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キャプテン・アメリカの盾はいかにしてサム・ウィルソンに渡ったのか?『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』に続く物語まとめ

キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド
(C) 2024 MARVEL.

『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)から『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)に至るまで、歴史を超えて戦い抜いたスティーブ・ロジャースはその日、キャプテン・アメリカとして最後の任務に赴いた。サノスの野望を打ち消すべく拝借したインフィニティ・ストーンを元の時代へ返す旅に出たのだ。しかし、戻るはずの「5秒」が過ぎても彼は姿を現さない。サム・ウィルソンとバッキー・バーンズが見たのは、湖畔のベンチに佇む、よく知っている気がする老人の後ろ姿だった。

バッキーに促されてサムが側に寄ると、老人の正体はスティーブ・ロジャースだった。「やあ、サム」。その微笑みには、世界を背負う責務から解放された安堵があった。彼はストーンを元に戻す一大任務をやり遂げた後、はじめて自分の人生を歩んでみようと思い立ったのだ。どんな年月を過ごしたのか、彼は決して言わない。優しく刻まれた皺を見ればわかることだ。彼は幸せだった。ペギー・カーターを愛した。そして今、最後の贈り物を届けるために、盟友の元に戻ってきた。

サノスとの戦いで砕かれた盾の代わりに、スティーブは過去の時代から新たな盾を持参した。革の収納ケースは既に柔らかい。この日のために、おそらくは彼の古風で素朴な服が並ぶクローゼットで、しばらく眠っていた盾。「持ってみろ」とスティーブ。サムは驚きを隠せない。左腕に通してみる。借り物みたいだ、とサムは言う。

「君のだ」。スティーブの想いを理解した瞬間、サムは言葉を失いながら、深い決意を飲み込もうとした。「ありがとう、ベストを尽くすよ」と応えるサムだったが、盾が象徴するものの真の重みを、この時はまだ理解していなかった。

サムが受け継いだものは、ただ一枚の盾ではない。それは、信念と葛藤が交差する象徴だ。果たしてサムは、いかにしてキャプテン・アメリカの名を継ぎ、そして背負うことを選んだのか?彼が飛び立つ“新世界”では、どのような戦いが待ち受けているのか?本記事では、マーベル・シネマティック・ユニバース最新作『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(2025年2月14日日米同時公開)に向けて、キャプテン・アメリカと盾の起源、ドラマ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」(2021)で描かれたサム・ウィルソンによる継承の戦いを丹念に振り返る。

スティーブ・ロジャース:盾の起源

キャプテン・アメリカは、勇気や献身と常に共にある。1942年、スティーブ・ロジャースがスーパーソルジャー計画に選ばれたのは、彼の人間的な資質が理由だった。ひ弱なため軍への志願入隊も叶わなかったスティーブだが、超人血清を開発したエイブラハム・アースキン博士にその高潔な精神を見込まれる。

超人血清は、人の内なるものを全て増幅する。善人はより善人に、悪人はより悪人に。アースキン博士は、被験者の人柄をよく見極める必要があった。スティーブは自らの身を差し出してでも、人を守ることができる男だ。「君のままでいてくれ。完璧な兵士ではないが、ずっと善良な人間のままで」……。

キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー
『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』ディズニープラスで配信中 © 2024 Marvel

実験は成功し、スティーブは屈強な肉体と超人的な体力を手に入れた。親友であるバッキー・バーンズが所属する107連隊がヒドラに襲撃されたと知ると、スティーブはたまらず1人で敵陣に飛び込んだ。隊を救って帰還すると、スティーブは天才発明家ハワード・スタークが用意した試作品の中から、シンプルな円形盾を選んだ。鋼鉄より強くて軽い、ヴィブラニウムという希少な金属でできたもので、振動を完全に吸収できる。

キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー
『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』ディズニープラスで配信中 © 2024 Marvel

スティーブはこの盾と共にヒドラ軍を破ると、愛するペギー・カーターとの約束を果たせぬまま氷雪地帯に墜落し、長い眠りについた。そして70年後、冷凍状態から目覚めると、彼は最強ヒーローチーム“アベンジャーズ”の一員となり、かつてない規模の戦いに挑むようになる。

その星条旗が示すもの

盾は攻撃のためではなく、防御のための武器だ。ニューヨーク決戦やソコヴィアの戦いで、スティーブは盾と共に地上での人命救助に奔走した。自らの身を顧みず、様々な脅威から人々を守った。

