ちょまど氏をめぐる異常事態

最近、Xamarinという製品についての勉強会で炎上騒動がありました。

初期の記事としては、以下のものがあります。


xamarinコミュニティの炎上について思うこと


その後、主催者側や批判側からいろいろな記事が出て、泥沼の様相を呈していました。

以下はその例です。


JXUG 名古屋ハンズオンでの事実について

続ちょまど問題


これらの記事を見てもわかるように、ちょまど氏をめぐっては、アンチとファンが非常にはっきりと分かれています。

(アンチ・ファンというのは語弊がありますが、あえてこう書きます)

どちらにも著名な人・技術的に優れた人がいるので、お互いに「あの人は技術的には尊敬できるのに、なんでこの問題ではあんななんだろう」と思うようなことも多いんじゃないでしょうか。

これは、はっきり言って異常事態だと思います。


一人の人間をめぐって、アンチとファンの間で分断が起こるということ自体、異常事態である。

まずは、アンチ・ファン共に、この認識からスタートする必要があるのではないでしょうか。


残念ながら、ここで相手の動機を邪推して、それで済ませてしまう人がたくさんいます。

アンチ側の人は、ファン側の人を、「ただやりたいだけなんだろう」と思っている。

ファン側の人は、アンチ側の人を、「ただ嫉妬しているだけだろう」と思っている。


でも、お互い人間なので、実際はそこまで単純ではないのではないでしょうか。

仮にいたとしても、それは双方の最悪なごく一部だけかもしれません。

そういう最悪同士はわかり合うことは無理にしても、残りの人たちはわかり合う余地があるのではないでしょうか。

それが、私がこの記事を書く目的です。

アンチ側の感覚

ファン側の人には、アンチ側の人は嫉妬していると考えている人が多いようです。

ちょまど氏がMicrosoft社のエバンジェリストになったタイミングで、結城浩氏が「妬みについて」という連ツイをしていましたが、その見当外れっぷりに思わず失笑してしまいました。*1



そもそも、嫉妬という感情は普遍的なものなので、それが原因であれば、いつもそういうことが起こっているはずなんですよね。

それでは、今回の異常事態を説明できません。

「おまえがいま感じている感情はただの嫉妬だ。しずめる方法は俺が知っている。俺に任せろ。」みたいなことを言っても、言われるほうとしては、何言ってんだこいつという感じですよね。


この件に関して、嫉妬というのは主な原因なのでしょうか。

男女に分けて考えてみましょう。


前提として、アンチ側には、ファン側の人がちょまど氏を一人の女性として持ち上げているように見えているということがあります。

(これについては、xamarinコミュニティの炎上について思うことに書かれています)

ファンの人にそういうつもりはなくても、「そう見えている」ということは押さえておいたほうがいいと思います。


その前提で言うと、男性がちょまど氏に嫉妬するというのは明らかにおかしな話です。

男女を入れ替えて考えてみましょう。

学校のクラスで、アイドルのような男子生徒が多くの女子生徒にチヤホヤされているとして、チヤホヤしていない少数派の女子生徒は、その男子生徒に「嫉妬」するでしょうか?

しないですよね。

嫉妬というのは、自分と似たような立場(性別など)の人に対して起こることが多いものです。

一般男性がアイドル女性に嫉妬するというのは、一般女性がアイドル男性に嫉妬するというのと同じぐらい、考えにくい想定です。


では、女性はどうか。

ちょまど氏のようになりたいと思う女性がもしいれば、ちょまど氏に対して嫉妬してもおかしくないかもしれないですね。

でも、私の観測範囲では、以下のような考え方が圧倒的です。

「くっそキモい男達だな、このちょまどって人はこれを好きでやってるのか、それとも会社の命令でやってるのか知らんけど
前者だとしたら何考えているのか分からんし、後者なら気の毒過ぎる」としか思えない

