社会はどう進化するのか——進化生物学が拓く新しい世界観 | デイヴィッド・スローン・ウィルソン, 高橋洋 |本 | 通販

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競争? 淘汰? いや違う。
——ダーウィンの知恵は、私たちを共生へと導く。

がん細胞、免疫系、ミツバチのコロニーから、「多細胞社会」としての人間まで…。
進化生物学の最前線から、人間の社会・経済活動のメカニズムを解剖する、知的興奮の書!

「わかりやすい文体と、深いアイディアと洞察。
日常生活からグローバル政策決定まで、進化論を軸にした驚くべき探求」
——ロバート・M・サポルスキー(『サルなりに思い出す事など』著者)

「常識への挑戦の書。新たな思考を開く」
——ダロン・アセモグル(『国家はなぜ衰退するのか』著者)

『ネイチャー』誌など、各界で話題騒然!

【書評・メディア情報】
京都新聞(4月5日)/短評
山形新聞(4月5日)/短評
日本経済新聞(4月11日)/書評(佐倉統氏・東京大学教授)
VOICE(8月号)/著者(デイヴィッド・S・ウィルソン氏)インタビュー
「ポリティカル・サイエンス入門」(法律文化社)/おすすめ文献ガイドとして紹介
2021年
VOGUE JAPANウェブ(3月16日)/書評(池田純一氏)
東京新聞(3月21日)/社説欄にて紹介

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本の長さ

352ページ
言語

日本語
出版社

亜紀書房
発売日

2020/1/24
寸法

14 x 2.8 x 19.6 cm
ISBN-10

4750516295
ISBN-13

978-4750516295
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出版社より

商品の説明

著者について

デイヴィッド・スローン・ウィルソン
1949年生まれ。アメリカの進化生物学者でビンガムトン大学(ニューヨーク州立大学ビンガムトン校)教授。マルチレベル選択説の提唱者。
主著『Darwin's Cathedral: Evolution, Religion, and the Nature of Society』は大きな反響を呼んだ。邦訳書に『みんなの進化論』(日本放送出版協会)がある。

高橋洋
翻訳家。訳書にジョナサン・ハイト『社会はなぜ左と右にわかれるのか』、ノーマン・ドイジ『脳はいかに治癒をもたらすのか』、エラムン・メイヤー『腸と脳』、リサ・フェルドマン・バレット『情動はこうしてつくられる』(以上、紀伊國屋書店)、ポール・ブルーム『反共感論』(白揚社)、エリック・R・カンデル『なぜ脳はアートがわかるのか』(青土社)ほか多数。

登録情報

出版社 ‏ : ‎ 亜紀書房 (2020/1/24)
発売日 ‏ : ‎ 2020/1/24
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 352ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4750516295
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4750516295
寸法 ‏ : ‎ 14 x 2.8 x 19.6 cm

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- - 5,802位生物・バイオテクノロジー (本)
- - 6,222位その他の思想・社会の本

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David Sloan Wilson

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くま
「見えざる手は死んだ」(本書第237頁第1行)
2020年2月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入

運動を記述する基礎単位(基礎要素)によって把握するならば
科学はいわゆる物理学,生物学,社会学の順に連繋したレイヤー(階層)によって編制されていると言えます
そこで著者は生物学のレイヤーから特にはその「進化論の世界観」から私たちの社会生活を見透し
私たちが有する様々な課題を解決する行方を指し示そうとしています
　私たち「固体の特徴であるかのように見えたものが、実際には社会的相互作用の産物」であって
　その意味で小グループが重要な役割を有していることが本書から見えて来ます
　さらに「見えざる手は死んだ」という批判が「進化論の世界観」から出てくることに
　驚きと私たちが有する課題の大きさが感じられます
小グループとその中にある私たちが行方を指し示すという「進化論の世界観」は
一人ひとりの発達を促す社会集団の形成を目指そうとする社会学分野と同様の世界観であって
それは著者が望む「統合的な理論的枠組み」へと繋がることに
偶然とは思えない科学の驚きを感じられます
　本書の最初に「何が観察可能なのかは、理論によって決まる」というアインシュタインの見解を引用し
　また本書の最終章では「二〇年前なら、本書はとうてい書けなかっただろう」と著者は述べ
　さらに「やらねばならないことはたくさん残されている」とも述べています
　本書が進もうとする先には社会学である経済学や政治学の行方も含まれて来るのでしょう

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24人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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レポート
Amazon カスタマー
感想
2020年7月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
コミュニティのあり方の参考になった。