アベンジャーズ キャプテン・アメリカ
『アベンジャーズ』ディズニープラスで配信中 © 2024 Marvel

ヒーローたちの活動を国連管理下に置く“ソコヴィア協定”をめぐってアイアンマン/トニー・スタークらと意見を対立させると、スティーブは盾とチームを置いて逃亡者となってまで、自らの信念を貫いた。身寄りもない別時代に目を覚ましたために頼れる存在もなく、S.H.I.E.L.D.崩壊を目の当たりにしたために信じられる組織もない。従うのは、純然たる道徳心のみ。守るべきもの、倒すべき相手があれば、スティーブは全てを賭けて戦った。

その精神は、自分より大柄な男を相手に、ゴミ箱の蓋を盾にして立ち向かった1942年の路地裏から変わらない。サノスとの死闘では、最後の1人になろうとも、何度でも立ち上がった。もう体力は残されていない。盾は砕かれ、原型を留めていない。もはや勝算などない。それでも彼は歯を食いしばり、立ち向かう。それがキャプテン・アメリカだからだ。その星条旗が、人々の勇気と希望を象徴する限り、彼は戦い続ける。

アベンジャーズ/エンドゲーム
『アベンジャーズ/エンドゲーム』ディズニープラスで配信中 © 2024 Marvel

サム・ウィルソン:継承の旅路

そんなスティーブと共に戦ったサム・ウィルソンは、ウィングスーツを操縦する元アメリカ空軍落下傘部隊で、スティーブと出会った頃はPTSDに苦しむ退役軍人のカウンセラーを務めていた。助けを求めていたスティーブに協力するようになり、「ファルコン」としてアベンジャーズに加わる。戦闘ではまさに隼の如く飛び回り、電光石火の空中攻撃で敵陣を掻き乱した。ウィングスーツから飛び出す小型ドローンの相棒「レッドウィング」は偵察任務にも重宝される。

「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」
「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」ディズニープラスで配信中 © 2024 Marvel

サムは『アベンジャーズ/エンドゲーム』の最後に老人として帰還したスティーブから盾を受け取ったものの、その重さを受け止めるには準備が足りなかった。アメリカの象徴たるキャプテン・アメリカを継ぐという重圧感に耐えかねたのだ。「シンボルには、それに意味を持たせる人間が必要なんです。これは何よりも偉大なシンボルですが、それは使いこなした男がいてこそだ。彼は去った……」サムはそう語り、盾をスミソニアン博物館に寄贈する。事実上の返却である。

与えられたはずの使命にサムが向き合えずにいる間、彼にとって想定外の、しかし、どこかで恐れていたことが起こった。アメリカ政府が、新たなキャプテン・アメリカに盾を持たせたのだ。任命されたのはジョン・ウォーカー。元アメリカ陸軍兵で、多くの勲章に輝いたエリートだ。混沌の時代を迎えたアメリカには、スティーブに代わる象徴的な英雄が今すぐ必要とされていた。ジョンは祝福され、国の期待を一身に受け止めた。

ファルコン&ウィンター・ソルジャー
「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」ディズニープラスで配信中 © 2024 Marvel

一方、世間では「指パッチン」で人々が消えていた5年間に起こっていたような国境なき世界を望む過激派集団「フラッグ・スマッシャーズ」が台頭していた。彼らは超人血清による怪力を有しており、目的達成のためなら手段を選ばない。標的とされたのは、指パッチンから戻って難民となった人々の支援を目的とする国際機関GRCだ。元いた人々と消えていた人々との間に分断が生じる世界の中で、フラッグ・スマッシャーズは自由の闘志として信奉者を集めていた。

「なぜ盾を手放した!」盟友バッキー・バーンズに責められようとも、サムにはまだ覚悟が定まらなかった。アベンジャーズの戦いによって家族が犠牲となったヘムルート・ジモは、このシンボルが英雄視される陰で罪なき人々が殺され、戦争が起こったと咎める。すんなりと受け継ぐにしては、盾のレガシーはあまりにも複雑なのだ。

ジョン・ウォーカーは、スティーブの象徴性に追いつこうとする焦りから暴走し、ついには公衆の眼前で盾を血に染める事態に陥った。そのためサムは、バッキーと協力して力づくで盾を奪還しなければならなかった。この盾を持つ者は資質が問われることを、サムは改めて痛感する。

