「大事な書類はシヤチハタNG」なのはなぜ?Xでは「会社で長年使い続けたけど問題なかった」という報告も
職場や家庭で広く普及している「シヤチハタ」。
シヤチハタは朱肉いらずで気軽に使えて便利である一方で、一般的には「銀行印など重要な書類では使用NG」という認識が定着している。そのため、仕事や日常生活で押印が求められるシーンで「シヤチハタは使用しないでください」という注意書きに遭遇することも少なくない。
そんな中、漫画家の酒井大輔(@sakai0129)さんが「会社員時代に銀行印以外の書類を全てシヤチハタで押したけど、退職するまで何も言われなかった」と投稿し、注目を集めている。
シヤチハタがNGな理由はどこに?
酒井さんは、重要な書類などではシヤチハタの使用がNGとされていることを常識としては知っていたが、職場では「注意されるまではシヤチハタで行こう」と、シヤチハタで押印してきたそう。結果、退職するまでの8年間近くを、特に注意を受けることなく終えたというのだ。
この投稿に対して、「案外(シヤチハタでも)問題ないんですよね…」「これまで3社の職場経験でシヤチハタしか使ったことないけど、問題が起きたことも注意されたこともない」「今務めている会社との雇用契約書をシヤチハタで判子押したけど何も言われなかったな…(勤続20年)」と近しい経験談が続々と寄せられた。
シヤチハタの使用がNGとされていながら、実際はシヤチハタでも問題なかった、という経験をしたことがある人は意外に多いようだ。
Xでは過去にも「シヤチハタが使えないシチュエーション」についての話題がたびたび拡散されてきた。それらを見ると「なぜシヤチハタがダメなのかよくわからない」「100均の判子が許されるのにシヤチハタがNGなのが納得いかない」と使用の制限を疑問に思う声も少なくない。
では「重要な書類でシヤチハタがNGとされている理由」はどこにあるのか。元銀行員のXユーザーは、自身の職場での経験から「シヤチハタがダメな理由」について
・硬い判子は欠けても照合できるが、シヤチハタはゴム素材のため経年劣化で線が太くなる
・朱肉はにじまず、落ちにくいが、シヤチハタのインクは経年によってにじんでしまう
といった理由を挙げている。
シヤチハタ公式HPでは、「紙に押した印影の保持期間」について
上質紙などへのなつ印で、ファイルなどでの通常保管(直射日光があたらないなど)であれば20年間は鮮明な印影を保持していることを確認しています。さらに長期間となりますと紙の耐久性が問題となります。
と回答している。また、重要な書類にシヤチハタを利用することが適切でない根拠については
ゴム印であるため時間の経過とともに摩耗・変形することも考えると、法人で使う印鑑としてはあまり適切ではないでしょう。また、公的な書類には利用できません。
と書いている。主にシヤチハタの本体・インクともに耐用面から来る理由のようだ。
これらを踏まえると、公的な書類以外で「シヤチハタNG」とされている書類については「何か問題があった時のため」という予防的な意味合いが強いのかもしれない。実際、Xでは「うちの会社ではシャチハタでも良い書類と絶対ダメな書類を間違えないように、絶対にシヤチハタの利用禁止でした」という例も複数見られた。
いずれにせよ「シヤチハタはNG」という指定を見た場合は、「これまで問題が起きたことはないし…」と油断せず、通常の印鑑を用いるのが良いことに変わりはなさそうだ。