「東野・岡村の旅猿」で東野幸治がロケを拒否した顛末


猿と革命戦士


5 月 28 日深夜のニッポン放送「ナインティナインのオールナイトニッポン」で岡村隆史が撮影裏話を披露していた「東野・岡村の旅猿 プライベートでごめんなさい」の第 3 弾ベトナム編が 7 月 1 日に日テレ系で放送されました。おもしろかったです。

今回の更新では、あらかじめラジオで語られていたそんな旅の裏話(をぼくが書き起こした内容)と、実際に放送された内容とを比べて、「答え合わせ」みたいなことをしようと思います。

順を追っていきます。

まずはゴールデンタイムへの危惧


【ラジオ】

岡村)
これがまたなんでかわからないんですけれども、今回ゴールデンでやるんですって。まぁ東野さん曰く「終わりの始まりや」言うてましたけれども。「終わらすためにゴールデン行ったんちゃうか」という話なんですけれども。


【「旅猿」実際の放送】
喫茶店「ぶらじる」にてオープニングトーク

東野)
ぼくも聞いてビックリしたんですけど、
これ、いいんですかね? ゴールデン番組…
岡村)
うわさは聞いてますけど
東野)
一応ぼくも日本テレビさんには言うたんですけどね
「じゃ、もういよいよ最後の仕事ですね」って
「これでお別れですね」って言うたら
岡村)
え、これもう最終回ですか?
東野
これで、いうたら木っ端みじんに…

ベトナム行決定


【ラジオ】

岡村)
ぼく何も知らなかったんです。どこに行くかもホンマに。で突然「ベトナムです」って言われて、「え、ベトナムで何するんですか?」って言ったら、東野さんが「船に乗る」って。それがまたほんまに大丈夫なんか? 思ったのは、「船に 10 個乗るから」って、それしか決めていない旅。


【「旅猿」実際の放送】
引き続き喫茶店「ぶらじる」にて

岡村)
なんにも聞かされてないですよ
東野)
我々いうても偽バックパッカーやけど
岡村)
実は金バンバン使ってますからね。ぜんぶタクシー乗るから
東野)
偽バックパッカーなりに考えた結果
「旅猿」 ベトナムに!
岡村)
ベトナムか! うわぜんぜん予想してたのと違うかった
東野)
ベトナムで問題は何をするかやけど「船乗りまくりの旅」
目標 10 艘! 船はひとつじゃないのよ、いろんな顔があるから

ディレクションへの懸念


【ラジオ】

岡村)
これがまた「ゴールデンや」ということで、ディレクターさんとかも「さぁどうしましょう?」みたいな。「今回ゴールデンですから」いうたんですけど、まぁこう「スタイルは変えんとこ」言って。「気負いもせずに今までどおりやりましょう」って。


【「旅猿」実際の放送】
まだ引き続き喫茶店「ぶらじる」にて

東野)
いちばん怖いのがディレクターのつっつん(堤本)自身が
肩に力がはいってもうて仕込んだり演出したり
岡村)
それ絶対あきませんよ!
東野さんがいちばん嫌う…
そうなったらほんまにもういがみ合いでしかなくなる、その旅

※この懸念がまさか現実のものになろうとは…

ベトナム料理「フォー」その理想と現実


【ラジオ】

岡村)
今回も「屋台でなんか出してますやん」みたいに言うて、ベトナムの「フォー」ってあるじゃないですか、お米の麺。それを食べたんですよ。ふたりで分け合って。

めっちゃめちゃマズいんですそれ。ぼくもうカメラまわってるのも忘れて「これなんやろな?」みたいな。青ーい野菜みたいなのやけど、東野さんから「これちょっと食べて」って言われて、食べたらなんか雑草の根っこ食ってるみたいで、カメラまわってる前で「ポーン!」吐いたもん。


【「旅猿」実際の放送】
ホーチミン路上のフォー屋台にて

東野)
(訝しげに一口食べてみて)
…あの、深みは無いよ
岡村)
そういうもんなのかなぁ
東野)
そういうもんなんっすかね。あっさり
岡村)
ヘルシー料理でしょ?
(食べてみる)
…なんか、ぼくが思ってたフォーとちゃうなぁ
東野)
その、麺がまったくといっていいほど活き活きしてない
麺自身も「そんなはずじゃ!」って思ってると思うねんけど
あっさりしてはるのかなぁ、っていう
選んだぼくのミスっていうのはあるんですけど
食べる前よりも今空腹の状態やから逆に

※ちなみに三日目の朝食に別の料理屋で美味しいフォーを食べてリベンジしてました

生春巻きのウソとホント


【ラジオ】

岡村)
「ウソつかんとこ」みたいなことやから、ベトナム料理屋さん入って生春巻き食べて、それがまたもうなんちゅうのかな、香草入れすぎてて、なんかもう「ウーン…」みたいな。ふたりとも「ウーン…」みたいになって。

