植物の異常増殖現象によって、
『自然』が『文明』を覆い尽くそうとしている未来の地球。
緑に沈みゆく都会の片隅で暮らす少年悠登(ゆうと)のもとに、
一人の少女が訪れる。
少女の名前は、カナデ。
悠登が飼っている伝書鳩がきっかけで、
文通を交わしていた相手だった。
カナデは、手紙では言えなかった秘密を明かす。
それは地球人と宇宙人のハーフであること、
そして、歌で世界を救うことだった。
戸惑い驚く悠登の前で、カナデは歌で植物を鎮めて見せる。
「私は、お母さんの代わりに、
最高のラブソングを歌って世界を救わなくては
いけないんです。<
ですから悠登さん。
私と恋、してもらえませんか?」
「私は、お母さんの代わりに、
最高のラブソングを歌って世界を救わなくては
いけないんです。ですから悠登さん。
私と恋、してもらえませんか?」
母親は突然いなくなってしまって、
歌で世界を救う具体的な方法も、
そのために恋をする理由も、カナデにはわからない。
何もかもがあいまいで、雲をつかむような話だった。
それでも悠登は、カナデの真剣な想いに応えたいと望み、
恋をはじめることを決める。
そうしてふたりは、周囲にあたたかく見守られながら、
手探りで恋をはじめていく。
既に芽生えはじめている恋心を、お互いに気づかないまま。
恋に落ち、歌を奏で、世界を救う。
これは、少年と少女の出会いが世界に奇跡を起こす、
少し不思議な未来のおとぎばなし――