基本技術で書いた通り、ファミコンと MSX と SG-1000 は、共に 1983 年に発売されています。
しかし、MSX と SG-1000 は画面表示に 1981 年発売の LSI を使用しています。
これに対し、ファミコンは独自開発…つまり、1983年に完成した LSI です。
この2年間の差は大きく、ファミコンの方が表現力が多彩です。
その一方、パソコンとして作られた MSX と比べると、おもちゃとして作られたファミコンは、徹底して省メモリ化が行われています。
この影響で、制限は MSX よりも厳しくなっています。
表現力は高いが制限がきつい…これが MSX と比較したファミコンの特徴です。
80年代の画面表示技術(別ページ)
MSXの画面について(別ページ)
50年代の画面表示技術(別ページ)
ファミコンは色の扱いが複雑です。まず、このことから説明しましょう。
ファミコンは 52 色を使用可能でした。
MSX と同じく、アナログテレビ前提のため、RGB ではありません。
色相と輝度で表現する方式になっています。
色相としては、4bit が割り振られているため 16あります。
これを4分割し、赤4相、青4相、緑4相、無彩色4相です。
赤青緑の3グループは、輝度信号 2bit (4段階)により色が変わります。
この部分で出る色数は 48色です。
しかし、無彩色は輝度信号の影響をあまり受けません。4相ありますが輝度信号4段階を考慮しても4色しか出ません。
先ほどの48色と足して、52色です。
6bit の色信号で 52 色、というと不思議な気がしますが、ファミコンの色数は以上の理由で決定されています。
00 #757575 117 117 117 |
01 #271B8F 039 027 143 |
02 #0000AB 000 000 171 |
03 #47009F 071 000 159 |
10 #BCBCBC 188 188 188 |
11 #0073EF 000 115 239 |
12 #233BEF 035 059 239 |
13 #8300F3 131 000 243 |
20 #FFFFFF 255 255 255 |
21 #3FBFFF 063 191 255 |
22 #5F73FF 095 115 255 |
23 #A78BFD 167 139 253 |
30 #FFFFFF 255 255 255 |
31 #ABE7FF 171 231 255 |
32 #C7D7FF 199 215 255 |
33 #D7CBFF 215 203 255 |
04 #8F0077 143 000 119 |
05 #AB0013 171 000 019 |
06 #A70000 167 000 000 |
07 #7F0B00 127 011 000 |
14 #BF00BF 191 000 191 |
15 #E7005B 231 000 091 |
16 #DB2B00 219 043 000 |
17 #CB4F0F 203 079 015 |
24 #F77BFF 247 123 255 |
25 #FF77B7 255 119 183 |
26 #FF7763 255 119 099 |
27 #FF9B3B 255 155 059 |
34 #FFC7FF 255 199 255 |
35 #FFC7DB 255 199 219 |
36 #FFBFB3 255 191 179 |
37 #FFDBAB 255 219 171 |
08 #432F00 067 047 000 |
09 #004700 000 071 000 |
0A #005100 000 081 000 |
0B #003F17 000 063 023 |
18 #8B7300 139 115 000 |
19 #009700 000 151 000 |
1A #00AB00 000 171 000 |
1B #00933B 000 147 059 |
28 #F3BF3F 243 191 063 |
29 #83D313 131 211 019 |
2A #4FDF4B 079 223 075 |
2B #58F898 088 248 152 |
38 #FFE7A3 255 231 163 |
39 #E3FFA3 227 255 163 |
3A #ABF3BF 171 243 191 |
3B #B3FFCF 179 255 207 |
0C #1B3F5F 027 063 095 |
0D #000000 000 000 000 |
0E #000000 000 000 000 |
0F #000000 000 000 000 |
1C #00838B 000 131 139 |
1D #000000 000 000 000 |
1E #000000 000 000 000 |
1F #000000 000 000 000 |
2C #00EBDB 000 235 219 |
2D #757575 117 117 117 |
2E #000000 000 000 000 |
2F #000000 000 000 000 |
3C #9FFFF3 159 255 243 |
3D #BCBCBC 188 188 188 |
3E #000000 000 000 000 |
3F #000000 000 000 000 |
示した RGB 値は参考です。すでに書いた通り、ファミコンはアナログ放送電波を模倣するので、RGB出力ではありません。
各色、上行はファミコンの色番号、中行は 16進RGB値(CSS形式)、下行は10進RGB(0~255 R G B 順)です。
以下、余談に近い内容ですが…
右端の2列、0E~3F の部分は、1D と同じ色(黒)。
00 と 2D は、目視では同じ色。厳密に測定すると違う色(濃灰)。
10 と 3D も、目視では同じ色。厳密に測定すると違う色(薄灰)。
20 と 30 は同じ色(白)。
0D の部分は、1D よりも電圧の低い黒となりますが、これはテレビ信号の許容値を超えています。
この色は、ほとんどのテレビで「黒」として表示されますが、動作保証されません。
これらの目視ではわからない違いや、0D を色として考えるかにより、ファミコンの色数は 54色や 55色とされることもあります。
また、シャープのファミコンタイトラーは画像生成回路が異なり、内部で RGB 信号を作り出します。この RGB 色は、本物とかなり違うようです。
特に、2Dと3DはRGB回路では「黒」にされてしまっているため、この色を使ったゲームはひどいことになります。