プーチン大統領 軍事作戦実施表明 “ウクライナ東部住民保護”
ロシアのプーチン大統領は24日、国民向けのテレビ演説で、ウクライナ東部の住民を保護するためとして特別な軍事作戦を実施することを明らかにしました。
軍事作戦の具体的な内容は明らかにしていませんが「ウクライナ領土の占領については計画にない」と述べました。
ロシアの国営テレビは24日朝、日本時間の24日正午前、プーチン大統領の国民向けのテレビ演説を放送しました。
このなかでプーチン大統領は、ウクライナ東部2州の親ロシア派が事実上、支配している地域を念頭に「ロシアに助けを求めている。これに関連して特別な軍事作戦を実施することにした。ウクライナ政府によって8年間、虐げられてきた人々を保護するためだ」と述べ、ロシアが軍事作戦に乗り出すことを明らかにしました。
またプーチン大統領は「われわれの目的はウクライナ政府によって虐殺された人を保護することであり、そのためにウクライナの非武装化をはかることだ」としましたが「ウクライナ領土の占領については計画にない」と述べました。
さらに「われわれの国と国民に脅威をあたえようとするものにはロシアが即座に対応することを知らせなければならない」と述べ、NATO=北大西洋条約機構の加盟を目指しアメリカなどとの軍事協力を進めるウクライナを非難しました。
そして「現代のロシアは、ソビエトが崩壊した後も、最強の核保有国の1つだ。最新鋭の兵器についても一定の優位性を持っている。ロシアへの直接攻撃は、潜在的な侵略者にとって、敗北と壊滅的な結果をもたらすことは間違いない」とアメリカなどをけん制しました。
プーチン大統領は、21日、ウクライナ東部の親ロシア派が事実上、支配している地域について独立国家として一方的に承認する大統領令に署名し、国防省に対して「平和維持」を名目として、軍の部隊を派遣することを指示していました。
また23日になってロシア大統領府は、ウクライナ東部の親ロシア派の武装勢力からプーチン大統領に軍事的な支援の要請があったと明らかにしていてアメリカは「いつでも攻撃できる状態にある」と述べ、強い警戒感を示していました。
ロイター通信「キエフで爆発音か」
また、東部の都市ドネツクで銃声が聞こえたと伝えたほか、地元メディアを引用する形で、キエフの空港周辺でも銃声が聞こえたと伝えています。
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そのうえで「アメリカは同盟国、友好国と結束して断固とした措置で対応する。世界はロシアに責任を取らせるだろう」として、攻撃によってもたらされる被害の責任はロシアが負うことになると強調しています。
そして24日には、G7=主要7か国の首脳と協議を行ったうえで、アメリカ国民に向けて今後の対応などについて演説を行うとしています。
岸田首相「情報の収集に全力」
ロシアのプーチン大統領は、国民向けのテレビ演説でウクライナ東部の住民を保護するためとして特別な軍事作戦を実施することを明らかにしました。これを受けて、岸田総理大臣は、午後1時前、総理大臣官邸で記者団に対し「プーチン大統領の発言などさまざまな報道がある。まずは情報の収集と事態の把握に全力で取り組む。情勢は緊迫しておりG7をはじめとする国際社会と連携しながら取り組んでいきたい」と述べました。
また記者団が「ウクライナ政府が領空での民間機の飛行を制限するとしているが」と質問したのに対し「情報収集と事態の把握に努めている。邦人の安全確保は大変重要な課題であり、何が適切なのか状況をしっかり把握したうえで的確に対応していきたい。今現在はその段階だ」と述べました。