【車両数も増減】相模線E131系500番台・宇都宮,日光線600番台の展開を考察

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総合車両製作所(J-TREC)新津事業所にてファンからの目撃情報が相次いで話題となっていた、相模線向けのE131系500番台と宇都宮エリア向けの600番台。

2021年6月17日に車両の詳細が正式に発表され、投入数や仕様など具体的な情報が出ています。

発表内容のポイントを見つつ、今後のシナリオを考えます。

進む205系の世代交代

JR東日本ではこれまで、205系の代替を積極的に進めてきました。

E233系の直接投入が多く実施されたほか、最近では山手線E235系投入の玉突き転用により、武蔵野線と八高〜川越線の代替も完了しています。

これにより、現在205系が運用されている路線は相模線・宇都宮エリア(宇都宮線と日光線)・鶴見線・南武支線・仙石線と短編成の路線のみとなっていました。

205系や同世代の211系の代替はE235系投入による玉突き転用を中心に検討が進められており、かつての計画ではE231系を、その後の計画では京浜東北線と横浜線のE233系を転用する計画が労働組合の資料から垣間見られる状態でした。

直近のE233系転用に関しては、千葉近郊・甲府,松本エリア・仙石線・高崎エリアがE233系の投入先として検討されていることが判明していましたが、これに記載されていない宇都宮エリアや相模線、鶴見線,南武支線の代替が注目されていました。

今回はこのうち、相模線で活躍していた205系500番台と宇都宮エリアで活躍していた205系600番台の代替が実施されることが明らかにされています。

海は見えないけど……相模線向け500番台

引用:JR東日本公式リリース(PDF)

外観・内装デザイン

後述の600番台では0番台の塗り分けを踏襲していますが、相模線向けの500番台では前面ドット柄を波に見立てたほか、前面FRP部分が青色塗装とされている点が特徴的です。波の模様は富嶽三十六景の神奈川沖浪裏を彷彿とさせます。

前面FRPに帯色を取り込んだデザインはE235系でも採用されており、JR東日本のトレンドのような印象を受けます。

ただし相模線の車内からは、最も海沿いとなる茅ヶ崎駅周辺を含めて、海を見ることは困難です。

イメージ画像からE131系0,80番台同様に車体側面に安全確認カメラが設置されていることから、形式統一以降の早い段階で相模線は中編成ワンマン運転が実施されるものとみて間違いないでしょう。

E131系では初となる増解結をしない列車となるため、電気連結器が設置されず、スカート(排障器)もE235系のような形状(もしくは同一品)となりそうです。

運用開始時期・区間

運用開始時期は2021年秋頃とされています。

最初の落成が見込まれる第一編成は総合車両製作所(J-TREC)新津事業所にて製造が進められており、検査表記から2021年7月に落成となる見通しです。

JR東日本の最近の車両に比べると完成からデビューまでが短い印象も受けます。走行機器構成が従来の2両編成を2本連結した状態に近い、運転台が無くなった程度の設計変更と見られ、試験項目が少ないことが背景でしょうか。

後述の通り、従来車と共通運用が可能なことから、順次置き換えを進める体制が組まれるものと考えられます。投入完了時期こそ示されていませんが、車両数の少なさを考えると比較的早いペースで代替が進みそうです。

投入車両数と編成構成

発表されたリリースでは、E131系500番台は4両12編成投入されることが示されています。

全編成が4両固定編成での投入で、他のE131系投入路線のような1編成あたりの減車はありません。気動車時代は両数の変動もあったことから、2+2両で日中は2両で……といった動きもあり得た路線だけに意外な印象です。

編成数では、205系500番台と比較して1編成4両削減となります。

現状の相模線の運用は平日・土休日ともに列車番号末尾61F〜83Fの11運用構成となっており、予備車が2編成設定されている状態です。また、土休日については朝のみ・夜のみの運用があり、事実上10編成の配置です。

