日本原子力研究開発機構(JAEA)の研究グループは14日、原発事故発生時に大型車(7、8人乗り)で避難した場合、軽自動車に比べ、外部被ばくを1割程度抑えることができるとする試算を発表した。
札幌市の北海道大で開かれている日本原子力学会秋の大会で報告した。研究グループは国内で市販されている軽自動車(重量約800キロ)をはじめ、小型(同約1100キロ)、普通(同約1450キロ)、大型(同約1950キロ)の各乗用車の合わせて4車種について、被ばく低減効果を試算した。その結果、車体が大きくなるほど車内の線量が低くなったという。
さらに、研究グループは2015(平成27)年に双葉町で実証実験を行った。当時、地表から1メートルの空間放射線量は車外で毎時1.72マイクロシーベルト。軽乗用車内は同1.11マイクロシーベルト、大型車内は同0.92マイクロシーベルトだった。大型車の線量は軽乗用車に比べ約9%低く、おおむね試算通りだった。研究グループは車両体積や各部材の厚みが増すことで、防護性が高まるとしている。
研究グループは外部被ばく線量を抑えるためには、自治体などによる渋滞対策や実現可能な避難ルートの策定も必要だと指摘した。
(カテゴリー:福島第一原発事故)