身体医文化論から見る日本学術会議のホメオパシー見解
ここでも読んでいたけれども、ホメオパシーが「荒唐無稽」であるという談話が出た。ちょっと言葉が強いかなという気はするけれども、それはあえてそういう表現を選んだのだろう。
2010-08-25 06:18:46学術会議がこのような表現で、ホメオパシー「ごとき」を否定しなければならなかったことは、現代医学が自らに大きな不安を抱えていることを示唆している。科学的な医学が、その<説得力>のみによって、代替医療などを駆逐して独り勝ちになるだろうというヴィジョンが終わったことを強く感じた。
2010-08-25 06:22:5320世紀の初頭から半ば、いわゆる「近代医学の黄金時代」には、19世紀に百花繚乱した代替医療のほとんどが没落していった。抗生物質に象徴される一連の革命的治療法の説得力は明らかだった。
2010-08-25 06:26:15時代は移って、21世紀の日本では、国民を威嚇しないと、国民は代替に流れ、標準医療の否定を受け入れてしまうようになるということを、学術会議が心配しなければならなくなった。日本の近代医学の黄金時代が終わったことをこれほど鮮やかに象徴する事件は、ちょっと記憶にない。
2010-08-25 06:29:45教科書的な知識 (Mike Saks の章) によれば、20cイギリスでは代替医療と「ニューエイジ」の対抗文化が結びついて、「カウンターカルチャー医療」を形成した。正統医療でないものにシンパシーを示す、レフティッシュ・かっこいい文化人は、日常的な風景の一部となった。
2010-08-25 06:34:13それよりも重要なことは、サックスによれば、正統と代替のどちらも、消費文化のコードにささえられた「選択」という理念を持っていることである。いずれも、患者が主体的に選択して選ぶものとして、医療の倫理とサービスを定義している。学術会議ですら、「個人の自由」を認めなければならなかった。
2010-08-25 06:38:37日本でのホメオパシーは、この談話の効果で、きっと、衰退するだろう。カウンターカルチャーの闘士たちは、代替医療の深い人間性を歌い上げるだろう。(正統医療の支持者には、これができないことは、意外に問題の大きな部分を占めている。
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