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2人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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レポート
無気力
進化論の衣をまとったトンデモ本
2020年2月14日に日本でレビュー済み
眩暈を覚えるようなトンデモじみた記述に満ち満ちており、途中何度を読むのを挫折しそうになる。
それでも辛抱して読み進めると、最終盤でも「意識的な進化という概念にひとたび馴染めば、コンピューター上で走らせる進化のアルゴリズムを設計するのと同じように、自己の、あるいは文化的な進化のプロセスを設計する必要があることが明らかになる」(本書３０２頁)と、およそまとな研究者が書いたとは思えない文章が出て来て、げんなりする。ここだけではなく、おかしな主張と盲信に基づく決めつけのオンパレード。
こういう自説を信じて疑わない人が社会に関わろうとすると本当に危ないだろうなと思わされるが、政策立案が生物学の一分野であることを示すというのが本書の目的のひとつ。第３章は「生物学の一部門としての政策」となっており、この章を含めて著者が実際に教育政策などに関わった話なども披瀝されており、さらに暗い気持ちになる。

著者が思うところの進化の方向付けについて、それに疑問を挟まずに正しいと思える、そのお目出度さはどこからくるのだろうか。
ネイチャーでも話題などと煽るが、かの国の人たちは本書をまともに読んだのだろうか。

進化論の衣をまとった社会改造主義のトンデモ研究者本として、そっと消えていくことを願ってやまない。

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47人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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レポート
KS
進化、って言いたいだけなのでは？
2020年6月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
１、事例研究から、人間社会を互いの顔が分かるくらいの小グループに分け、共通ルールの下でグループ同士がゆるく競争するような状況があれば、協調的なグループが形成されるらしい。

２、特定の条件の下では、グループ内で利己的にふるまう個体より、利他的にふるまうメンバーからなるグループが競争上優位になることがある。

以上のことはわかります。

ただ、両者を進化という枠組みで著者が述べ始めると途端に破綻し、
もはや「進化」って言いたいだけなのでは？と思ってしまいます。

マルチレベル選択で協調の進化を論じようとすると、相当の慎重さが必要になると思うのですが、
著者は安直に「進化の観点から統一的に説明できる」としてしまいます。

「過去事例から分かった人間社会がうまくいくコツ」くらいの話題について、
無理やり進化を絡めて、それっぽく説明している類の本と思います。

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17人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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レポート
中島凌太郎
進化論は生物学だけで完結しない
2020年6月25日に日本でレビュー済み
本書は進化生物学者による進化生物学の本だが、数多あるこのジャンルの本とは一線を画している。

というのも、「個体」や「遺伝子」にのみフォーカスしたものが多い中、著者は終始一貫して「社会」を主語にしているからだ。

つまり、ショウジョウバエなど他の個体と協調することのない下等動物に対しても当てはまるような進化生物学の断片的な解釈では見落とすことになるであろう、コロニーとしての繁栄をテーマとして扱っているのが本書である。

言うならば、生物学の中だけで進化論を語る風潮を警戒し、待ったをかけているといえよう。

例えば、ギャレット・ハーディンによる「共有地の悲劇」問題を取り上げていて、個人が自己の利益を追求する姿勢を崩さない場合、結局は全員が共倒れするというありふれた現象は、「個体」を主語にした進化生物学では決して説明ができない。

あるいは、fMRIを装着されたときに感じるストレスの臨床実験では、その最中に①ひとりきりである場合、②赤の他人に手を握ってもらう場合、③身近な人に手を握ってもらう場合の３パターンで数値を計測したところ、①と②、②と③の間にはそれぞれ大きな差異がみられた。

人に触れていること、さらには身近な人のぬくもりがストレス緩和に大きく貢献することも、同じく「個体」を扱った生物学では答えが出ない。

著者は心理学や社会学に答えを求め、集団の中で生きる宿命にある人間が「個」として、「群」として幸福度を高めるためには、正しく規律を設計することだという。そしてこれがなんと難しいことか。

集団として高いアウトプットを出すことが個人に波及するとして妥当性を主張した計画経済は破綻し、その真逆である自由放任のレッセフェールも全くと言っていいほど機能しなかった。

筆者は第3の道として、変化をむしろ歓迎する適応主義的な組織づくりに太鼓判を押していて、その典型例としてトヨタのカイゼンを持ち出している。

トヨタではその昔、「アンドン」と呼ばれるヒモをいくつも天井から吊り下げていた。

アンドンは非効率なことが起きたときに、その近くの作業員が引っ張り、全体にアラートするという機能があった。つまり、アンドンが引っ張られることは決して朗報とは言えないわけだ。

