少し時間ができたので、今世界の自動車メーカーが直面している課題、そして今後の業界の行く末について解説したいと思います。結論から言うと、今後3年間くらいかけて日米欧の既存の自動車メーカーはジワジワと縮小し、テスラやBYD、現代G辺りが圧倒的勝ち組になると見ています。👇
2022-06-19 09:28:35現在大きく二つ問題があり、一つが部品供給の滞りです。コロナ発生以降、世界中のOEMが半導体やワイヤーハーネスといった基幹部品の不足で満足に車を作れずにいます。一方で、需要過多により販売時の値引きが抑えられ、販売台数は減っているのに利益は同水準というおかしな事態が発生しています。👇
2022-06-19 09:29:40二つ目の問題がEVに必要不可欠な原材料価格の高騰です。電池材料のリチウムはこの1年でなんと価格が5倍上昇、もはや商売にならない。EV専業メーカーやEVに大きく舵を切ったメーカーは、この異常な高騰を受けて大ダメージを受けています。特に米Rivianや中国のEV専業メーカーは瀕死の状態と言えます。👇
2022-06-19 09:30:39しかしこの二つの問題は、即座に解決するものではなく多少改善しながらも今後2-3年は継続するでしょう。そういった中で、これまで大胆なEV計画を掲げていた各社のトップ(特に欧州メーク)から弱気な発言が増えてきました。現状、補助金ありきのEVに全集中するのが得策ではないことは明らかです。👇
2022-06-19 09:31:18しかし投資家に約束したEV・電池投資を今更取り消すこともできず、彼らは今自ら先の見えない嵐の中に飛び込んでいます。VWやステランティス、米フォード、GMなどです。未来は厳しいでしょうし、破産する企業も出るでしょうが、それでも私は、EVシフトは加速し続けると見ています。👇
2022-06-19 09:32:03まず政治の世界では、欧米中でEVが次の勝負の舞台に定め投資を続けています。そしてテスラやBYDといった企業が、EVの抱える課題を次々と解決し、今後もこの領域の技術革新は突出して続いていくでしょう。👇
2022-06-19 09:34:31日系メーカーは今のところ、手堅い戦略を取っているように見えます。日本人らしく生真面目に「石炭火力発電で作った電気で走るEVはエコではない」「原材料の過度な採掘等による環境への悪影響の懸念から、少ない電池で走るHVこそが今の現実解」といってEVにも慎重姿勢です。決して間違っていません。👇
2022-06-19 09:36:45しかし正しい者が勝つのではなく、勝った者が正しいのがこの世界です。マツダやスバルなどの中規模メーカーは自社でEVに割く余力がないため電動化はトヨタ頼りで、EVシフト頓挫を祈るしかない状況です。頼みのトヨタは全方位戦略と言いながらEVでは完全に出遅れ、今なお投資判断をできない状況。👇
2022-06-19 09:40:15挙句の果てに水素エンジンなどというありもしない未来を夢想し迷走しています。日系で正しく危機感を持ち対策を練っているのは日産とホンダくらいです。日産はリーフで培った信頼をもとにSUVや軽にEVラインナップを拡充しています。軽EVのサクラは日本向けとしては素晴らしい出来栄えです。👇
2022-06-19 09:41:21ホンダは将来EVの戦いにおいて、車内体験が一層重要になることを理解し、SONYと手を組みました。ただこの連合を持ってしても競合についていけるかは不透明です。なおホンダは20240年には全販売をZEV(燃料電池車とEVのみ)にすると宣言したことも社内に刺激を与える素晴らしい発信と言えます。👇
2022-06-19 09:43:34とはいえ日系メーカー全般が、現状EVシフトへの備えで遅れていることは否めません。今世界の競合は血を流してEVシフトを進めています。途中で倒れる企業もいるかもしれませんが、約3年後その投資が身を結ぶ頃、電池価格が下がり、EV普及が加速し、日系メーカーは突如窮地に追いやられると見ています。
2022-06-19 09:51:02日系メーカーの不幸は、これからの期間、販売は減るのに利益は上がるため、危機意識が芽生えず社内に現状維持する力が働いてしまうことです。多くのサラリーマン経営者にとって、業績が良い中、身を切る改革を行うのは容易ではありません。多くが、任期満了までミスなく目立たずやり過ごそうとします。
