- 雨を降らせる機械からiPhone電脳メガネまで「自分が欲しいから作った」Mashup Awardめっちゃ楽しい12作品【鈴木まなみ】 - 2013-11-19
- スマホアプリは大手有利の時代【湯川】 - 2013-07-05
- そしてMacBook Airは僕にとっての神マシンとなった【湯川鶴章】 - 2013-06-14
[読了時間:3分]
テクロノジーとクリエイティブの祭典「明星和楽2012」が9月8日から二日間の日程で福岡市のイベントスペース「Gate’s」行われている。推定入場者数3000人。福岡のIT産業ってそんなに大きかったっけ?福岡のIT業界ってそんなに盛り上がってるの?
最高で4000人は入ると言われる福岡市中心部のイベントスペース「Gate’s」に入ると、まず目に入るのが壁に絵を書く人たち。奥のほうから福岡のアイドルグループの歌声が聞こえてくる中、進んで行くとフロアーに座り込んでキャンバスに絵を書くグループがいる。その向かいのサブステージではプログラマー向けの講座が開催されているかと思えば、その奥には15人くらいの女性がネイルのワークショップを受けている。「CSS」や「Javascript」という言葉が行き交う横でのネイルワークショップってなんだか異様。
行き来する人の中にはコスプレイヤーもいる。人体模型のコスチュームを着ている人もいる。
メインステージでIT企業のトークセッションが始まったので急いで前列のプレス席に座って取材しようとすると、トークセッションのあとは若い女性が派手な衣装でテクノポップを歌い始めた。
そのあとはニコニコ動画で話題になっているシュールなアニメ映画「放課後ミッドナイターズ」の竹清 仁監督のトークイベント、そしてテクノポップをバックにしたライブ生花・・・。
なんでもアリって感じ。なんなんだ、このイベントは!?
わけが分からず主催者の一人に「明星和楽を一言で表現すると何のイベントということになりますか?」と質問すると、「知りません、そんなこと」という答え。おいおい。
実際には福岡に拠点を置くITベンチャー、ヌーラボの橋本正徳氏など数人のコアグループを核に100人ほどのボランティアで運営されているイベントだ。今年で2年目の比較的新しいイベントだが、テクノロジーxクリエイティビティという領域において日本を代表するイベントに成長する勢いを感じた。
登壇者もモビーダジャパンの孫泰蔵氏、ゲームクリエイターの水口哲也氏、gumiの國光宏尚氏、Cerevoの岩佐琢磨氏、チームラボの猪子寿之氏、投資家の家入一真氏、モバツイ開発者の藤川真一氏、初音ミクのクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之氏など、豪華な顔ぶれ。
このほかにもフロアを歩いているとネット業界の知り合いの多いこと。登壇するのではなく一人の参加者として東京から参加しているネットベンチャー企業の経営者も多い。
明星和楽は、メインステージで開催されるテクノロジー系のセッション「和楽」と、夜から深夜にかけて開催される音楽・ダンスイベントの「明星」に分かれる。とはいっても「和楽」のセッション自体も「和」の「トーク」と、「楽」の「音楽・クリエイティブ系」の出し物が相互に行われる。
1日目は関係者と軽く食事したあと疲れたのでホテルに戻ったが、実は一番盛り上がったのが深夜のダンスイベントのようだ。スタッフルームの会話を聞いていると、朝方まで踊っていた人も多いようだ。
TechWave塾を福岡でも開催することになり、月に1度は福岡に行く生活が続いている。明星和楽の運営者のコアメンバーともお付き合いさせていただいているのだが、彼らと話をしていると明星和楽が東京や海外のイベントのコピーではなく、1つの新しいジャンルを築くようなイベントに成長する勢いを感じる。
その勢いはどこからくるんだろうか。
幾つか要因はあるのだろうが、1つには福岡という街の魅力にあると思う。地元出身者はもとより、転勤で福岡に住むようになった人たちの中にも、福岡という街を愛してやまない人が多い。
2つ目は街のちょうどいい規模感なんだろうと思う。IT業界だけで集まるのではなく、音楽やデザインなどの領域の人たちと日ごろからつながっているのだろう。東京の同様のイベントは、運営者であるIT業界関係者が音楽関係者を呼んでくるという感じのものが多いが、明星和楽はIT業界関係者、音楽、クリエイターなどがいっしょになってイベントを作り上げている感じ。前者は、つながりが一本の糸であるのに対し、明星和楽は人々がメッシュのごとくつながっているイメージだ。だからこそ推定3000人という入場者を集めることができるんだろう。
3つ目は、完全ボランティアで運営されているところ。イベントは、有料にしてしっかりとした内容にするのか、完全ボランティアイベントにするのか、どちらかがいいと思う。プロイベントかアマチュアイベントか。その両極端が成功しているように思う。明星和楽は完全ボランティアイベント。多くの人がイベント運営を「自分ごと」にしている感じがする。
4つ目は、「いい人」でつながっているところ。成功しているイベントって、必ずコアメンバーに、どうしようもないくらい「いい人」がいる。邪気を一切発していない「いい人」。そういう人に引きつけられるように多くの人が登壇し、運営を手伝うので、いいイベントになる。明星和楽もそんなイベント。コアスタッフもそうだし孫泰蔵さんのような「めちゃくちゃいい人」がからんでいる。「いい人」に頼まれれば、支援を断れない。なので成功するのだと思う。「貨幣」の時代から「信頼」の時代に移行する中で、「いい人」は今後ますます力を持つことだろう。
関係者によると、実は去年のイベントは思ったほど人が入らなかったようだ。しかし今年のイベントは開場から多くの人が押し寄せ、大盛況。恐らく明星和楽は今後、地域イベントに終わらず、日本を代表する、アジアを代表するイベントに成長していくのではないかと思う。
「蛇足」の「蛇足」:スタッフルームでこの原稿を書いていると、昨夜のダンスイベントでの状況を話し合っている会話が聞こえてくる。なんでもネット業界で著名な某氏が酔っ払って消火器を振りまわして大騒ぎだったのだとか。真偽不明だけど。ww。すごすぎる某氏、すごすぎる明星和楽。