他の205系代替路線でも実施されたように、メンテナンス性能が大幅に向上したE131系では予備車が削減されても大きな問題とはならないという判断にも思えます。

ただし、予備が1編成となることで、定期検査中の予備車両が存在しないこととなります。

他形式・他路線車両(八高線や横須賀線付属編成)の代走などを想定しているのか、次回のダイヤ改正で運用整理を行なって稼働数自体を削減するつもりなのか、減便を実施するのかは現時点では不明です。

朝夕の横浜線直通の本数見直しを行えば運用数削減ができそうなほか、近い数の千葉エリアで12編成配置11運用・必要に応じて209系で代走の事例、そしてJR東日本では置き換え直後から運用整理が進むまで旧来形式を1編成だけ残しておくという体制とした事例も見られます。

また、その後の報道で「現在運行する「205系」52両すべてを冬までに切り替える予定だ。」(日経新聞電子版)ともされており、今後の予想は少し難しい印象です。ダイヤ改正までは205系1編成を予備車として残すようにも思えます。

特に横浜線はE235系の投入により都市型の長編成ワンマン運転の導入を目指しており、短編成〜中編成ワンマンとなる相模線と系統分離をしておきたいのが本音に思えます。

一方で、2021年度時点でのホームドア整備計画としては橋本駅以南のみ触れられており、E235系導入によるワンマン運転の実施自体が八王子〜橋本間を含めた全区間で実施されるのかも明らかにされていない状況ですので、続報が待たれるところです。

湘南色は登場せず!宇都宮線・日光線向け600番台

引用:JR東日本公式リリース(PDF)

外観・内装デザイン

塗り分けパターンは0番台と同一とされています。安全確認カメラも設置されており、短編成・中編成ワンマン化が想定されているものと考えられます。

ファン目線で残念なポイントとしては、従来の205系600番台とは異なり日光線カラーのみが継承された点が挙げられます。

今回のプレスリリースでは「日光らしいレトロ調を継承し、側面の帯には宇都宮市で復元された火焔太鼓の山車をイメージ」とされており、

従来の205系600番台はY1〜Y10編成が“メルヘン顔”と通称される京葉線向け新製車を転用したグループ・Y11,Y12編成が埼京線で運用されていた普通の205系ですが、“メルヘン顔”のうち4編成は107系の晩年に採用された日光線カラー・それ以外の編成はE231系以降に採用された明るい色合いの湘南色が採用されていました。

近年では観光列車“いろは”の改造も加わり、4両12編成の布陣ながらバラエティ豊かな構成でした。特に205系の普通顔がJR東日本では最後となっており、年々ファンから注目の存在となっています。

カラーリングが統一された背景についてリリースでは触れられていないものの、運用効率の向上が考えられます。

205系600番台投入から現在まで、カラーリングにあわせて運用が原則として分離される状態が続いていました。日光線運用は日光線カラーの編成・宇都宮線運用は湘南色の編成が充当されていました。

編成数が少ない日光線編成の運用は定期検査中などに湘南色編成が代走する事例があったほか、近年では観光列車“いろは”が登場して更に運用制約が増加しています。

今回のE131系投入が完遂すれば、全編成が全運用に充てられることとなり、運用効率の向上が期待できます。そもそも、日光線と宇都宮線で共通車両を投入していたのに丁寧に運用分けをしていた現在までの方が不思議なくらいで、ごく自然な変化と言えそうです。

最近では2022年春まで検査期限・走行距離調整のために相互で代走が頻発しており、特に従来は珍しかった日光線カラーの宇都宮線走行も日常的となりました。更に宇都宮線運用はE231系・E233系の付属編成を使用した代走も時折実施される様子で、置き換え過渡期ならではの光景と言えそうです。

そのほか、細かい点では、霜取りパンタグラフの設置が挙げられます。

従来より日光線で運用されてきた107系・205系600番台と同様に、霜取りパンタグラフが設置されています。E131系では電動車が1M構成(単独で機器が完結)とされており、モーター車それぞれのパンタグラフに加えて更に1基と、冬季には3両で3基のパンタグラフが使用されることとなります。

