統一地方選後半戦で、選挙妨害騒動が発生した。東京・杉並区議選で、自民党の杉田水脈(みお)衆院議員が応援演説に入った際、大声で罵声を浴びせ、恫喝(どうかつ)するような集団に詰め寄られたのだ。杉田氏や候補者の声はかき消された。一連の行為は、ビデオにも撮影されており、捜査当局は重大関心を寄せている。
16日夜、JR高円寺駅前が騒然となった。関係者によると、杉田氏が到着すると、「生産性で人を測るな」といったボードを掲げた70~80人の集団が「辞めろ!」「帰れ!」などと大声で騒ぎ、一部が杉田氏に向かって突進したという。
警戒していた背広姿の警察官(数十人)が一斉に「警視庁」の腕章を付け、規制線を張った。中にはビンを投げつけようとした者まで現れ、警察官に連行されたという。
杉田氏は昨年7月発売の月刊誌で、性的少数者(LGBT)全体への行政支援に疑問を呈する文章を寄稿した。それ以降、過激な批判を受けているという。
公職選挙法225条は、演説の妨害など選挙の自由を妨害する行為を刑事罰の対象と定めている。体に触れなくても、大声で相手を威圧する行為は刑法208条の「暴行罪」に問われる可能性がある。ビンなどを投げて相手にケガをさせれば、刑法204条の「傷害罪」だ。
杉田氏は「(体格のいい男性に)顔面10センチほどまで近づかれ、罵声を浴びた。信じられない状況で、怖かった。私が車に乗った後も10人ほどが追い、ナンバーを撮影されたりした。警察は30人ほどで、ビデオ撮影するなどして守ってくれた」と、恐怖体験を語った。
警察当局は、集団の映像を収めており、政治的背景を含めて、調べているとみられる。