3回目となる3党の税制協議は6日午前、国会内で行われ、自民党の宮沢税制調査会長、公明党の赤羽税制調査会長、国民民主党の古川税制調査会長らが出席しました。
この中では、先週の会合で「年収103万円の壁」の見直しについて、与党側が国民民主党に所得税の基礎控除などを引き上げる目的や財源の確保などを明確にするよう求めたことを受けて、国民民主党が具体的な考え方を説明し、改めて意見を交わしました。
そして「103万円の壁」を見直した場合、地方税収が減ることに自治体などから懸念が相次いでいることを踏まえ、国税である所得税の基礎控除などの引き上げ幅を先行して議論し、住民税の扱いはその後、検討することになりました。
また「103万円の壁」に関連する課題として、国民民主党が改善を要望している、大学生などの子どもを持つ世帯の所得税の負担を軽減する「特定扶養控除」については、対象となる学生などの年収要件を103万円から引き上げることで合意しました。
そして、与党が具体案を検討し、次の協議で示すと伝えました。
一方、国民民主党が、所得税の基礎控除などの引き上げは、来年1月から実施するよう求めたのに対し、与党は、準備に時間がかかり難しいという認識を伝えました。
3党は、来週も税制協議を行うことにしています。
自公国「特定扶養控除」年収要件 103万円から引き上げ合意
自民・公明両党と国民民主党による税制協議が行われ、「年収103万円の壁」の見直しに関連し、大学生などの子どもを持つ世帯の所得税負担を軽減する「特定扶養控除」の年収要件も103万円から引き上げることで合意しました。
自民 宮沢氏「『年収103万円の壁』まだかなり距離感」
自民党の宮沢税制調査会長は協議のあと記者団に対し「特定扶養控除については、年収要件を引き上げることで3党で合意したが、具体的な案は私が用意して来週、議論する。『年収103万円の壁』は、まだ具体的な数字で議論をしている段階ではなく、かなり距離感があることがわかった。3党の意見が少し食い違った状態できょうは終わっている」と述べました。
また宮沢氏は、このあと開かれた党の税制調査会の会合で「3党協議は来週には少し進展させなければならない。かなり困難な仕事だが。なんとか合意に達したい」と述べました。
公明 西田氏「年収要件が文字通り『壁』」
公明党の西田幹事長は記者会見で「特定扶養控除」について「年収要件が文字通り『壁』になっていて、学生などがアルバイトで就業調整を行っている。引き上げていく方向が正しいのではないか」と述べました。
国民 古川氏「再来年ではなく 来年からやるべきだと伝えた」
国民民主党の古川税制調査会長は記者団に対し「年収103万円の壁」の見直しについて「控除額の引き上げは、今の経済状況を考えると足元の手取りを増やす必要があるため、再来年ではなく、来年からやるべきだと伝えた。先方からは『なかなか事務的に難しい』という話があったが、なんとか知恵を出してもらいたい」と述べました。
また、見直しに伴う控除額の算定方法について「与党側から『物価上昇率を使うやり方もあるのではないか』という話はあったが、われわれは最低賃金ベースで考えるべきだという主張であり、その点は全く変わらない」と述べました。
一方、ガソリン減税については「ことし中に結論を出すと約束をしているので、暫定税率の廃止を含めてしっかり議論して結論を得ていきたい。先送りは認められない」と述べました。
国民 榛葉幹事長「与党側の回答は話にならない」
国民民主党の榛葉幹事長は記者会見で「『年収103万円の壁』を引き上げるのは、国民の手取りを増やして経済を好循環させるためであり早くやらないといけないのに、与党側の回答は話にならない。こんなにやる気がないのなら補正予算案にも賛成できるかどうかわからない。有権者をばかにしている」と述べました。
地方税の住民税 「およそ4兆円」減収と試算
3党の税制協議で、与党側は「年収103万円の壁」を見直した場合の税収の減少額の試算を示しました。
今回、国民民主党が所得税の基礎控除などをいまの103万円から75万円、引き上げて178万円にするよう主張していることを踏まえ、基礎控除を75万円引き上げた場合を想定しています。
それによりますと、国税の所得税では、基礎控除1万円あたり税収がおよそ500億円減るため、75万円の引き上げで「4兆円弱」の減収が見込まれるとしています。
また、地方税の住民税では、基礎控除1万円あたり税収がおよそ550億円減るため、75万円の引き上げで「およそ4兆円」の減収が見込まれるとしています。
ただ、粗い試算であるため、減収額は相当の幅を持って見る必要があるとしています。