2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

写真に負ける

このお正月から写真を大きく掲載してみました。ところが、どうもしっくりきません。文章が写真に負けてしまうのですね。写真は情報量が多いと言いますが、物理的にも、見る者に与える心理的な印象の広がりという意味でも情報量は多いようです。僕の下手な写…

グーグルの書籍検索に関する美崎薫さんの記事を読む

美崎薫さんが『MYCOMジャーナル』に立て続けにグーグルにまつわる話題を記事にしている。 ■ICADL2006 - Google Book Search技術担当者が語るデジタルアーカイブ(2007年1月9日) ■ICADL2006 - Google Book Search技術担当 Daniel Clancy独占インタビュー(2007…

「球体写真二元論: 細江英公の世界」

僕はアートとしての写真の知識はほとんど持ち合わせていない写真のド素人である。だから、細江英公という人が国際的にはもっとも名の知られた日本の写真家なのだと聞いて、へえ、そうなんだと思った。三島由紀夫をモデルにした写真集『薔薇刑』は三島の話を…

他人との距離に人は共通感覚を抱いているか

『mmpoloの日記』で「人の身体の境界はどこか」という話題が取り上げられている。mmpoloさんの胸ポケットのタバコを断り無しに掴み取った知人の行為への嫌悪を枕にT. E. ホールの「かくれた次元」が指摘する同心円的な社会的距離の空間の理論を紹介する一文…

蒼天

久しぶりのきれいに晴れた週末。冬の青空は怖いほど青い。

舞岡公園

知り合いから「最近掲載している写真どこで撮ってんの?」と質問が来ました。 答えは我が家のそばにある舞岡公園という場所です。Webを検索したら、ここに来る野鳥の写真満載のすばらしいサイトが見つかりました。個人の方のサイトなのですが、写真といい、…

吉本隆明『真贋』

吉本隆明が栗本慎一郎と『相対幻論』を出したときは、なんとやわらかいものを出したものだとびっくりしたし、80年代の『マス・イメージ論』や『ハイ・イメージ論』のときも読んで俺が理解できるような文体で吉本が書いてらあと思ったものですが、そんな吉本…

『メディア・コンバージェンス2007』

アウトロジックの杉本幸太郎さんが著者の一人として名を連ねる『メディア・コンバージェンス2007』が出版された。我が国のICT産業の動きを報告する産業動向もの。視点は産業・ビジネスの側面に置かれており、技術の進歩がもたらす情報通信産業の変動を表題の…

ポロックのカワセミ

先週、初めて本物のカワセミを見た。水際の葦、ススキの枯れ枝の中にエメラルドとオレンジの、日本の自然にはまるで不似合いな派手な姿が鎮座している。初めて見ると、それはそこにあるのが信じられないような、別の次元から現れた物体ではないかと思えてし…

曇天

二十代の頃までは、灰色の空を見ても屈託を感じることはなかった。暗い空模様はむしろ自分の気持ちを癒す方向に作用することが多かったように思う。当時、まれに欧州に出かけることがあると、厚みのある重たい曇天が、ひたすら冷たい石の街に禍々しい翳りを…

ブログ上でこのような素敵な対話が生まれる

『三上のブログ』のコメント欄で繰り広げられたkillhiguchiさんと三上さんの質の高いディスカッションにはなんとも勇気づけられた。 三上さんが毎日紹介しているジョナス・メカスの短編映画のシリーズ。ここに登場する盲目の写真家ユジャン・バフチャルに対…

写真が伝えるイメージの直接性

大江健三郎さんの『ピンチランナー調書』はよい作品なのに、残念なことに学生運動のセクト対立を素材に取り込んだ故に後世の読者にとって難解な作品になってしまっている。左翼的思想の是非は脇に置いておくとして、それがあの時代にどういうものであったの…

大江健三郎『ピンチランナー調書』に鼓舞される

昭和34年の生まれの僕は、おそらく学生運動のクオリアを少しでも感知しうるというか、それなりに生の感触で記憶しているほぼ最後の世代に属していると言ってよいだろう。政治の季節が終わった今、学生運動を素材にしている文学作品は、仮に作品にメッセージ…