http://anond.hatelabo.jp/20161130112113


女性からすると、好かれたいと思わない人間に好かれてもうれしくないというのが大きいようです。

身近に女性がいる男性の方は、この件に関して一度意見を聞いてみるのもいいのではないでしょうか。


では、アンチ側の男性はどういった考えなのでしょうか。

私が見る範囲では、以下のような考え方が多いように思います。


ちょまどさん問題

ざまりんに興味無いからへらへら笑って見てられるけど、こういう光景が自分が好きな技術勉強会で繰り広げられてることを想像すると吐き気しますね

2016/11/30 15:45

ファン側の感覚

アンチ側の人には、ファン側の人はちょまど氏の性的魅力に目がくらんでいると考えている人が多いようです。

これに関しては、一部にそういう人がいることは事実です。


日本マイクロソフトに入社した「ちょまどさん」がめちゃくちゃ可愛い件について


これは、完璧にちょまど氏を性的な視線で見ていますよね。


ファン側の人で、実際にちょまど氏の性的魅力に目がくらんでいて、それを堂々と表明するような人は、アンチ側の人との和解の余地がありません。

しかし、全員がそうではないはずです。


例えば、上で「妬みについて」を書いた結城浩氏ですが、彼がちょまど氏の性的魅力に目がくらんでいるとは考えにくいところです。

何より、ちょまど氏はずっと顔出しを(あまり)しないでツイッターで活動してきたため、中の人が男性か女性かすらわからないという状態が長く続いていました。

その状態で性的魅力で目がくらむというのはありそうにないですよね。


では、ファン側の人たちはちょまど氏のどういうところに惹かれているのか。

これについては、有名な「フロッピーディスクの正体」のまとめが参考になるのではないかと思います。


これは、フロッピーディスクというものを見たことがないというちょまど氏に、それがどういうものが周りの人が教えてあげるというものです。

あまり悪意のないコメントとして、以下のようなものがあります。


フロッピーディスクの正体 - Togetterまとめ

すごいすごいっていう反応におじさんたちが喜んでる平和な図かな:フロッピーディスクの正体 - Togetterまとめ

2014/06/17 10:53

ちょまど氏は、こういう「すごいすごい」という反応をする、いわゆるマンスプレイニングを聞いてあげるのがすごく上手なんですよね。

こういうところに惹かれてちょまど氏を好きでいる人も多いのではないでしょうか。

アンチの人からすると、それでも気に入らないかもしれませんが、少なくともそれは性的魅力を直接使っているわけではないということは押さえておく必要があると思います。

整理

いったん整理します。

アンチ側の人の中には、嫉妬して叩いているわけではなく、「オタサーの姫と取り巻き」的な状況を嫌っているというだけの人もいる。

ファン側の人の中には、性的魅力に目がくらんでいるわけではなく、ちょまど氏のキャラを好きでいるという人もいる。

こういう人たちの間では相互理解が可能なのではないかというのが、私の考えです。

共通の目標を目指すことはできないでしょうか。


ちょっと現状を離れて、理想的なコミュニティの姿を考えてみましょう。


“男女比が5:5、あるいはそこまで行かなくても7:3ぐらいで、男性も女性も「性」について意識することなく技術に集中している”


これであれば、アンチ側の人もファン側の人も、理想的な姿として考えられるのではないでしょうか。

アンチ側の人にとっては、姫と取り巻きという構図がなくなればそれでいい。

ファン側の人にとっては、元々「性」について意識することは本意ではない。

目標としては、いい落としどころではないかと思います。

現状

では、現状はなぜ今のような惨状(あえてこう書きます)になってしまっているのでしょうか。

そこには、やはり「ちょまど氏のキャラ」を避けて通ることができないのではないかと思います。

(責めることが目的ではないので、ファンの方も激高せずに読んでいただければ幸いです)


ちょまど氏のキャラについては、ファンとアンチで見方が完全に違います。

ファンから見ると、健気にがんばる素直な女の子。

アンチから見ると、キモオタに媚びる姫。

いったい、どちらが本当のちょまど氏なのでしょうか。

これは、「表層意識」と「潜在意識」のずれによるものなのではないかと、私は考えています。

表層意識

ちょまど氏は、本当に心の底から、「よくあろう」としているのだと思います。


こう書くと、アンチ側の人は「そんなはずがあるか」と思うところかもしれません。

ああいう「姫」が計算高くないわけがない、そんな姫は見たことがない、と。


しかし、考えてみてください。

ちょまど氏が普通の「姫」であれば、ここまでの事態になっているでしょうか?


