中酪によると、10月の指定団体受託農家戸数は、全国で9960戸と1万戸を下回った。直近1カ月間では49戸の酪農家が離農した。北海道は前年同月比4・4%減、都府県が同6・7%減とともに減少が進む。
輸入品を中心とした購入飼料への依存が高く、生産コストの上昇が経営悪化の要因となる。生乳1キロ当たりの生産費を見ると2022年は111円で5年前より25%増加。生乳価格も上昇しているが、生産コスト増加のペースに追いついていない。
現在の酪農経営環境を「悪い」と回答した酪農家の割合は8割強に上った。9月の牧場経営は6割が赤字と危機的状況にあり、全体の5割近くは離農を検討している。
北海道大学大学院農学研究院の小林国之准教授は「持続可能な酪農経営に向けて、地域に合った経営構造への転換支援が求められる。消費者との対話と理解醸成が必要」と指摘する。