ある年、前年と比べてアンドンが引っ張られた回数が大きく減った。

本来は、喜ぶべきことであるはずだ。

ところがトヨタの会議ではそうみなされなかった。

アンドンの回数が減るということは、問題が発生しているのに支援を求めていないのではないか、そのように扱われたのだ。

失敗が適応の最前線をなすというDNAが現場に浸透している、何よりのエピソードといえよう。

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4人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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レポート
yasuji
進化論におけるマルチレベル選択理論の社会科学への応用
2020年3月4日に日本でレビュー済み
　生物学から人間社会を考えるときに、よく引き合いに出されるのが蜂（ハチ）と蟻（アリ）である。そこで本書の表紙が蜂になったのだろう。しかし本書は蜂の研究を人間社会に応用したものではない。本書の表紙は誤解を生みやすい。ちなみに英語版原書は、人が多数集まって上向きの矢印を形作っている。
　著者のD.S.ウィルソンは、進化論におけるマルチレベル選択理論の提唱者のひとりで、提唱者本人が自らの理論の応用を著した本書の翻訳は、大変興味深いものがある。とはいえ、‘訳者あとがき’にもあるように、本書はわかりやすさを重視した科学読み物なので、進化論を詳しく知ろうとする読者には物足りないものがあろう。それに、「本書の課題は、政策立案が生物学の一分野であることを示す点にある。（p.73）」とあり、自説のマルチレベル選択理論へのこだわりはあまりない。

　マルチレベル選択理論（multi-level selection）とは、その前身のグループ選択（group selection）を拡張したものである。進化の自然選択は、個体のレベルで起こるのが普通のことと考えられているが、グループ選択はグループ単位で起こるとした（Wynne-Edwards 1962）。有名な動物行動学者のローレンツも、動物の行動は種にとって生存優位をもたらすものだとして、グループ選択に賛同を示した（Lorenz 1966）。ところが、G.C.ウィリアムズや利己的遺伝子で有名なドーキンスなどの進化生物学者から、自然選択は個人のレベルで起こるとの多数の批判があり、これが現状での常識となっている。
　著者たちは忘れ去られたグループ選択を復活させ、マルチレベル選択理論として拡張した（Wilson & Sober 1994）。自然選択は、個人レベルばかりでなく、遺伝子、細胞、身体組織、種内のグループ、そして複数種が織りなすエコシステムそれぞれのレベルをカバーするとした。
　エピジェネティクスという遺伝子の研究分野では、DNAの2％（2万個）が遺伝子で、残りの98％のDNAはゴミといわれてきた。しかし、このゴミの役割が現在解明されつつある。また、DNAばかりでなく細胞質も重要な役割がある。遺伝子を取り巻く98％のDNA、さらにそれらを取り巻く細胞質と、階層構造になっているところがマルチレベル選択理論に似ている。遺伝子だけを対象とすることは時代遅れになりつつある。

　すべての学問は人々のウェルビーイング（Well-being：幸福）に寄与しなければならない。それにはグループの存在が重要で、うまく機能するグループは個人の幸福のためにも必要であると著者は主張する（p.155）。マルチレベル選択理論は、個人、種内のグループ、複数種が織りなすエコシステムそれぞれのレベルをカバーするが、発想の基にあるグループをおもなターゲットにしているように思える。本書もまたグループが中心で、第6章は‘グループが．．．．’であり、第７章・第8章は‘グループから．．．．’となっている。
　個人がうまく機能するといえるように、グループも機能しているかどうかを問うことができる。著者はこの‘機能’に注目し、ローレンツと共にノーベル賞を受賞したティンバーゲンの四つの問いを多用する（p.54）。グループに適用すると想定して、「そのグループが担う機能は何か」「その機能はどのような歴史で進化したか」「その機能を実現するメカニズムはどのようなものか」「そのグループはどのように形成されてきたか」と翻訳できよう。この四つの問いを現実のグループの評価に使うことを著者は推奨する。

　人々のウェルビーイングの実現には、彼や彼女が所属するグループからのアプローチが重要と考える者にとって、具体例を示した第6章以降が特に参考になる。「共有地の悲劇」を研究してノーベル経済学賞を受賞したエリノア・オストロムと、著者はいっしょに仕事をしたそうだ（p.156）。また、うまく機能している集団としてトヨタ自動車の例が紹介されている（p.275－284）。これら自分にとって既知な例は納得なのだが、既知でないものについては説明が足りないように思える。

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