教育データの利活用を巡って文部科学省が全国の教育委員会を対象に行った「自己点検と実態把握調査」で、児童生徒の個人情報を取得する際に必要な「利用目的の明示」が26%の教委で行われていないことが、12月24日に公表された調査結果で分かった。また、個人情報の利用目的を特定すべきところ、「特定していない」の回答が11%あった。同省は「いずれも個人情報保護法に違反するものであり、速やかに改善する必要がある」として、同日、各都道府県教委などに個人情報の適切な取り扱いを求める通知を出した。
同省は個人情報保護法の改正を踏まえて2024年3月に「教育データの利活用に係る留意事項」を更新し、各教委や学校に適切な個人情報の取り扱いを求めている。今回の調査では、こうしたルールが順守されているか自己点検してもらうとともに実態を把握するため、全国の都道府県教委や市区町村教委を対象に初めて実施した。
このうち「取得している個人情報の利用目的を児童生徒や保護者に明示していますか」の質問については、「児童生徒のみに明示している」(8%)、「児童生徒・保護者双方に明示している」(50%)、「保護者のみに明示している」(10%)、「取得する個人情報によって明示する相手が異なる」(6%)、「明示していない」(26%)との結果となった。地方自治体の機関が直接、書面(オンライン)で記録された個人情報を取得するときは、あらかじめ本人に利用目的を示す必要があるが、約4分の1の教委では守られていないことが分かった。
また、法律では地方自治体の機関が個人情報を保有する際、利用目的はできる限り特定しなければならないとされているが、「個人情報の利用目的を特定していますか」の質問に対して、「特定している」は89%で、「特定していない」との回答が11%あった。
さらに教育データの取り扱いを外部委託する場合は、委託先に対する必要かつ適切な監督が求められているが、「委託先や提供先での取り扱いが適切になされるよう管理していますか」との質問に対して、「している」との回答は82%で、「していない」が18%となった。
同省は調査結果について、「多くの教委で個人情報が適切に扱われているものの、利用目的の特定や明示などが実施されていない回答が見受けられる。こうした対応の未実施は個人情報保護法に違反するものであることに、十分留意する必要がある」とし、同日付で全国の教委に対して、個人情報の適切な取り扱いを徹底するよう求める通知を出した。