次期トランプ政権の関税政策をあまり気にするな 「20個のやるべきこと」での関税の取り扱いは?

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トランプ氏の「追加関税政策」はどうなるのだろうか(写真は2019年のG20大阪サミット:ロイター/アフロ)

思えばこの連載も長くなったもので、ドナルド・トランプ氏が1度目の当選を果たした8年前にも、筆者はせっせと「トランプ・ウォッチング」の記事を書いていた。

2016年12月9日配信の「トランプ氏のツイッターの読み方を教えよう」という記事では、「トランプ氏の情報発信は、『つかみ』が上手いが『ふかし』も入る」などと、懐かしき「トランプ=プロレス論」を展開している。当時のトランプさんのフォロワー数はまだ1700万人だったというから隔世の感がある。今の「X」では9624万人ですからな。しかもイーロン・マスク氏が味方になっている。

トランプ次期政権では本当にインフレが再燃するのか

この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています【2024年1月5日編集部追記】2024年1月1日、山崎元さんは逝去されました。心から哀悼の意を捧げ、ご冥福をお祈りします)。記事の一覧はこちら

そして再び、「トランプ占い」の需要が高まる日がやって来た。筆者もこのところ毎日のようにいろんな場所に呼ばれては、「来年はどうなるのか。トランプ政権のリスクをどう見るべきか?」といったお尋ねを受けている。その中でもFAQの最たるものはこの疑問である。

「次期政権が関税を引き上げると、来年のアメリカ経済はインフレが再燃するはずだ。そのことをトランプさんはわかっているのだろうか?」

だいたい、こんな風にお答えしている。

よろしいですか、トランプ第1期政権は2018年から関税を引き上げています。そのときはインフレにはなりませんでした。なんとなればドル高が進んだから、関税による輸入価格の上昇効果はほとんど帳消しになったのです。

理屈からいえば、関税を上げれば輸入が減り、貿易収支が改善するので通貨が強くなるのは自然な流れである。ただしこのときは、前年の2017年末に「トランプ減税」が成立したことが大きかった。景気が過熱気味になってアメリカの長期金利が上昇したし、連銀が2018年からQT(量的引き締め)に踏み切ったこともドル高の一因となっている。

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