「夢」を追いかけるのは本当に良いこと? いろんな酔っ払いに聞いてきた
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こんにちは。ヨッピーです。
みなさん、「イン・ザ・ヒーロー」という映画をご存じでしょうか。
特撮映画などで着ぐるみを着用して演じる役者を「スーツアクター」と言いますが、この映画はそのスーツアクターの夢に焦点を当てた物語です。
主役のベテラン・スーツアクター本城渉(50歳)を演じるのは、「20世紀少年」シリーズ以来、5年ぶりの主演映画となる唐沢寿明さんです。
同作は「夢」というのが大きなキーワードとなっています。本城は”顔出し”で映画出演することを夢見ながらも、福士蒼汰さん演じる新人スーツアクター・一ノ瀬リョウにその座を奪われるなど、何度も辛酸を舐めてきました。そこに、ハリウッド映画のアクション大作からオファーがかかるのであります。本城にとっては、一世一代のチャンス到来。
しかしそれは、命をも落としかねない危険なスタントでした。周囲の制止する声を振り切り、自分の夢のため、誰かのヒーローになるために、本城は撮影スタジオへ向かうのであります…。
実社会でも同じように「夢を追うか、諦めるか」という決断を迫られた人は多数いるはず。
実際に夢を追い続けた人、それとも諦めてしまった人、それぞれどういった人生を歩んできたのでしょうか。
そこで、今回はいろんな人に「夢」について聞いてみたいと思います!
31歳、夢を叶えたサラリーマン
そんなわけで新橋にやってきました!
良い感じに酔っ払っているおじさんたちに「夢」について語ってもらいたいと思います。
「僕はありましたよ。小さいころから鉄道員になりたかったんです」
「めっちゃアッサリ見つかった。じゃあどうですか? 夢を叶えた気持ちって。やっぱり幸せですか?」
「いや~自慢みたいになりますけど、やっぱり好きなことを仕事にするのは最高ですね。あとはすごく素敵な仲間に囲まれていているので、自分は恵まれてると思います」
「おー、最高ですね。じゃあやっぱり『夢は追うべき!』みたいな考え方なんですか?」
「いや、でも『プロ野球選手』とか『総理大臣』とかあんまり大きすぎる夢を持っちゃうと叶わないことも多いだろうし、いろいろ大変だと思うんですよ。ただ『一戸建てに住みたい』とかそれくらいの夢なら持ってた方が絶対良いと思います。夢って追いかける過程にこそ意味があると思うので」
自転車の大会に出るためにフランスに行きたい60歳のおじさん
「何言ってるんですか! あなたはフランスがあるじゃないですか!」
「いやー、僕は趣味で自転車をやっていてね。パリからブレストまで往復1200キロを走る大会があってそれに出たかったんだよ。けれど参加制限があって、600キロを40時間で走らなきゃ参加できないんだよね。400キロは走れたけど600キロはダメだった。1000キロ走るやつは800キロまでしか走れなかったし」
「ちょっと待って、単位がおかしい。自転車で1000キロ走るんですか!?」
「うん。1000キロを丸3日かけてね。もちろん睡眠時間とかも取らなきゃいけないけど、それ以外の時間はずっと漕ぎっぱなし」
「1000キロだと東京大阪間を往復するようなものですよね。それを60歳でってすごいな…。次の大会も目指すんですか? 4年に一度の大会なら次は64歳ですよね?」
「そんな夢だなんて大層なものじゃないよ。別に小さなことだって良いんだよね。身近で小さいことでも『幸せ』って作られるものだから。例えば、今日の夢は『夕方から飲みたい』だったから」
アメリカ人の「夢」と日本人の「夢」の違い
「今はサラリーマンってことは夢が叶わなかったんですよね…?」
「そうそう。高校の時に当時の日本代表ユースのやつと対戦したんですけど、まぁボッコボコにやられましてね。しかも『全国にはこいつよりもっとうまいやつがいるんだ…』と思ったら、叶うわけないと思いまして」
「なるほど。スポーツの世界は優劣がハッキリつくから結果は分かりやすいですね」
