電子書籍は漫画家を殺すのか
電子書籍は漫画家を殺すのか 電子書籍が【急激に】紙媒体を超える【大きなシェアを取り】、有効な【対策が取れない】場合に、多くの漫画家が収入を減らし、結果として新たな漫画が読めなくなってしまうかもしれない。と言う一考察です。 一考察であり、出版業界を代表するものではありません。
2017-01-21 13:26:49日本では電子書籍は、著作物再販適用除外制度の対象外とされています。 そのため、電子書籍販売は定価販売できないという前提が必要です。 そこで1990年代に書籍の定価販売を止めたイギリスを一例にします。
2017-01-21 13:26:59× 電子書籍販売は定価販売できない
○ 電子書籍でも定価販売はできます。(が難しい場合がある。)
『海外出版レポート・イギリス/著者たちの厳しい状況』<出版ニュース/2015-12下/笹本史子>より 英国の著者権利保護団体の調査では 「著述を主な職業とする人々の平均収入は手取りで1万1000ポンド(約200万円))となっており、2005年...から29%もの減少となった。」
2017-01-21 13:27:26「必要最低限の生活水準を保つのに必要とされる...(最低所得水準、MIS)の1万6850ポンドを大きく下回っている。」 「執筆のみで生計を立てていると答えた著者は全体の11.5%に過ぎず、2005年の40%から大幅に減少した。」 <出版ニュース/2015-12下/笹本史子>
2017-01-21 13:28:05その原因は何か。イギリス著者協会によれば、1990年代の定価販売制度廃止に端を発するという。 『海外出版レポート・2015年の出版動向とベストセラー』<出版ニュース/2016-2下/笹本史子>によれば、 2015年の書籍の希望小売価格からの平均値引き率は「23.9%」とのこと。
2017-01-21 13:28:22この値引き率ですが、著名作家は値引きされにくく、実績のない新人作家ほど値引きされやすく、 「上位10%の著者が著述業全体の収入の58%を、そして上位5%が全体の42.3%を稼ぎ出している...」<出版ニュース/2015-12下/笹本史子> と売上が著名作家に集中する傾向にあります
2017-01-21 13:31:59値引きしない定価販売になれば実売部数も減ることでしょうから、定価販売できたからと言って即、増収に結びつくとは限らないでしょう。ですが、”再販制度廃止が作家作家の減少に結びつく”ことが分かることと思います。
2017-01-21 13:35:28では、なぜ影響が漫画家に集中し、新刊の漫画が読めなくなるのかです。 <出版指標年報2016>より、書籍市場は7419.5億円 雑誌市場は7800.7億円 <電子書籍ビジネス調査報告書>より、電子書籍市場は1584億円 電子雑誌市場は242億円
2017-01-21 13:35:58紙の出版市場は1兆5220.2億円 電子出版市場は1826億円 ほぼ紙9対電子1の割合です。 この内、電子漫画書籍の売上は1149億円であり、電子出版の6割以上を占めています。 日本の電子書籍市場は漫画中心です。 (電子雑誌市場は定額読み放題が主流であり、いつか別に言及します)
2017-01-21 13:36:29『漫画家白書調査報告』<トキワ荘プロジェクト/2011>では、 連載作家の収入は686.3万円(男)644.3万円(女) 読み切り作家の収入は262.5万円うち漫画関連収入122.08万円(男) 173.08万円うち漫画関連収入108.75万円(女)とあります。
2017-01-21 13:36:51漫画家、漫画業界に関する統計資料は数少ないため、断定はできませんが元々、漫画だけで収入を維持することは困難であり、一部の連載作家が高い収入を得ているのではないでしょうか。
2017-01-21 13:39:31(1)同じ文芸である小説の電子書籍への移行が比較して進んでいないこと。 (2)文芸以外の実用書や学術書などでは、他に定収を得ている学者や実業家、技術者であり、総収入に占める著述業関連収入の割合は少ないこと。 (3)元々漫画分野で若手作家の収入が少ないこと。
2017-01-21 13:41:34以上の理由から、日本で電子書籍が広く普及し過ぎると作家、元々少ない若手漫画家の収入が更に減れば、新しい漫画家の新しい漫画が世に出ることは難しくなるでしょう。 ”作者副業により休載” ということが増えるかもしれません。
2017-01-21 13:41:52参考資料 海外出版レポート 笹本史子 出版ニュース 出版指標年報2016 全国出版協会 電子書籍ビジネス調査報告書 インプレス 漫画家白書調査報告 トキワ荘プロジェクト を参考とさせていただきました。
2017-01-21 13:47:57購入側がより安く購入することは自然なことです。
ですが、安物買いを続ければ、供給が途絶えることもありえます。
鈴木みそ氏のようにAmazonに対して、定額読み放題サービスを始めとする値引き販売の廃止を訴える出版者、著者は多くあります。
業界団体としても抗議しています。
Amazonは、値引き販売を辞めませんでしたので、著作物の提供を取り下げる出版者、著者も出てきました。
電子書籍でも定価販売すること自体はできますが、日本の電子書籍市場でとても大きいAmazonで定価販売できないことは、電子書籍市場全体への影響も大きいのです。
加藤AZUKI 氏による電子書籍の市場を拡大させることで初期費用(イニシャルコスト)と維持費用(ランニングコスト)を下げるお話です。
いつも思うんだけど、「電子書籍は紙束がないんだから安くて当然」っていう考え方の根底には、「本の値段は紙束で決まる」「紙束代以外は原稿料しかコストかかってない」「ストアサイトのインフラコストはタダ」って考え方が支配的すぎると思います。 @uchnao
2017-01-20 00:14:15もひとつ、今日さんざん「電子書籍は紙束がないぶん紙書籍より【安上がりに作れるはず】なのだから、紙書籍より【収益を上げてはいけない。その分安くして読者に還元すべきだ】」という考え方について、まったく何の疑問も抱かない人が割といたなー、っていう。
2017-01-20 00:37:20つーか、商売として普通に考えたら「同じ値段で同じ数を売ったときにより大きな収益が得られる」という意味では、出版社にとっても電子書籍は魅力的商材だと思うんだけど、もしそこで「同じ程度の収益しか許されない」なら、電子書籍作るメリットなくなるよね。出版社に。「紙でいいじゃん」てなる。
2017-01-20 00:38:48電子書籍は同じ内容の紙書籍に比べて、既に若干の値引きはされていて。これは上製本→文庫本みたいな感覚というか。「函がないんだから文庫本は上製本より安くていいよね」程度の受け取られ方なんだろなあ。
2017-01-20 00:40:00