データ民主化にむけてユーザサポートを強化している話
はじめに
こんにちは。ICT統括室で基幹システムを担当している丸田です。金融系SIerを経て2023年6月にリクルートに入社、現在はリクルートの管理会計システムの保守や、今回ご紹介する基幹系データを扱うデータウェアハウス(DWH)のデータ利活用推進などを担当しています。
この記事では、多くの課題を抱えたDWHのユーザサポート体制を構築した取り組みをご紹介します。やるべき施策をどうやって決めたのか、どういった点が良かったのか振り返りたいと思います。
担当システムの課題と取り組みのきっかけ
私が担当しているのはリクルートの基幹システムが持つデータを扱うDWH。利用者は約6000人でファイナンス部門の業務のほか、各事業での業績管理や取引先管理などにも利用されている、社内業務に浸透したシステムです。
ですが、複数の事業領域のデータを保持しているがゆえ、事業によってデータ仕様も保守担当も異なるなど、保持するデータも管理体制も複雑化しているのが課題でした。
そして初期構築から約25年が経つ古いシステム。近い将来、基幹システムの大規模刷新にともなって主要データの構造が大きく変わることが決まっているなど、変化の時を迎えていました。
このDWHの抱える「不」を解消してもっとデータの利活用を進めて行こう!と今年春に推進チームが発足。私たちのグループはユーザサポートのための施策を検討していくことになりました。
ユーザの困りごとはなにか?
明確にやることは決まっておらずゼロから始まった取り組み。なんとなく課題はありそうだけど、利用者は困っているのだろうか?実際どんな使われ方をしてるんだろう?その答えを見つけるためにまずやったのは「利用者ログの可視化」と「利用者への課題ヒアリング」
漠然とした課題感の解像度を上げることが目的なので、アンケートではなくログから抽出したコアユーザー10名ほどにじっくり話を聞く方法を選びました。
調査を進めていくと分かってきたのはこんな状況でした。
・調査や分析目的より定型的な業務での利用が多い
・過去に開発されたツールを介した利用など、利用者が利用データの内容を知らず使用しているケースも目立つ
・問い合わせ先や仕様書のありかが不明確で困った時の相談先がない
感じたのはデータの利用方法が予想以上に「ブラックボックス」であること。
定型利用はできても新たなデータを使い始めることのハードルが高く、仕様変更への対応も困難であることが想像できます。
“近い将来大きな変化があることが決まっている今、ユーザーが変化を乗り越えて業務継続できるようサポート体制を構築することが急務”。そう判断して具体的な施策の検討に向けて動き出しました。
具体的な施策の検討で意識したこと
具体的にどんなサポートが求められているのか、チームで意見を出し合いますが答えが出ないまま検討にばかり時間がかかる日々…そんななか取り入れたのが「なぜなぜ分析」でした。
実現すべきことを起点に「なぜできないのか、何が難しいのか」を洗い出し、そこからなぜ→なぜ→なぜを3~4回繰り返し本当に解決すべき課題を抽出、そこから打ち手(施策)を見いだしていきました。
なぜ?を問うときに意識したのは「目指したい状態」
ユーザーからの要望であっても、例えばそれがデータ利用のブラックボックス化を助長するようなものであれば別の手段を考えるなど、本質的な課題解決に繋がっているかどうかを常に意識するよう心がけました。
そして「なぜなぜ分析」を経て、実行を決めた施策は以下の3つ
- 分散されている情報の集約と一元管理
- ユーザが困ったときに相談できる体制と仕組みづくり
- 将来の変更点を分かりやすく伝える仕組みの構築
近々、基幹システム刷新について全社広報が予定されていたので、そのタイミングに合わせて施策を実行することにしました。準備期間は約1か月半。最初から完全な形にはこだわらず、まずは期限内に形にすることを目標に、情報集約・発信の場としてのポータル作成、問い合わせ窓口の開設、変更点の解説資料の作成などを急ピッチで進めました。
取り組みを振り返って
無事、予定通りに対応は進み、先日から問い合わせ窓口を通しての対応やポータルサイトの運営など実際にユーザサポートをしていくフェーズに入っています。
短期間で進めたこともあり不完全な部分が多く、走りながら改善を進めている状態ではありますが、それでも今回の取り組みを振り返ってよかったと思うポイントがいくつかあります。
- 課題にしっかり向き合うことでやるべきことをクリアに
今回、施策の実行前にヒアリングからの課題抽出やなぜなぜ分析で課題にとことん向き合いました。ここで「なぜこの施策をやるのか」という目的や意義が明確かつチームの共通認識となったことでその後の施策実行が迷いなくスピーディーに進められたと思います。
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不完全でもまずは形にしてアウトプット
ポータルサイトを見た方からは、”ここが分かりにくい””ここが不便だ”といったご意見をいただくこともあります。でもそういった声も大歓迎。不完全でもまず形にしたことで実際にユーザや第三者の意見を聞きながら改善を加えることができる状態になりました。小さく始めて大きく育てる、これを実践していければと思います。
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問い合わせ窓口の開設によるナレッジの蓄積
窓口の開設により、担当DWHのデータの具体的な利用事例を知る機会が増えました。また、問い合わせ対応を通してメンバーのナレッジ獲得が進んでいたり、対応履歴を蓄積して見える化が図れる状態になっていたりするなど、私たちサポートを行う側も大きなメリットを得られていると感じています。
最後に
取り組みの序盤では、検討にばかり時間がかかりアウトプットが出せるイメージが全くわかず、悩むこともありました。ただ、今振り返るとそれも必要な時間だったと感じます。
今回、課題の抽出から施策の検討、実行まで一貫して取り組めたこと、その過程でいろいろな方の意見に触れることができたことは非常によい経験となりました。
要求されたものを作るのが仕事だった前職。「なにをすべきか」から自分で考え取り組める環境に身を置きたいと考えリクルートにキャリア採用で入社したのですが、実際リクルートではそういった仕事をできる機会に恵まれています。
わたしたちの進めているユーザサポートはまだまだ道半ば。これからも引き続き、担当システムの利便性を高めるには何ができるか常に考え、取り組みを前に進めて行ければと思います。
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