「学生のころに『将来こうなるぞ!』みたいなこと考えませんでした?」
「いやもう全然! 日本の大学に全部落ちて、アメリカの大学に逃げましたからね」
「あのね、あいつらは高校生まではみんなバカなんですよ。『ウェ~イ!』みたいな。それこそ日本の学生の方が全然優秀なんです。それが、大学に入るといきなりちゃんとし始めるんですよ。ちゃんとしないと卒業できないからなんですけど。で、そういう学生たちって『夢』なんて感じじゃなくて、具体的な『目標』を持ちはじめるんですよ。俺はこうやって起業するんだ、とかこういう仕事をやる、とか。そういう目標を持って大学で勉強するんですよ。なんとなく学生生活を過ごしちゃう日本の大学生とはそこが違うんですよね。高校までで持ってた日本の学生のアドバンテージは大学生活で一気に逆転されちゃう」
「そうなんですよ。夢って言うとなんか大きくなっちゃいますけど、やっぱり目標がないと。まぁ僕の目標はこの後ファッションヘルスに行くことですけど」
「やっぱりみんな風俗が大好きなんだね…」
全然関係無い結論を出す僕。
そんなわけで10人くらいの酔っ払いの人たちに話を聞いてみましたが、「夢を叶えた!」という人は、冒頭に出た鉄道員の方くらいで、多くの方は途中で諦めたり、いまだ夢の途中だったりするようです。
ちなみに女性にも「例えば彼氏が『会社を辞めて、俺はビッグなミュージシャンになる!』って言ってたらどうします?」って聞いたら「現実見てね、って感じ」と冷たく言い放たれました。女性の方が現実主義なのかも知れない。
「夢否定派」の中川淳一郎さんに聞こう
「夢」アンケートの最後は、この人に語っていただくことにしました!
「夢、死ね!若者を殺す自己実現という嘘」の著者、中川淳一郎さんだー!
●中川淳一郎
ネットニュース編集者、ライター、PRプランナー。博報堂を退社以来、インターネット黎明期から第一線でバリバリ活躍中。講演、テレビ出演など多数。著書に「ウェブはバカと暇人のもの」「内定童貞」など多数。
取材は中川さん行きつけの居酒屋で行われました。「夢」は酔っ払いに聞くのが一番良いかと思ったからです。
「中川さん、もうすでにベロベロに酔っ払ってるように見えますけど大丈夫ですか」
「大丈夫! オレはね、オレみたいな老害がね、君みたいな若くて未来のある人に『話を聞かせてください』って言ってもらえるだけでうれしいんだよぉぉぉおおおお!!!」
「僕、中川さんの『夢、死ね!』を拝読したんですけど、今回のテーマにちょうど良い本だなと思いまして。中川さんって、本の中で『夢なんて99%叶わない』って言ってるじゃないですか」
「そうそう。そうなんだよ。夢なんて普通叶わないものなんですよ。例えばサッカー日本代表の本田圭佑が小学校の卒業文集に『セリエAに入る』っていう夢を書いて、それを実現したからって『夢は叶うんだ!』なんて何百万分の1の確率なんだよって話でね。そのレアケースを例に挙げて『夢は叶う! だから諦めるな!』なんて成功した人にしか言えない暴論なんだよね」
「そうなんですよ! あんな感じに『諦めるな! 追い続けろ』って煽るだけ煽って、その言葉を信じて夢を追いかけ続けた結果、結局成功しなくて生活も苦しくなってみたいな状態に陥った人に、煽ってた人たちって別に責任を取らないわけじゃないですか。そんなの無責任だと思うんですよ」
「そうなんだよね。まだスポーツ選手は良いんだよ。結果がハッキリ出る世界だから。松井秀喜が高校のころから化け物みたいにホームランかっ飛ばしてて、ああいうのを目の前で見ていた人たちは『これは勝てない』ってすぐ諦めがつくじゃない。だけど、小説家とか音楽家とか、クリエイターって呼ばれるような職業だと『審査員が悪い』とか『時代が追い付いてない』とか結果が出ないのを他人のせいにしちゃえるから、余計に諦めがつかなくなっちゃうんだよね」
「ほんと、夢を追い続けることのリスクとか弊害にもっと目を向けるべきだと思う。映画の趣旨とは変わっちゃうかも知れないけど」
夢を諦める期限は?
