泊原発差し止めで火力依存長期化 全域停電高リスクに

北海道泊村の北海道電力泊原発
北海道泊村の北海道電力泊原発

札幌地裁が31日、北海道電力泊原発1~3号機の運転差し止め判決を出したことで、北海道電は火力発電に依存しながらの電力安定供給のさらなる強化を迫られた。北海道では平成30年9月の地震で初の全域停電(ブラックアウト)が発生しており、泊原発の運転停止長期化でリスクがさらに高まるためだ。

今年3月には東京電力と東北電力の管内で、悪天候による太陽光発電の出力低下や火力発電所のトラブルが重なり電力需給が逼迫。一方で、好天で太陽光発電の量が増えすぎ、一時的に発電を停止させる「出力制御」は過去に実施した九州電力だけでなく、今年は四国、東北、中国、北海道の各電力でも相次いだ。

北海道と本州の間では平成30年の地震を教訓に、北海道と本州を結び電力を融通しあえる「北本連系線」を増強した。原発の長期停止で、火力発電のトラブルによる北海道電管内の電力需給逼迫が、本州側の電力需給に及ぼす影響も増大している。

泊原発至近の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村では、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の選定に向けた文献調査も進む。ただ、原発再稼働が見込めない状況が続けば、選定手続きにも影響しかねない。最終処分場の選定には文献調査の後、現地での調査があり、そのタイミングで地元の同意を得る必要がある。

資源エネルギー庁によると、令和2年度の発電量に占める原子力の割合は3・9%。政府は、太陽光など再生可能エネルギーの拡大と安全が確認された原子力の活用を進め、2030(令和12)年度に原子力の割合を20~22%程度とすることを目指すが、再稼働が認められた既存の原発は33基中10基に留まっている。(永田岳彦)

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