仕事と勉強の両立を可能にする秘密兵器! メタ認知力を鍛える2つの方法

筆者が考えた “学びの振り返り” のための自問3つと、その答え

仕事と勉強の両立に悩んでいませんか? その解決の鍵は、意外にも「メタ認知能力」にあるかもしれません。

メタ認知能力は、自分の思考や行動を客観的に観察し、コントロールする力。この能力を高めることで、感情のマネジメントからミスの防止、的確な判断力まで、様々なスキルが向上すると言われています。

しかも、学習効率も大幅アップ! つまり、メタ認知は仕事と勉強の両立を目指す人の強力な味方になるのです。

今回は、日常生活の中で簡単に実践できる、2つのメタ認知トレーニング法をご紹介します。これを習慣化すれば、あなたの人生に驚くべき変化が訪れるでしょう。

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

メタ認知を鍛える「振り返り」と「協同学習」

今回紹介するメタ認知トレーニングは、「学びの振り返り」と「協同学習」のふたつ。この二つを選んだ理由は、1日の学びを振り返って自問したり、他者のやり方や意見を参考にしたりすることが、メタ認知の働きに合っているから。

認知心理学などを専門とする、大阪大学名誉教授・鳴門教育大学名誉教授の三宮真智子氏によると、認知は「頭を働かせること」、メタ認知は「認知の誤りを見直し正す」こと。そして「メタ認知を働かせること」をメタ認知的活動と呼ぶそうです。

そのメタ認知的活動には、以下ふたつの働きがあるとのこと。

  • 【メタ認知的モニタリング】:気づき・予想・点検・評価
  • 【メタ認知的コントロール】:目標・計画・修正

これらは下の図のように、循環的に働くそうです。

メタ認知的活動の図解「同じ問題を間違っている⇒復習を強化しよう」

(参考およびカギカッコ内引用元:日本心理学会|メタ認知の心理学 ※上の図は同記事内の図を参考に筆者が作成)

こうしたメタ認知的活動に、学びの振り返りと協同学習を当てはめてみると、次のようにうまくフィットします。

  • 【メタ認知的モニタリング】:
    学びの振り返り⇒同じ問題ばかり間違ってしまう。なぜだろう。何か足りていないのかな? もしかしたら復習かも。
    協同学習⇒私は同じ問題ばかり間違うが、Aさんは違う。Aさんは「朝、スッキリした頭で少しだけ復習している」と言っていた。これは参考にすべきだ。

  • 【メタ認知的コントロール】:
    ⇒復習を強化しよう。頭がスッキリしている朝に行なおう。

では、これらをふまえた具体的なやり方を見ていきましょう。

1. 振り返り方

効果的な振り返り方について、熊本大学大学院の前田康裕特任教授と戦略コンサルタントのピーター・ブレグマン氏の意見を参考にしてみました。

彼らが提案するのは、メタ認知を促す振り返りを意識して、就寝前に5分程度、自分自身に3つの質問をすることです。

前田氏によれば、単なる感想ではなく、気づきを伴う振り返りがメタ認知を促すそうです。例えば:

  • 「○○の本を読んで、学び方の視点が変わった。自分は少し無理をしすぎているかもしれない。仕事と勉強のバランスを見直そう」 → これは気づきがある振り返りで、メタ認知を促します。
  • 「○○の本の著者の視点は興味深かった」 → これはただの感想で、メタ認知にはあまり役立ちません。

このように、単に「面白かった」で終わらせず、自分の行動や考え方の変化につなげる振り返りが大切なんです。

つまり、気づきを得て改善策を導き出している前者が、「メタ認知を促す振り返り」です(参考およびカギカッコ内引用元:学校とICT|メタ認知を高め、自己調整力を育む「振り返り」を再考する)。

また、ピーター・ブレグマン氏によれば、同じような失敗をなくし、よりよい明日にする最も簡単な方法は、1日の終わりに振り返ることなのだそう。

その際には5分ほどかけて、“1日の成功体験や問題点、今日の学びと明日の計画、本日交流した相手とその関係性” といった、3つの自問を行なうといいそうです(参考元:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|1日の終わりの5分に自問すべき3つの質問)。