ディレクターが「すいませんちょっと『美味しい!』みたいの(コメント)いただけますか?」「いや、これちょっと食べてみぃ?」 で、ディレクターも「…うん、なんスかこれ?」みたいな。「な、そうなるやろ? ウソついてもあかんやろ?」


【「旅猿」実際の放送】
一日目ベトナム料理屋の晩飯にて

東野)
先輩風吹かしてぼくが一口目いかしていただきます
岡村)
兄さんお願いします
東野)
いただきます
…(一口食べて無言)
岡村)
どうしました?
東野)
個性的な味ですね
思ってるより青いよ
日本のとは違います
岡村)
(一口食べて)
…ゴンッ!来ますね
この青ものが

睡眠不足でイライラ


【ラジオ】

岡村)
ほんでまたディレクターと東野さんが昔からの知り合いで、仲良いのか悪いのかわからないんですけれども。(東野が)そのディレクターとかの指示を聞こえてないフリとかするねや。それをいつもオレがフォローするみたいな感じやねんけど。

もうずーっと(カメラを)回しっぱなしで睡眠時間もぜんぜんなくて、移動移動で凄いわけですよ。「夜の 3 時に出発」とかそんなんばっかりで。まぁもちろんイライライライラしてくるわけです。


【「旅猿」実際の放送】
一日目の夜のホテルにて

ディレクター)
明日、水上マーケットに行くので
朝 3 時くらいに起きていただいて 3 時半出発ですね
東野)
3 時半出発? 今何時?
ディレクター)
今 23 時回りましたね
東野)
じゃあ、4 時に出発ということでいいんですよね?
ディレクター)
いや(苦笑) 3 時に起床で、3 時半出発ですね
岡村)
ま、単刀直入に言うと、もうちょっと寝たい、っていう
ちょっと早いんじゃないか、っていう東野さんの提案ですけれども
東野)
(無言の抵抗でじっとディレクターの顔を見つめる)

※いちばん笑った

「東野ロケ拒否」の顛末・カヤック編


【ラジオ】

岡村)
なんかイライライライラしてて、とうとう東野さん「ロケ拒否」みたいな。「これはオンエアでけへんのちゃうかな?」思って。

なんか水上で学校があるから「水上で学校を見にいこう」ってディレクターさん言わはったんです。ほんなら(東野曰く)「なんでそんなん見なあかんの?」。それがちょうどラスト 10 個目の船やったのに、なんか近代的なカヌーみたいなやつで、「自分らで漕いでください」ってオレと東野さんで。

つっつん(堤本幸男)っていうディレクターで(東野が)「つっつん、何なんこれ?」って漕ぎながら、「これ何なん? これ 10 個目でえぇの?」って言うて。「なんかベトナムっぽさもなんにもないけど、え、これをよしとしてるわけ?」って。すごいなんか変な空気になって。


【「旅猿」実際の放送】
三日目。世界遺産のハロン湾にてカヌーを漕ぎながら

岡村)
世界遺産をバックにカヤックで
東野)
ラスト、これ? これでいいの?
ディレクター)
これで大丈夫です!
東野)
ベトナムっぽくないし

※このくだりはちょっと短めでしたが東野は静かにキレてる

「東野ロケ拒否」の顛末・小学校編


【ラジオ】

岡村)
「あそこに学校あるんでちょっと見にいきましょうか?」「いや、えぇわえぇわ」「どんなんかだけちょっと」「いや、いいいい。オレはもうホンマえぇわ」

最初ボケで言うてはんのかなーと思って、とりあえずオレがそこ学校行って、「東野さんちょっとだけ」。「いやえぇえぇ。ホンマえぇねん。別にオレ見たい言うたわけでもないから。オレ、ホンマにえぇわ」

「え、ホンマに行かないんですか?」言うたら「行かへん行かへん」「じゃ、しょうがないから岡村くんだけ見に行きましょうか」ってなって。

そのまま(東野が)ボート乗りかえて、エンジンついてるボートに乗って。「ブーン!」いうて。「どこ行くんスかー!」みたいな。「バイバーイ!」って手振って。あそこはもしかしたらオンエア出けへんのかもわからんけど、それが最後やって。


【「旅猿」実際の放送】
水上小学校を見物する

現地ガイド)
水上の小学校が近くにあるんですよ
岡村)
小学校! はいはいなるほど
勉強してる勉強してる。小学校や!
ちょっとどんなんか、見学…
東野)
いや、ちょっと見学オレえぇわ。ほんまにオレ。マジで
(※カヤックから乗ってきたボートに乗りかえる東野)
ディレクター)
愉しそうですよ?
岡村)
とりあえずちょっとぼくだけ見学さしてもらって


(※外に停泊している東野に報告)
岡村)
東野さん! ざっくばらんな…
東野)
聞こえてる聞こえてる。ほんま大丈夫


(※やがて東野のボートが動き出すのに気付く岡村)
岡村)
ちょっと待って! 東野さん?
東野さん! ダメですダメです!
ディレクター)
東野さん!
岡村)
勝手に! 勝手にあの人逃げていく!!



