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国内最大級の広告コピーコンテスト「宣伝会議賞」の中高生部門で、東京都に住む私立富士見丘中学1年の山本
応募総数3万6942点の頂点に
中高生部門の応募総数3万6942点のうち、入賞したのはわずか20点のみ。山本さんの作品は最上位2賞に加え、特別審査員賞と二つの協賛企業賞にも選ばれたので、4分の1を一人で獲得したことになる。主催者によると、中高生部門は今年で8回目となるが、これほど圧倒的な成績を収めた例は過去にないという。
今月8日、受賞作の発表を兼ねた贈賞式の会場は、アナウンサーが山本さんの名前を読み上げる度に大きなどよめきに包まれた。対照的に、山本さんはいたって冷静な様子。グランプリの受賞が決まり、壇上に招かれた際には、「五冠とか、グランプリを取れると思わなかった。すごくうれしかった」と、あどけない笑顔を見せた。
幼い頃から文章を読んだり、書いたりするのが大好きだという山本さん。広告コピーに興味を持ったのは小学5年の時、購読していた読売中高生新聞で宣伝会議賞の記事を読んだことがきっかけだった。「中学生になったら、絶対に応募する」。過去の入賞作をリサーチし、言葉の配置や句読点の使い方などを徹底的に研究したという。
コピーライターになりたいのかと思いきや…
昨春、中学に進学すると、宣伝会議賞の課題が発表された9月から、すぐにコピーの制作を始めた。通学時間や学校の休み時間も活用し、1050点もの応募作品を仕上げた。「電車の窓から見える広告や中づり広告がヒントになることや、友達と会話している最中にアイデアが“降ってくる”こともあった」と振り返る。
グランプリを受賞した作品は、4歳でアメリカに引っ越した際、父の昌彦さん(55)が住所の変更手続きに苦労していたことを思い出して作ったという。昌彦さんは、「小さい頃から、普通の人はあまり見ないようなところをよく見ている子どもだった。そんなところを見られていたとは」と照れ笑いする。
将来の夢はコピーライターかと思いきや、「子どもが好きなので学校の先生になりたい」と山本さん。「でも、今回のことでコピーライターもいいなとも思うようになりました。子どもたちに言葉の面白さを伝えながら、コピーも書いていけたら最高ですね」と話した。
中高生部門の審査員長を務めたコピーライターの阿部広太郎さん(38)も「名前も学校も分からない状態でコピーだけを審査したので、入賞作品を選んだ後、ふたを開けてみてビックリでした。あまりプレッシャーをかけたくないけれど、今後も山本さんのコピーが楽しみで仕方ありません」と期待している。