ファンに人気の高い“前パン”となる点も嬉しいポイントです。

運用開始時期・区間

運用開始時期は2022年春頃とされており、ダイヤ改正にあわせた投入と見られます。

最初の落成が見込まれる第一編成は総合車両製作所(J-TREC)新津事業所にて製造が進められており、検査表記から2021年8月に落成となる見通しとなっていることが判明しているほか、8月19日に報道公開を予定している旨が記述されており、8月前半に新潟地区での試運転で姿を見せることとなりそうです。

従来の205系600番台と編成構成が異なることから、段階的な投入は難しそうです。JR東日本ではお馴染みの手法となっている、車両の疎開などをした上での一斉投入が考えられます。

営業エリアは宇都宮線小山〜黒磯駅間・日光線宇都宮〜日光駅間となっており、従来の205系運用エリアに比べて小山〜小金井駅間の1区間が営業エリアとして拡張されています。

従来の205系600番台では、宇都宮駅発着の運用を基本としつつ、車両基地のある小山車両センターとの入出庫列車を客扱いするために一部が小金井駅発着の列車に使用されるダイヤ構成とされていました。

小山車両センターは小山駅〜小金井駅間ではなく、更に宇都宮駅寄りの小金井〜自治医大駅間に設置されているため、入出庫列車だけで考えると非効率な印象もあります。

楽観的な見方をすれば、小山駅始発黒磯駅行きの下り一番列車のみの投入が考えられます。この列車は10両で運行されており、ワンマン化のために朝夕の宇都宮駅以北の10両編成運用を縮小すると仮定するならば、1区間の運行区間拡大の理由として適当です。

一方で、ワンマン対応による輸送効率向上を武器に、従来の都心から宇都宮まで直通していた列車について、一部列車が小山駅または小金井駅での乗り継ぎに改められることも想像できます

E231系・E233系の所要数減少が出来なくとも、日中時間帯の乗務員の要員数が削れるのであれば運行範囲拡大は一定の効果を発揮しそうです。利用者目線では有効列車の増加に期待したいところですが、小山・小金井〜宇都宮駅間を10両から6両とする動きも見られるかもしれません。

2022年春のダイヤ改正は宇都宮線の輸送体系を大きく変化するようにも思え、今後の展開が気になります。

投入車両数と編成構成

3両15編成の投入と構成も刷新されています。従来の4両編成から1両の減車となっている一方で、編成数では205系の12編成から3編成増強です。

1編成辺りの減車分・編成単位での数の増加分をどのように活用するかが運用面での注目ポイントとなりそうです。

日光線ではラッシュ時間帯を除いて3両での運行と減車が想像できる一方で、205系投入で廃された朝ラッシュ混雑列車の6両編成での運行復活にも期待できそうです。

宇都宮線のうち、小山駅〜宇都宮駅間で本格的に運用される場合は6両での運転が想像できる一方で、現行運用区間となる宇都宮駅以北は既存の8両編成の列車・都心直通列車の代替を除き、日中は3両での運行が基本となりそうです。

211系時代の5両編成と比べると随分寂しくなりそうなほか、黒磯駅〜新白河駅間が交直流セクションの都合で過剰なE531系3000番台5両で運行されていることを考えると複雑な印象です。

小山・小金井での分離ダイヤ・ワンマン化が本格化する場合、現在は小山〜宇都宮〜黒磯駅間を回送扱いとされているE531系3000番台も客扱いを開始するなどの加勢があるかもしれません。

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コメント

  1. Jintyu-Exp より:

    相模線の現在の運用数は、11なんですね。
    まだずっと昔、豊田電車区所属時代は12運用だったのを覚えています。
    車両の信頼性向上と、運用効率の見直しで1編成減なら納得できます。