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今LayerXのバクラク事業部 機械学習グループに入るべき理由(2024年版)

すべての経済活動を、デジタル化したい松村(@yu-ya4)です。LayerXのバクラク事業部機械学習グループにおいて機械学習エンジニア兼マネージャーを務めています。

先日、代表の福島(@fukkyy)が以下のnoteを公開しました。LayerXの発信を見てくださっている社外の方々から「もう入るには遅い会社だよね?」と言われることが最近増えたことに対して、LayerXがまだ全然完成されていない、成長機会だらけのこれからの会社であるということを綴った内容となります。

note.com

今回はこの内容を受け、LayerXのバクラク事業部においてAIや機械学習を活用した機能の開発・顧客価値の提供に責任を持っている機械学習グループについても、まだまだこれからの組織であり、今入っていただくことで様々な挑戦や成長の機会を提供できるということをお伝えしたいと思います。

現在のLayerX バクラク事業部 機械学習グループ

LayerXの機械学習チームは2022年に誕生しました。年明けに代表の福島が機械学習を本気でやっていくぞという宣誓を行い、春には初めての機械学習エンジニアが入社しました(ちなみに私はこのツイートにリアクションしたことがきっかけで声をかけられ気づいたら入社していました)。

それから2年の月日が流れ、今では機械学習エンジニア6名、ソフトウェアエンジニア1名の計7名のチームへと拡大しました。2024年に入って3名もの心強い機械学習エンジニアが入社してくれており、福島の掲げるMLチーム10倍(!!)に向けて少しずつ進んでいます。それぞれのメンバーの入社エントリも公開されているので是非ご覧ください。

note.com note.com note.com

開発面では、バクラクのコアな価値を提供するAI-OCRの開発が大きく進みました。軽減税率やインボイス制度に対応すべく新しい項目をデータ化する機能がリリースされたり、元々ヒューリスティックなルールベースロジックで動いていた部分の大半が機械学習ベースなものに置き換えられました。初めての機械学習モデルがプロダクトに導入されてから1年ほどが経過し、運用の仕組みもある程度は整ってきています。

また、AI-OCR以外のAI・機械学習を活用した機能の開発も進めており、提出された領収書のデータと法人カードの利用明細を自動で紐づけることで経費精算をバクラクにする機能をはじめとして、いくつかの機能をリリースしてきました。

bakuraku.jp

これらの取り組みの一部を国内の学会等で発表していたりもしています。

speakerdeck.com

こう見ると確かにいろいろとやってきているし、スタートアップにしては7名の機械学習チームってなかなかの規模かとも思うので、「もう入るには遅い会社だよね?」「自分が入らなくても…」と思うのも分からないでもないです。が、そうではないことを本記事では簡単にお伝えできればなと思います。

今LayerX バクラク事業部 機械学習グループに入るべき理由

組織の話

冒頭で紹介した福島のnoteにて、今LayerXに入るべき理由として挙げられている「チームごとの濃淡の話」および「組織の変化速度の話」をバクラク事業部の機械学習グループに当てはめた際の話をします。

チームごとの濃淡の話

LayerXは全社ではすでに300名を超える規模となりましたが、その中で事業部が大きく3つと共通管理部門が存在します。バクラク事業部には230名ほどが所属しているのですが、すでに6つの主力製品と言えるプロダクトが存在し、かつ3つの新しい事業あるいはプロダクトを新規で立ち上げようとしています。(実際は均等な人員配置ではないですが)単純計算ではひとつのプロダクトあたり25名ほどの割り当てとなります。

バクラクシリーズラインナップ

さて、機械学習グループでは現在、既存の6つプロダクトと新規の事業1つに関わっています。機械学習グループは7名のチームなので、単純計算ではひとりがひとつの事業・プロダクトを担当することになり、スタートアップらしい大きな裁量と責任が伴う仕事を皆が任せられています。

もちろん、常にすべてのプロダクトに均等にリソースを割いているわけではありませんし、資産の使い回しや共通化なども行いつつ進めているのですが、十分なチーム体制とは言えなさそうなことは伝わるのではないでしょうか?また、立ち上げ中の残りの2つのプロダクトについても将来的には機械学習チームも関わっていくことになるはずなのでなおさらです。

一方で、ひとつのプロダクトあたりひとりという攻めた体制とはいえ、先ほど述べた通り資産の使い回しや共通化ができるのは同じ会社・事業部の中に複数のプロダクトが存在するからならではの強みと言えるでしょう。AI-OCRはその際たる例です。プロダクトによって扱う書類の種類や利用用途が異なるため単純な話ではないのですが、コアな部分は使い回すことで新規のプロダクトに対しても爆速で価値を提供してきています。