『ワーキングプア』を読む

書店で大量に平積みされていた門倉貴史『ワーキングプア』を買い求める。一読し、事態はそこまで逼迫していたのかとあらためて驚いた。経済格差の広がっている感覚について吉本隆明さんの著作を引いて印象を書いたばかりだが、マクロ経済に疎い者としては、…

換骨奪胎

開高健はそうしたくないと書きながら、同じトピックや感想を何度か繰り返し複数のエッセイで取り上げていた。歳をとってくると、人は忘れるようになるということを自分のこととして学んでいる今となっては特に詮索をすることでもないと思うのだが、若い頃は…

村上春樹の性描写はストリップティーズに思える

昨日書いたように、大江健三郎さんにとって音楽は書き割りの一つにしか過ぎず、それに対して村上春樹さんは音楽を自身のエンジンにしていると僕には見えるのだが、対象が「音楽」から「性」になると、まるで立場逆転だと感じられるのが面白い。 村上さんは『…

村上春樹、『大公トリオ』

村上春樹の音楽エッセイ『意味がなければスイングはない』がものすごく面白かったという話を以前書いたが、これも別の日に書いたとおり、僕が彼の小説にのめり込むように読んだのは『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』か『ダンス・ダンス・ダン…

一富士二鷹

お正月らしくということで。 富士山は先週末、鳶は今朝の撮影です。

ITベンチャーは秋葉原を目指す、でいいのか

年末に出た国土交通省の調査結果なんですけどね。「ソフト系IT産業の実態調査」っていう、いかにも経産省がやってそうな調査をなんでまた国土省がと思うが、調査設計を読んでみるとこれがなかなかしぶい。NTTのタウンページを繰って、IT企業の立地の変化を…

残照四題

昨日、我が家の裏山で。陽が落ちる間際の冬の光景です。

吉田秀和さんの「好きなもの」

昨日、mmpoloさん(id:mmpolo)から「今朝の毎日新聞書評欄に吉田秀和の文章が載りました「好きなもの」というコラムで毎週日曜日著名人が1回限りで執筆します」とメールでお知らせを頂いた。全文を書き写していただいた上で。 短いコラムなので、全部紹介し…

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富士二題

悪のりして、あと二枚いきます。 右に丹沢、左に箱根を従えた昼間の富士。 富士夕照。箱根の左肩に太陽が落ちる瞬間。

猛る富士

雪煙を吹き上げる午後2時半の富士山。今日の富士は怖い感じがします。

吉本隆明『生涯現役』

きれいに晴れ上がった朝。しかし昨晩からの強風が周辺の木立を揺さぶり、絶え間なくざわめき続ける。北国の天候はたいへんらしい。我が家から見える富士山山頂も吹雪き雪煙を上げている。 吉本隆明さんの『生涯現役』の中に実に吉本さんらしい記述がある。 …

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無批判な集合知礼賛は“はてな”だ

Web

雨の土曜日。 おちゃめクールさんの「集合知の悲劇」を読んで感心した。 ■「集合知の悲劇」(『おちゃめクールの周回遅れブログ』2006年12月31日) 「はてな」でブログを書いていると、僕などは“集合知”という言葉を「はてなブックマーク」に結びつけて考え…

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冬の赤い実

一月前の12月初旬、東京は恵比寿駅際の街路樹が真っ赤な小さな実を無数につけているのを見つけました。上手い具合にコンパクトなデジカメを鞄の中に持っていたのでパチリ。今年は暖かいので、秋の風景が初冬まで残りましたね。赤い実がお正月の華やかさを引…

アジアの田舎となって気楽に暮らす

このタイトルは週刊東洋経済2006年12月30日+1月6日合併号の「ニッポンはどこへ行く?」と題したインタビュー記事に掲載されている堺屋太一さんの言葉です。同誌から引用します。 戦後の日本には国家コンセプトが二つありました。第一は「日米同盟を基軸に経…