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日本経済研究センターがこのほど、トランプ次期米大統領が掲げる関税政策を行えば、中国の実質経済成長率が2035年に1%台に低下するという推計を発表しました。

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日経センターの試算は、「アメリカが中国に60%、他の国には10%の追加関税を課し、相手国から報復を受けない」ことを前提にしたものです。この影響で中国の国内総生産(GDP)は、30年に3%台を下回り、35年には1.8%にまで落ち込むといいます。

中国は不動産不況に見舞われ、政策依存の景気が続いています。そうした中、貿易戦争がさらに激化すれば、GDP成長率が大幅に下振れる可能性が高いです。

また、アメリカがトランプ氏の公約である130万人の不法移民を強制送還すれば、米国内の就業者の減少により、25年の実質GDP成長率が2%を下回るものの、その影響は小幅になると試算。米中の名目GDPは35年時点でアメリカが13.2兆ドル高くなる見込みであり、懸念されてきた「米中逆転は起きない」といいます。

そして日本がアメリカから追加関税を課された場合、輸出が2%ほど減少すると見られます。来年の成長率は1.2%であるものの、28年には1%台を割り込み、29年以降は「0%台が定着」し、経済がさらに停滞し続ける可能性が想定されています。

これらを受け、「貿易戦争の負の影響が大きい」ことを問題視する日経センターは、中国が加わる東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)をはじめとする「自由貿易協定の強化」を提起し、アジア・太平洋諸国はその方向で連携すべきであると主張。しかし、中国がその自由貿易を「悪用」して、軍事拡張の資金源に回している点などには言及していません。

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