メキシコ大統領、スペインに植民地支配の「暴虐」への謝罪を要求
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【3月26日 AFP】メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール(Andres Manuel Lopez Obrador)大統領(65)は25日、1519年から約300年続いたスペイン統治時代の「暴虐」に対する謝罪をスペイン政府とローマ法王に求めた。500年前の歴史の傷口が今になって再びあらわにされた格好だ。
昨年12月に就任した新興左派のロペスオブラドール大統領は、ソーシャルメディアの投稿動画で数世紀に及んだスペインのアメリカ大陸(New World)支配に触れ、スペイン国王フェリペ6世(King Felipe VI)とフランシスコ法王(Pope Francis)に対し、アステカ王国(現メキシコ)征服およびその後の先住民に対する人権侵害について謝罪するよう求めた。
古代マヤ文明が栄えた都市コマルカルコ(Comalcalco)の遺跡で撮影された動画の中で、ロペスオブラドール氏は「かつて大虐殺と抑圧があった。剣と十字架による侵略が行われ、彼らは先住民たちの神殿の上に教会を築いた」と述べ、「和解の時が訪れた」とした上で、その前にまずスペイン側からの謝罪が必要だとくぎを刺した。
これに対し、スペイン政府は直ちに声明を発表し、「わが国の国王に送付した書簡の内容を、メキシコ大統領が公にしたことに深い遺憾の意を覚える」と反発。書簡の内容は断固として受け入れられないと表明し、「500年前のスペイン人による現在のメキシコ領土進出を、現代の尺度で判断することは不可能だ」と断じた。その一方で、「これまでわれわれは常に兄弟国として、共有する過去について怒りを抱かず建設的な視点で向き合ってきた」「われわれは歴史を共に歩み、素晴らしい影響を与え合った自由な民族なのだ」などと、メキシコ側に訴えた。(c)AFP/Joshua Howat BERGER, with Marianne BARRIAUX in Madrid