ファルコン&ウィンター・ソルジャー
「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」ディズニープラスで配信中 © 2024 Marvel

サムの決断に最も大きな影響を与えたのは、隠遁生活を送る老いた黒人男性のイザイア・ブラッドリーだ。かつて政府に超人血清を打たれ、朝鮮戦争で英雄的な活躍を遂げたが、その後は30年にもわたって研究の実験台にされ、不当に投獄され、社会から抹消されていた。金髪碧眼のスティーブ・ロジャースが国の英雄となった裏で、闇に葬られた超人兵士の地獄が存在したのだ。「奴らは絶対に黒人をキャプテン・アメリカにしない」とイザイアに忠告され、サムの心は揺さぶられる。

戦い続けなければいけない。そうでなければ、イザイアの犠牲が報われない。かつてスティーブがそうだったように、サムを導いたのもまた、自身の道徳心であり、勇敢さだった。黒人が盾を継承することの真の意味について、世界はまだ理解していない。スティーブや、バッキーでさえも、サムの葛藤は見通せなかった。

ファルコン&ウィンター・ソルジャー
「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」ディズニープラスで配信中 © 2024 Marvel

力が先にあり、信念が後に備わったのがアイアンマン/トニー・スターク。信念が先にあり、力が後に備わったのが初代キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャース。だとすればサム・ウィルソンは、信念も力も、自らの努力で手に入れるヒーローとなるだろう。黒人である彼が、アメリカの象徴を名乗ることは、並大抵のことではない。生身の人間である彼が、超人スティーブと同じように盾を使いこなして戦うこともまた、並大抵のことではないのだ。

だからこそ、サムは立ち上がる。キャプテン・アメリカとは、勇気や献身と常に共にあるのだ。特訓に明け暮れ、サムは文字通り盾を真正面から受け止められるようになった。フラッグ・スマッシャーズがGRCの会議場を襲撃すると、サムは新たなスーツと盾と共に、“キャプテン・アメリカ”を名乗って飛来する。

ファルコン&ウィンター・ソルジャー
「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」ディズニープラスで配信中 © 2024 Marvel

「この盾を手に取るたびに、数百万人の人に憎まれることを覚悟している」と、彼は全世界に向けて語る。「俺には超人血清も、金髪も、青い目もない。俺の持っている力は、より良い世界を作れると信じる心だけだ」。その星条旗が、人々の勇気と希望を象徴する限り、キャプテン・アメリカは戦い続ける。

ここに、新たなるリーダーが誕生した。その名はサム・ウィルソン、星条旗を背負った黒人。「よく自問してほしい。力をどう使うのか」。サムは人々に説く。まるで、自分自身にも言い聞かせるように……。

ファルコン&ウィンター・ソルジャー
© 2021 Marvel

『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』新たなる世界、新たなる試練

来たる『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』でサム・ウィルソンは、受け継いだキャプテン・アメリカの名の下に新たな試練に挑む。対峙するのは、アメリカ大統領に就任したサディアス・“サンダーボルト”・ロス。かつてソコヴィア協定をアベンジャーズに突きつけた張本人であり、スティーブに逮捕令を下したこともある天敵だ。再び軍への忠誠を求めるロスの呼びかけに、果たしてサムはどう応えるのか。

キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド
© 2024 MARVEL.

そんな中、さらなる混沌が訪れる。イザイア・ブラッドリーが突如暴走し、演説中のロス大統領を襲撃したのだ。「気をつけろキャップ 何かがおかしい」と彼が忠告する裏に潜む真実とは。善悪が曖昧な新時代でサムは、誰が味方で、誰が敵かさえもわからない陰謀に巻き込まれていく。

キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド
© 2024 MARVEL.

「君はキャプテン・アメリカだが、スティーブ・ロジャースではない」。ロス大統領は言い放つが、確固たる信念を備えたサムは動じない。「その通り。俺は俺だ」……今、新生キャプテン・アメリカの次なる戦いが幕を開く。受け継いだ星条旗を背に、サム・ウィルソンが“新たなる世界=ブレイブ・ニュー・ワールド”の空を飛翔するのだ。

映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』は2025年2月14日、日米同時公開。

Supported by ウォルト・ディズニー・ジャパン

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THE RIVER編集部THE RIVER

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