岡村)
子どもと触れあうんホンマ嫌いなんですね
最低の行為ですね


(※東野しぶしぶ戻ってくる)
ディレクター)
ちょっと怒ってはるんですか?
東野)
ほんまカヤック(の場面)からね


オレ最初気付かなかったんですけど
「まさかアレちゃいますかね?」みたいなこと
(=スタッフがその場で気付いたふうを装っていた
「カヤックから小学校見学へ」の流れが実は一連のプランだったこと)を
「はぁ?」って思って。「こらアカンぞ」と


そのあと学校に行って、ほんでパッとすべてがつながって
点と点がつながったというか。
パパパパって 5 つくらいつながって
「はぁこういうことかと思って」
そこからもう断固として闘いましたね
岡村)
勝ちましたね
東野)
いやホントに
革命戦士として
気持ち革命戦士として
これはもう負けてられへんと

※番組の冒頭でトークがあった「ディレクションへの懸念」がいいネタフリになった

マルチエンディング


【ラジオ】

岡村)
「エンディングを撮りましょう」っていうことになって。いちばん高い世界遺産のところで。「ハロン湾」という湾が世界遺産やねんけど、そこを一望できるところを登って頂上でね。

ディレクターがもう疲れて上がってこれないんです上まで。「ハァハァ…」ってなって。ほんでとりあえずディレクターが言うたんですけど、「もう…この中腹で…エンディング撮りましょうか…」って。「え!?」ってなって「いや、上で撮るんちゃうん?」。「もうここで撮りましょうか…」

「えぇねんな? ここで撮って」ってなって一応「さ、そういうわけで…」。すごい中間なわけですよ。中間で一回エンディング撮って。(撮ったのは)もうひとりの下のディレクターの、まぁ AD さんなんですけど。(エンディングパターン 1・中腹編)

東野さんも「オレらだけ上にあがってもう一回エンディング撮るわ」言うて、ディレクターにも「もうここにおり。しんどいのやったら」って言うて上でもういっこ撮ってエンディング。(エンディングパターン 2・頂上編)

で、降りてきたら、また「ちょっとここでもう一回エンディングを…上どうでした?」みたいな。「上のやつ(眺望を)見た感想をまたここでください」みたいな。で、またエンディング撮って。(エンディングパターン 3・山麓編)

で「次、ちょっとあの最後に大きな船用意してるんで、そこでベトナムコーヒー飲みながらエンディング」(エンディングパターン 4・コーヒーブレイク編)…何回エンディング撮るの? オレら 4 回エンディング撮った。どれが放送されるかまったくわかれへん。


【「旅猿」実際の放送】
ハロン湾を一望できる山を登りながら

(※8 合目の休憩ポイントで)
ディレクター)
(ゴールは)ここでいいですよね?
東野)
ここでエンディングやて
岡村)
(山頂まで)もうちょっとですよね?
東野)
タレント立ってるのにこんなこと無いやんディレクターだけ座るって
ディレクター)
3 人で(頂上)行ってきてください
東野)
3 人で行くよ。おつかれっした


(※堤本ディレクター脱落のまま頂上でエンディング)


東野)
えー今ハロン湾を一望できる山の上にやってきました!
いかがでしたか?
岡村)
船 10 個も乗れて納得のベトナムやったと思います
4 人で旅してきたんですけど最後は 3 人になってしまいました
東野)
ご病気を理由にしてエンディングしたくなかったのか
それは詮索お互いしません。お互いプロですから
どういう形になるかわかりませんけど
また次回があることを祈って
岡村)
そうですね
東野)
もしかしたらここに
(次回の新メンバーとして)…キム兄?
岡村)
キム兄なんかもしこの旅猿に入ったら
どつき回されますほんとに
東野)
また次回あることを祈りましてありがとうございました
岡村)
ベトナム最高!
東野)
ありがとうベトナムー

※採用されたのは「パターン 2・山頂編」でした

総論


【ラジオ】

岡村)
これがまたほんとになんていうんでしょうか、3 回目にしていちばんバカバカしかったかな? ゴールデンタイムやけど。

ってことで、ゴールデンタイムの放送ということで危惧されたとおりにちょっと意気込んでしまったディレクター陣の仕込みやサプライズに対し、「革命戦士」を自称してそういうワザとらしい演出に反骨精神を剥き出しにするおとなげない東野、といういがみ合いがたまりませんでした。

そして岡村さん乙でした。



バイバイヒガシノー


(終わり)