これらを参考に、“学びの振り返り” のための自問を独自に3つ挙げてみました。すぐ下は、この自問に対する筆者の答えです。

  • 今日学んだことは何か?
    ⇒答え:今日は朝食前に10分だけ、覚えたばかりの専門用語を見直し復習した。

  • 今日うまくいったこと・いかなかったことは何か?
    ⇒答え:たしかに頭がスッキリしていた。ただ、最初は要領を得ず時間をムダにした。しかも、覚えられた実感がない。復習の方針を決めて行なうべきだった。

  • 今日を明日にどう活かすつもりか?
    ⇒答え:次回は参考書を覆い隠して思い出す、簡単な想起テストを行ないたい。そうすれば時間をムダにせず、次に強化すべき箇所、覚えていない箇所もわかる。

筆者が考えた “学びの振り返り” のための自問3つと、その答え

実際には10分ほどかかったでしょうか。それでも長く感じることはなく、自分の学びに対して客観的になれたうえ、今後の方針まで決まりました。

これがなければ、不満を残すだけの日になっていたでしょう。ピーター・ブレグマン氏の言葉「同じような失敗をなくし、よりよい明日にする最も簡単な方法は、1日の終わりに振り返ること」を実感できた気がします。

また、客観的になり視野の広がりを感じたので、メタ認知も鍛えられた印象です。

2. 協同学習のやり方

明治学院大学文学部専任講師の星野真澄氏によると、他者との対話がある学びはメタ認知を育むそうです。

同氏いわく「一人で勉強しているときには気がつかなかったことでも、他者との学びあいのなかで、自分のよいところや自分の足りないところに気がつくことがあります」とのこと。そして、

他者との協同的な学びのなかで、「他者への理解を深めながら、己を知る」という生徒のメタ認知的活動を育むことが期待されています。

と伝えています。他者を理解することが、自分自身の理解にもつながるのですね(参考およびカギカッコ内含む引用元:寺子屋朝日 for Teachers|メタ認知とは?能力が高い人・低い人の特徴とトレーニング方法を紹介)。

それに、学んだことを他者に説明しようとする過程で、自分自身の理解も深まるといいます。協同学習は上手に学びながらメタ認知を育む、最適な方法かもしれません。周囲の気の合いそうな学習者を、誘ってみてはいかがでしょう。

もしもいなければ、生成AIの chatGPT を協同学習の相手と考えてみるのもひとつです。試しに「もしもあなたなら、出題範囲が広いと言われる行政書士試験の行政法の勉強を、どんなやり方で勉強しますか?」と chatGPT に質問してみると、

  • 全体像を把握して重点を置く箇所を決める。
  • 計画性が必要なので1週間の学習スケジュールを立てる。
  • アウトプットを意識した学習を行なう。

といった内容を、10通りほど教えてくれました。すでに知っている情報もありますが、「確かにそうだ」「なるほど」と納得させられる内容もあります。

あるいは特定のトピックを chatGPT に説明し、その説明がわかりやすいかどうか、正しいかどうか聞いてみてもいいかもしれません。

ちなみに chatGPT の回答は、質問者のパーソナライズ データを反映している可能性があるとのこと。一般的な答えではなく、質問者に沿った答えが返ってくるそうです。

筆者の質問に答えたchatGPT。その画面を撮影したもの。

言ってみれば、ユーザの属性を推定するターゲティング広告のようなものかもしれません。なんにせよ、chatGPT の答えはネット上にある情報を組み合わせたものなので、正誤を確かめるための調査は必要です。

ただ、別の視点を与えてくれるのは確かですし、その客観性がメタ認知トレーニングを促してくれるはずです。最終的には自分がよく確かめて判断すればいいので、ひとつの意見やアドバイスとして、参考にしてみてはいかがでしょう。

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今回は学びの質を高めるため、メタ認知トレーニングを実践してみました。個人的には視野の広がりを感じました。この方法を取り入れることでメタ認知が鍛えられ、学習力アップにつながるのでは、と期待できる結果でした。

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