2022-06-19 09:52:37また下手に業績が良いため、引き続き自動車業界は国に対して発言権を持ち続けるでしょう。先日岸田首相がトヨタやホンダを訪問し、結びつきを一層強めていますが、今後も日本では、引き続きHVアゲ、EVサゲが続き、インフラ整備も進まず、世界から取り残される悲しい未来が待っています。👇
2022-06-19 09:53:12こうして、EVに大きく舵を切ったVWやフォードGMは今後数年は厳しい時期が続き、日系メーカーは安定した業績が続きながらある時から急速に衰退することになると見ています。さて、ではなぜテスラ・BYD・現代Gが圧倒的に勝つのか、彼らは他と何が違うのか、に移りたいと思います。👇
2022-06-19 09:54:00まず言わずもがなですが、EVの競争力の源泉は電池です。いかに低コストで競争力ある電池を持つかが勝負を分けます。こうした時、自社で一から電池を内製し、垂直統合しているテスラとBYDはまず大きな優位性を持っています。自社で継続的に改善ができ、需要にも柔軟に対応できます。👇
2022-06-19 09:54:32現代Gは電池は外部調達ではありますが、韓国にはLGなど有力な電池産業が集積し、半導体もSamsungやSK hynixなどの大手がおり、EV製造に適した土壌が整ってきていました。 そこで現代Gは早くからEV開発を進め、競合より早く、競争力のあるEVプラットフォームの開発に成功していました。👇
2022-06-19 09:56:22加えてガソリン車やHVでも日本メーカーと遜色のないレベルまで肉薄し、欧米では日本車より安い点が好感されシェアを拡大し、EVに開発資金を回すための安定的な利益を上げる体制もできています。今や彼らのガソリン車は米Consumer Report等で日系を凌ぎトップクラスの評価を獲得しています。👇
2022-06-19 09:59:56さらに彼らは、HyundaiとKiaで、プラットフォームは同じながらデザインを変えて販売し、結果より多くの台数を販売することに成功しました。これはトヨタやホンダがレクサスやアキュラで取った戦略をうまく真似ています。👇
2022-06-19 11:23:39また彼らがうまかったのは、トヨタのように全方位と言って敵を作るのではなく、あくまでも真に魅力あるEVを作り、それを広告塔としながら、しっかりとガソリン車やHVでも儲ける戦略をとった点です。結果大半の販売はガソリン車にも関わらず、多くの人が現代をEVを作るブランドと認知しています。👇
2022-06-19 11:27:05彼らはEVでも同じプラットフォームでありながら現代Ioniq5、Kia EV6とデザインを変えて販売し、これが世界中で高く評価されています。つまるところ彼らの車は「良品廉価」なのです。かつて日本メーカーが世界的に有していたブランドイメージは、今や現代に全て持っていかれてるのが現実です。👇
2022-06-19 11:28:10電池と並んで重要になるのがソフトウェア開発力=車内体験です。この領域はソフト人材が圧倒的に豊富な米中が圧倒しており、日欧メーカーはまだその重要性も理解できておらず周回遅れです。今後差は広がり続け、高級車市場はテスラを筆頭にBYD、NIO、Xpeng等のスマートEVが席巻することになるでしょう。
2022-06-19 11:31:59自社でのソフト開発を諦めたメーカーから、Appleの提供するCarPlayやGoogleのAndroidAutoの利用を飲まざるを得なくなり、EVのコモディティ化が進むとともに、OEMの支配域がどんどん小さくなります。最終的に多くはただの組み付け屋になっていくと思われます。👇
2022-06-19 11:33:31こうして、高付加価値のスマートEVではテスラとBYDが二大巨頭として君臨、普及価格のEVでは現代Gが躍進、低価格車では中国の格安EVが占拠することになると見ています。非常に厳しい未来ですが、あまりに時代の変化が激しいため、今後数年でそんなに大きな変化が起こるとは思えない方が大多数でしょう。
2022-06-19 11:34:43しかしパラダイムシフトというのは、目に見えないところでずっと蓄積していたものがある日突然顕在化し、これまでの優位性を根本から覆すのです。そうした破壊的変化が、いよいよ今後数年で自動車業界にも訪れます。日本メーカーがそこに対応できるか。今後の積極的な動きを期待したいと思います。完
2022-06-19 11:37:06