また、最近ついにプロダクトのリリースを行ったAI・LLM事業部との事業部を超えた連携が行えることも強みのひとつです。LLMを利用したプロダクト開発に関してはAI・LLM事業部のほうに知見や資産が多く蓄積しており、バクラクにおけるLLM活用を推進するにあたって今後さらに連携を強化していきます(しています)。

layerx.co.jp

複数のプロダクトや事業が同じ会社内に存在する強みを活かしつつ、スタートアップ初期の裁量を持った挑戦ができる環境というのは非常に面白いのではないでしょうか。

組織の変化速度の話

ある時点での人数規模だけではなく、どういったスピードでその規模に至ったのか、未来にどのようなスピードで規模が変化するのかという「変化速度」の視点で会社を捉えることが重要であると元のnoteでは主張されています。なぜなら

変化速度が速い組織ほど意思決定機会、実行機会が自分に回ってくる確率が高まります。

からです。

LayerX全体では毎年2倍弱くらいのスピードで組織が大きくなっているのですが、これは機械学習チームも例外ではありません。前述の通り、2024年になって新たに3名の機械学習エンジニアを迎え、昨年から倍の規模に成長しました。実はこの記事の公開日の翌日の2024年7月1日には、チームが2つに分割され新たなリーダーのアサインも行われます。

今後についても同様に、あるいは今以上のペースで組織を拡大していくつもりです。冒頭に掲載した福島による機械学習を本気でやっていくぞという宣誓によると、機械学習組織は10倍に拡大される予定なのですから。

もちろん組織を拡大するということはその分、きちんと事業に資する成果を出していくという前提なのですが、それだけ様々な意思決定や実行の機会が皆に回ってくるということでもあります。スタートアップにおいてAI・機械学習系のメンバーだけでも複数チームが早々に成立する、そして今後も増えていく環境というのは珍しく非常に面白いのではないでしょうか。

ここまで、チームごとの濃淡や変化速度という組織の観点における魅力をご説明しました。LayerXが「もう入るには遅い」会社でないことは理解していただけたのではないかと思います。とはいえ、組織規模が10倍になった際にどこまでプロダクトや事業を越えた連携ができるのかは未知数ですし、規模が大きくなるほど組織の成長速度はどうしても落ちてしまいます。だからこそ、これらの面白さを最大限享受するためには「今」LayerXに入るべきなのです。

バクラクのAI-OCRが次の段階に進化しようとしている話

現在のバクラクにおいてコアな価値を提供しているのはなんと言ってもAI-OCR機能です。アップロードされた請求書や領収書などの書類から「取引先名」や「支払い金額」などの値を自動で抽出することにより、仕訳や経費精算といった業務における手入力を減らすことで、生産性の向上やミスの削減に貢献しています。

AI-OCR機能

機械学習グループではこの書類からの情報抽出タスクに長く注力しており、機械学習モデルの開発・運用、および継続的な精度改善に取り組んできました。その成果の一部は学会や技術ブログなどでも紹介しています。

さらに、このタスク自体が一見シンプルに見えることからか、機械学習に精通した方ほど「AI-OCRの機械学習モデルってもうほぼ完成していて運用フェーズなんですかね?まだやることあるんですか?」などと聞いてくださります。一方で、2年ほどこのタスクに取り組んできた身としては、全くそんなことはないと断言できます。

特に難しいと感じているのは、同一の書類であっても与えられるコンテキストによって抽出するべき値が異なるという点です。

バクラクでは、お客様の解決すべき課題や業務に応じた様々なプロダクトを提供しています。たとえばバクラク電子帳簿保存とバクラク経費精算では取引の「日付」という共通したラベルの情報が必要なのですが、それぞれで後続の業務が異なるために、同じ書類に対してでも異なる「日付」の情報を抽出しなければなりません。

また、同じ業務でもお客様によって異なる運用がなされていることも多く、言うなればパーソナライズされたAI-OCRによる情報抽出が現場では求められているということが分かってきました。

このAI-OCRの扱う問題の複雑さ、難しさについては機械学習グループのテックリードである @nt_4o54 がより詳しい内容をブログにしていますので是非ご覧ください。

tech.layerx.co.jp

その上で、バクラクの機械学習グループでは真にお客様が求めている体験を提供するため、これまでの開発や運用経験から得られた知見や資産をフル活用して、次の段階のAI-OCRに進化するための開発をまさに進めているところです。もしこれをやりきることができれば、同じドメインの近しい問題を解いているプロダクトとは一線を画すことができるのではないかと考えています。もちろん、それだけ難しい問題ですので一筋縄にいくとは思っていません。

