笑問題が売れない頃、田中はコンビニでバイトしていたが、太田は働いていなかった。ディレクター「太田さんに『働けよ』とは思わなかった?」

あ、それはね、思わないんですね。「働けるわけない」っていうのはオレも思ってましたんで。毎日時間どおりに行くとか。(太田は)普通の仕事とかできないです。興味のあることしか、ちゃんとできないです、太田は。僕はできます。たとえば明日からふつうの青果店(※)で働きなさいって言われたら、そこで一生懸命やる自信があります。できるんです、そういうの。太田は絶対できない

※最初「せいかてん」という発言を「生花店」と書き起こしたのですが、爆笑問題のラジオによると「青果店」だったことが田中自身の発言から判明


・デビュー以来保管してある大量のネタ帳を前にして

今、パッと見たら「向井千秋さんスペースシャトルで宇宙へ行った」なんて。1998年?


・ネタ帳を見たディレクター「字が細かいですね」

もう、急いで書いてるから、大きな字とかきれいな字を書く暇がない


・ディレクター「よく続けられましたね」

続けてるっていう感覚がない、っていうか。振り返ったらこうなってた。みんなそうですよ、こんなもんですよたぶん。じゃあ、カメラさんが今まで録ったVTRをやったら(集めたら)、ウワーって(大量に)なるわけじゃないですか。ハァーってなる(ため息つく)でしょう。みんなそうですよ。そんなもんですって。別に偉くもない


・車中インタビューにて
ディレクター「田中さんはどういうことをされるのが一番嫌いなんですか」

イヤなことを言うとかが嫌い


・ディレクター「(イヤなことを言うのは)太田さんじゃないですか(笑)」

そうそう(笑)。だからケンカになる。ケンカとかして、俺が「解散だ」「やめてやる」ってことは何度もある。アイツからは一回もないですからね。今後もあるかもわからない。だってムカつくこと言ったりするからね。フハハハ(笑)


・おまけ。「情熱大陸」の「情熱」から連想する単語を広辞苑から挙げてください、という企画

「情熱」にふさわしい言葉? 松岡修造とかしか思い浮かばない(笑)、今。どうしよう。(広辞苑から選んで)はい、『走る』。情熱、まっすぐ走る。バーッと一直線にこう走ってるのを想像したんです


・ディレクター「田中裕二は走ってますか?」

オレはあんま走ってないんだけど。ホッホッホ(笑)

ってことで。


ここまで田中の(ほぼ)全発言を書き出しました。ナレーションにかぶって聞き取れない箇所とかはさすがに省きました。

基本、謙虚。身の程をわきまえている人だと思います。いっぽうで競馬や野球などの遊びについては、もう「情熱大陸」の取材とか関係ないくらい真剣。肝心の仕事については、あまり自己言及に興味がないようにも見てとれました。


番組では、むしろ周囲の人たちのほうが、田中について雄弁に語っています。

田中をよく知る人たちにアンケートを採ったんだそうです。項目は3つ。

Q1.田中はどんな人?
Q2.田中の才能は?
Q3.田中の好きな所は?

このアンケート結果が、放送の中で、断片的にではありますが紹介されていました。

特に誰の回答かは明らかにされていませんでしたが、以下に並べます。

どこまでも凡人に見える

太田さんの執事的な役割

鬼才太田光の横で普通でいられる所です

つっこみは日本一!!

的確につっこむスピード

田中さんのツッコミは無形文化財指定でいいと思う

慌てずスムーズに進行して頂けるところ

ゲストの細かい発言までよく聞いている

すごい仕切り力。僕らの番組の羅針盤です

人の力を引き出す才能があります


基本ベタ誉め。もちろんそうでない回答もあったんでしょうが、田中が「イヤなことを言うのとかが嫌い」とか言ってるくらいなんで、これはこれでいいのでしょう。

さらに、田中を昔から知る、立川談志、テリー伊藤、夏野剛(田中の高校時代の同級生)、伊集院光、そして太田光という5人がインタビューに答えています。

放送中、随所にそのコメントが挿入されていました。いずれも貴重な証言だと思います。


立川談志

彼(太田)の値打ちを発揮するために、(以前太田に対して)「田中を切るなよ」とおそらく言ったんでしょう。(田中の良いところは?との問いに)自分のポジションをよく知ってるってことかな。なかなか他にいないと思うね。(談志自身と)お互い様


テリー伊藤

すごいやりやすいですよね。ホストとかやるといいんじゃない? 聞き上手。あと、相手の心をそんなに深く読まないところ。これ実はすごく大切なことで、最近のお笑いの人たちはみんなすごい優秀だから、二手も三手も読むんですよ。相手から見ると、それはつらいよね。受け止めてくれてるのか、観察されてるのかわからないから。他人の力を引き出す才能っていうのをものすごく持ってるような気がしますね。そういう人はあまりいないんじゃないかなー


井草高校での田中の同級生・夏野剛(現ドワンゴ取締役)

ウチの高校の人間で彼を知らないヤツはいなかったと思う。それぐらい目立ってました。とにかくユニークなんで、ものすごい大きく成功するか全然ダメかのどっちかなんだろうなー、と思ってました


伊集院光
※アンケート用紙には田中について「超普通です。もはや異常の域の普通」と回答

太田総理(日テレ系)がまだ夜中やってた頃に、アメリカと日本の問題みたいなのがテーマで、太田さんがすごいキレて、それで画面ヅラにもみんなちょっと怯えてるんですよ。全員圧倒されてて、誰も喋れないような状況になってるときに、田中さんが言った言葉が「もうよくわかんないよ。あっち行けよ」つったんですよ(笑)。で、そのときに一瞬にしてなごんで「よかったー。『わかんねーよ』って言っていいんだー」っていう。(太田総理の)番組終わって「田中さんは最終的にふつうだったな」ってことになるけど、あの状況でふつうの言葉を言える人っていないんですよ。なんつーの、「なんでも切れる刀を入れとく鞘(さや)ってすごい」みたいな


太田光

「悩めないのが悩み」ですから、彼は。それはね、ときどき羨ましいですね。ぼくなんかわりとウワーとかってやってる(悩んでる)ほうなんで、日々。ただ、とにかく(田中に対しては)気は遣わない。なんでも、どう言っても大丈夫、っていうところは、その自信はある。ネタ作りのときなんかは、ふだん思ってるドロドロしたようなことをアイツに言ったり、っていう意味では、そういう相手を持ってる人は少ないですよね。田中はそこは本当にそうですね、特別な存在ですね


今回の放送でわかったこと。

ウーチャカみたいなヤツは他に誰もいない