「まぁ個人的な意見ではあるけど、だいたいね、TwitterとかFacebookで『俺はやります! 絶対に夢を諦めません! 夢を叶えるまで走り続けます! 起業します!』みたいなこと言ってる人がたまにいるじゃない? あれって、はたから見るとなんとなくかっこ良く見えるけど、結局は『お金稼いでうまいもん食いたい』ってだけなんじゃないかな? それを『夢』っていう、なんとなくかっこ良いワードで包んでるだけじゃねえか、っていう」
「あーそれめっちゃ分かります! 『起業家になりたい』ってすごくかっこ悪い言葉だと思うんですよ。やりたいことがあって、目標があって、それを追及した結果『起業しました』っていうのが本来あるべき姿じゃないですか? 『起業家になりたい、でも何するかは決めてません』とかって単純に『起業家』っていう響きに憧れてるだけだと思うんですよね。『お笑いがやりたいからお笑い芸人になった』っていうのと、『お笑い芸人になりたくてお笑い芸人になった』っていうのは全然違いますもん。有名になって、チヤホヤされて、お金が儲かる仕事だったらたぶんなんでも良いんですよ。それを『夢』って言われるとなんか違うんじゃないの、って」
「まあ、ワタミのおじさんが『夢に日付を入れる』みたいなことを言い出してから、『夢を語るのがかっこいい』みたいな風潮になったよね。もちろん目標を持つのは大事なことなんだけど、『夢に日付を入れる』のと同時に、『夢に諦める期限をつける』のも大事なことだと思う」
「こういうことを言うと、反発する人もいるかもしれないけど『絶対に報われない努力』ってやっぱりあるからさ。才能だったり環境だったり、全員が全員夢を見ていられないわけさ。それこそ『ずっと夢を見ていたい』のであれば、社会に目を背けて、家に引きこもってずっと夢想するしかないじゃん。でもそんな風に人間は生きていけないんだよね。現実を見て、『夢』みたいな大きなことじゃなくて、身の回りにある、現実的な『目標』を達成するために努力することが大事なんだと思います」
中川淳一郎の「夢」
「僕ね、夢って叶わなかったらかっこ悪いなって思ってたからずっと人に言ってなかったの。でも、それが最近叶ったんだよ。だからもう言っちゃおうと思って」
「椎名誠さんの本ですよね? あれ、帯を中川さんが書いてる!」
●椎名誠
テレビ紀行やCM出演などもこなす人気作家。代表作に「岳物語」など。国語の教科書で読んだことがある人も多いはず。
「オレね、椎名誠の大ファンなんだよ。ずっと昔っから『椎名誠と一緒に仕事がしたい!』って思っててさ。まぁ俺はメディアをいろいろやってるから、『椎名さんインタビューさせて下さい』って言えばできたかもしれない。でもそうじゃなくて、椎名さん側から『中川さん仕事しましょう』って言われたかったんだよね」
「じゃあ、この帯も椎名誠さんの担当編集から椎名さんの承諾を得た上で『書いてくれ』って?」
「そう、そうなんだよ! この話が来た時、狂喜乱舞したよ! もう大喜びで原稿書いてね。書き上げた後もメールの送信ボタンを押せないんだよ! 『これを押したら、この夢みたいな時間が終わっちゃう…』って」
思い出し泣きをする中川さん。
「最初はね、巻末のエッセイを書いてくれって言われて、そのエッセイを見た椎名さんが気に入ってくれてさ、『じゃあ帯も書いてくれ』って。椎名誠の大ファンなんだよ俺! こんなうれしいことってないじゃん! そんな憧れの人から『一緒に仕事をしましょう』って言われたんだよ!?」
「叶えたのかよ! 『夢なんて99%叶わない』とか言ってたくせに!」
「まぁでも、中川さんも別に『俺は椎名誠に仕事もうらぞー! ウォー!』って騒いでたわけじゃないですもんね。現実的な、自分の周りにある小さな目標をコツコツ達成していってたら、たまたま叶っちゃったっていう」
「そうなんだよね。夢に縛られるのは良くないけど、目標に向かってがんばることは大事なことだから。これを読んでる人たちも、しっかりを地に足をつけてひとつひとつ小さな目標をクリアしていって欲しい」
そんなわけでいろんな人の「夢」について聞いたわけですが、いかがだったでしょうか。
この機会に「夢」と「目標」について、一度考えてみると良いかも知れません。
「イン・ザ・ヒーロー」はそういう人にとって何らかの指標になる映画だと思います。3月4日からは、ブルーレイ&DVDがリリースされましたので、この機会に観てはいかがでしょうか。
「イン・ザ・ヒーロー」豪華版(初回生産限定) Blu-ray版、DVD版
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発売元:株式会社RESPECT(レスペ) 販売元:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン株式会社
執筆:ヨッピー/編集:播磨谷拓巳(ノオト)/企画:有限会社ノオト