自分の性的魅力に自覚的な計算高い「姫」は、そこら中にいます。

しかし、ちょまど氏は普通の「姫」ではなく、全国レベルの「姫」なのです。

そうなるためには、健気さが本物である必要があった。

作られた健気さでは、例えば結城浩氏のようなレベルの人が「釣れる」こともなかったでしょう。

アンチ側の人も、ちょまど氏が「本物」であるという可能性を真剣に考える必要があります。

潜在意識

アンチ側の人には、ちょまど氏が「男に対する媚びの塊」のように見えています。

これは特に女性に顕著です。

自分がああいう行動を取るとしたら、それは「媚び」以外ではありえない、ということです。


では、ちょまど氏は男に対して媚びているのでしょうか。

私は、それは半分当たっていて、半分外しているのではないかと思います。

「ちょまど氏は、みんなに平等に好かれようとして(媚びて)いる」というのが実際のところではないでしょうか。


ちょまど氏は、人に好かれたいという気持ちが人一倍強い。

それで、無意識のうちに、人に好かれるように自分の行動を調整しているのだと思います。


しかし、ちょまど氏の周囲にいるのは、ほとんどが男性です。

すると、「人に好かれるように」というのが、自動的に「男性に好かれるように」になってしまいます。

それだけのことであって、ちょまど氏本人は女性にも好かれたい、むしろ女性にこそ好かれたいのではないかと推測しています。


それにしても、みんなに好かれたい人が、結果として男性にしか好かれないような行動を取っているとしたら、ちょっと不思議ですよね。

そこには、ちょまど氏の「男性恐怖」が関わっているのではないかと考えています。

男性恐怖

ちょまど氏のことをよく見ている人であればわかると思いますが、ちょまど氏には「男女関係に対する恐怖」があります。*2

男女関係には性欲が強く絡み、人間関係もドロドロしたものになりやすく、ちょまど氏の心はそういうものに耐えられないようです。

ちょまど氏がそういうものに触れた後に動揺し、心を落ち着けるために「ホモ*3」を摂取する、というのを見たことがある人もいるのではないでしょうか。

(私は昔ツイッターでフォローしていたので見ていました)


それがなぜ、男性にしか好かれないような行動につながるのか。

一見、矛盾しています。

これは、ちょまど氏が「男性の性欲に目をふさいでいる」と考えるとつじつまが合います。


上の女性の意見を再掲します。

「くっそキモい男達だな、このちょまどって人はこれを好きでやってるのか、それとも会社の命令でやってるのか知らんけど
前者だとしたら何考えているのか分からんし、後者なら気の毒過ぎる」としか思えない


この女性は、なぜ「男達」を「キモい」と感じるのでしょうか。

それは、彼らの性欲が、あまりにも明らかに透けて見えるからです。

だから、なぜちょまど氏がこういう行動を取っているのか、さっぱり理解できないのです。


しかし、ちょまど氏に彼らの性欲が見えていないとしたらどうでしょうか。

そうすると、ちょまど氏には彼らが「純粋なファン」に見え、自分のことは「ファンに好かれる私」に見えているはずです。

たとえ、外から見るとそれは、「キモオタに囲まれて喜んでいる何考えているかわからない女」であるとしても。

そこには、VRで充実した生活を送る人と、その様子を見る人のような、大きなギャップがあります。

私は「モジャ公」のシャングリラ星を思い出しました。


わかりやすい「悪者」はいない

こう見ると、現在の惨状を招いたわかりやすい「悪者」はいないということがわかるのではないでしょうか。

「醜い嫉妬」「姫になりたい女」「性欲丸出しの男」といったわかりやすい敵を叩けば解決するような、そんな単純なものではないのです。

この問題を真剣に考えるのであれば、複雑さに向き合う必要があります。

(人が集まれば場がどれだけ荒れても構わないと考えるようなクズや、性欲丸出しで何が悪いと開き直るような人については、対話可能性がないので置いておきます)


究極の原因は、「ちょまど氏の表層意識と潜在意識のずれ」にあります(少なくとも、私はそう考えています)。

しかし、これが解決できるかというと、難しいものがあります。

というのは、潜在意識が表層意識の願望をかなえてしまっているからです。


ちょまど氏は、表層意識では「性と関係なしに、人に好かれたい」と思っています。

しかし、潜在意識では、周りの人(=男性オタク)に好かれるような行動を取っています。

表層意識が「性」の存在さえ無視すれば、「人に好かれたい」という願望は実現されています。


ここで、解決の可能性があるとすると、ちょまど氏の表層意識に「性」を意識させるということがあるでしょう。

「日本マイクロソフトに入社した「ちょまどさん」がめちゃくちゃ可愛い件について」の記事からもわかるように、「性」でちょまど氏を持ち上げている人がそれなりにいる、という現実を確認するということです。