だからこそ「今」LayerXに入ることで一緒にこの問題に取り組むことは、エンジニアとして非常に面白くチャレンジングなのではないかと考えています。

また、機械学習を扱うプロダクトを開発する身として無視していけないのはLLMをはじめとした生成AIの目まぐるしい発展です。これは間違いなく開発の方針に影響を及ぼしています。

with 生成AI・LLMの時代におけるAI-OCRの開発戦略については以下の記事にまとめてありますので、こちらも合わせてご覧ください。

tech.layerx.co.jp

AI・機械学習を活用した次のコア機能の開発、AI-UXとのシナジーの話

バクラクは長らくAI-OCRをコア機能として多くのお客様に価値を提供してきました。一方で、バクラクがリリースされた当初に比べると、AI-OCR機能自体はそこまで珍しいものではなくなってきています。もちろん先の節で説明した通り、AI-OCRだけでもまだまだ進化の余地はあると考えています。しかし、AIや機械学習という技術をコアに据えたバクラクとしては、AI-OCRと並ぶくらいに大きな課題を解決し、より大きな価値を顧客に提供できなければならないと考えていますし、その可能性が十分に眠っていると感じています。

すでにいくつかのAI-OCR以外のAI・機械学習技術を活用した機能はリリースされており、クローズドで使っていただきながら価値検証をしている機能もいくつかあるのですが、「次のコア機能」となるまでにはまだ距離があるように感じています。

ここを突破する鍵となるのがAI-UXとAX(AI Transformation)というキーワードであると考えています。AI-UXをひとことで表現すると「AIを前提とした理想のUX」であり、AI-UXでユーザーの体験を再構築していくことをAX(AI Transformation)と我々は呼んでいます。詳細は以下の福島の記事をご覧ください。

comemo.nikkei.com

AI-UXとAX(AI Transformation)というキーワードの意味するところは昔から存在していたかと思いますが、LLMをはじめとする生成AIの発展によりその可能性は無限大に膨れ上がっているように感じます。

生成AIの登場により、これまで実現することは難しいと思われていたような体験が、あるいは考えてもいなかったような体験が実現されうる世の中になっているのです。スマホ登場以来の大きなUXの転換点であるとも言われています。

また、これまでは大量のデータを集め、機械学習モデルを開発し、プロダクトに組み込んで、といった手順を踏んで大量のコストをかけなければ検証できなかったようなことが、生成AIによって低コストで素早く検証できるというプロセスの進化も見逃せない点です。

バクラク事業部ではこのチャンスを活かして次のコア機能を創造すべく、新しいポジションをオープンしました。

open.talentio.com

詳細は募集情報に譲るとして、機械学習グループとの関わりを簡単に説明します。ざっくり言うと、AI-UXエンジニア(仮)はLLMなどの技術を駆使することでAIを活用した新しい価値をどんどんと作り上げていきます。特に0→1の検証をスピーディーに行うことが求められます。

AIを活用した価値を正しく検証するためにはAI・機械学習ならではのスキルが必要となる場面も少なくありません。このような場合は、機械学習グループのメンバーも協力することで正しい価値検証を試みます。あるいは、0→1はLLMを使って検証したが、将来的には従来の機械学習モデルを活用することが適しているケースも存在します。そのような場合は、将来の1→10を見据えた上での設計や開発を機械学習グループのメンバーとともに進め、いずれその改善や運用を機械学習グループのメンバーが受け持つこととなるでしょう。

バクラク事業部の機械学習グループでは、このAI-UXによるシナジーを最大限活かすことでAI・機械学習を活用した次のコア機能を開発するべく走り始めています。このような動きはまだ始まったばかりではあるのですが、この数年のうちに世の中的にも当たり前になっていくであろうと考えています。だからこそ「今」、AI-UXとAX(AI Transformation)に賭けているLayerXに入社していただき、with 生成AI・LLM時代の"New Normal"な開発体制をもってまだ見ぬ体験を一緒に創造していくことは非常に面白いのではないでしょうか。

おわりに

以上、今LayerXのバクラク事業部 機械学習グループに入るべき理由(2024年版)を「組織の話」「バクラクのAI-OCRが次の段階に進化しようとしている話」「 AI・機械学習を活用した次のコア機能の開発、AI-UXとのシナジーの話」という3つの方向から説明してきました。

少しでも気になってくださった方はぜひもっと詳細についてカジュアルにお話しさせてください。機械学習エンジニアやMLOpsエンジニア、AU-UXエンジニアをはじめとしたあらゆるポジションにおいて、今しかないこのフェーズを一緒に走り抜ける仲間を募集しています。

jobs.layerx.co.jp

open.talentio.com