ちょまど氏の表層意識がその現実を認識したら、彼女には二つの選択肢があります。

ひとつは、「性によって好かれている」という望ましくない状況を招かないよう、そういう人に毅然とした態度を取ること。

もうひとつは、これまで無意識にやっていたことを意識的にやる、つまり性を活用していくということ。

どちらを選ぶにしても、意識的になる分だけ状況がわかりやすくなります。


問題は、ちょまど氏本人にとっては、現状維持が最も望ましいということです。


後者(意識的に性を活用していく)の選択肢の不利益は明らかです。

社会的な非難もあるでしょうし、真面目なファンは離れてしまいます。


前者(性的な要素を排除する)でも、不純なファンが大幅に減ってしまうということが考えられます。

また、これまで「人に好かれる」ことに最適化して生きてきた人が、その思考回路を急に変えられるのかという問題もあります。


こう考えると、この状況の解決はやはり難しいのかもしれません。

個人的には、女性目線の意見が出てくることを期待しています。


本来は性別を限定したくないところですが、今回の場合は、ちょまど氏の男性恐怖という特殊事情があります。

それを考えると、男性の言葉はただでさえちょまど氏には届きにくく、もし下心などがあればなおさらです。

しかし、「女性の目にはちょまど氏がどう見えているか」ということを、まっすぐ敵意なしに伝えてくれる女性の声であれば、ひょっとするとちょまど氏に届くかもしれません。

女性にとって

この件に関して、女性は「近寄りたくない」と感じる人が多いようです。

性と承認欲求の渦巻く場はもううんざりだ、という感覚のようです。

女性は、似たような場面を実際に経験する機会が多いためでしょうか。


少なくとも、多くの女性にとって、ちょまど氏の存在は勇気づけられるものではないようです。

「男社会でうまくやっていくためには、あんなふうに男に媚びないといけないのか」と失望している人もいます。


外見や年齢的な条件から、「ブス・ババアのひがみ」と思われることを恐れて意見を表明することを避けているという人もいるかもしれません。

(非常に残念なことですが、そういう心ないことを言う男性はいます)

しかし、上で挙げた理想状態(男性も女性も「性」について意識することなく技術に集中している状態)に至るまでには、女性からの意見(できれば、業界で著名な女性に限らず、ごく普通の女性プログラマのものも含めて)も欠かせないと思います。

今回の件は、男女という要素が少なからず絡むものなのに、男性の意見しか出てこないというのは不自然ではないでしょうか。

女性が声を上げやすい雰囲気になればと思います。

まとめ

現状として、ちょまど氏のファンとアンチの間の争いという惨状があります。

しかし、それは本来であれば、性を利用することを否定するか肯定するかという、よりマシな議論にできるのではないかと思います。

その場合、現状のファンの中で不純な一派を切り捨て、また現状のアンチの中でちょまど氏本人を嫌っているわけではない人と合流することで、「否定派」という大きな枠組みで団結できるのではないでしょうか。

(私自身は明確な否定派です)

そうなることを願っています。

おまけ:元彼について

ちょまど氏の元彼についての心ない噂が出回っています。

というか、ちょまど問題の「さらに追記」部分で引用されていたのは私のツイートなのですが…。

あれは、私の友達がちょまど氏に関する噂について知りたがっていたので、一般的にそう思われていると考えられるところをまとめてあげただけで、事実という保証もありませんし、それに個人的な問題を攻撃に使うのは間違っています。

ちょまど氏の元彼の件でちょまど氏を貶めるような言説が出回っていますが、私はそういうものは唾棄すべきものだと思います。

そもそも、男性については男女関係が取りざたされることはあまりないのに、女性に関してはそういうことが起こりやすいとしたら、あってはいけないことです。

追記

ちょまど氏をめぐる異常事態 - アスペ日記

元カレの話は個人攻撃じゃなくて「ちょまどがおぼこじゃないってわかったらみんな離れていくよ」みたいなことを言ってたのがいたから誰もそんなこと思ってないだろって意味で書いたんだが

2016/12/07 00:44

書いたときの意図としては、「個人的な問題を攻撃に使うのは間違っています」は「ちょまど氏の元彼についての心ない噂が出回っています」にかかっていたのですが、きょうもえさんに言ったように読めますね。すみません。

まあ、それはそれとして。

ちょまど氏は Microsoft のエバンジェリストになった時点でファンの新規流入がだいぶあったと思われるので、「誰もそんなこと思ってないだろ」はちょっと同意できないですね。

例の引用で知った人も多いと思いますよ。

(厳密な割合はわからないので、水掛け論的ですが)

*1:彼の連ツイとちょまど氏の件との間に関連があるかないかは見る人次第だと思いますが、タイミング的に私には関連があるように見えました。

*2:ちなみに、男性恐怖症でも彼氏がいるということは普通にあります。

*3:実際の男性同性愛者同士の関係には性欲もドロドロした人間関係もあると思いますが、ここでの「ホモ」は腐女子のための理想化されたものです。