10分で頭をリセット! 「ブレインダンプ」の驚きの効果

ノートに文字を書く人

仕事と勉強を両立したいのに、切り替えがうまくできない……。勉強中も、仕事のことやいろんな雑用のことを考えてしまって、集中できない……。

仕事、勉強、家庭や趣味など、たくさんのことを両立して生活している読者の方は多いと思います。すぐに頭を切り替えて別のことに取り組むのは至難の業。

そこで、上手に切り替えるための手段として「ブレインダンプ」をご紹介します。頭のモヤモヤを晴らすだけでなく、勉強の復習にも役立つ手法です。ぜひ取り入れてみてくださいね。

【ライタープロフィール】
柴田香織
大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。

記憶と集中に役立つブレインダンプ

ブレインダンプとは?

ブレインダンプという言葉を聞いたことはありますか?

ブレインダンプとは、頭のなかにあるさまざまなことを、紙にすべて書き出すことを指します。

ブレインダンプの効果

ブレインダンプを行なうと、どのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットは、以下のふたつです。

  • 思考の整理ができるため、今後の見通しが立てやすくなる
  • 頭の中をリセットでき、ストレス発散効果がある

「集中したいのに、なんだかモヤモヤして気が散る……」というとき、思いつくままに紙に書き出すことで、自分が何に気を取られているのかを明確にできるのです。そうすることで、いまやるべきこととそうでないことを整理でき、頭をリセットした状態で、目の前のことに集中できるわけです。

悩んでいる女性

また、ブレインダンプは勉強にも活用することができます。

スタンフォード大学オンラインハイスクール校長の星友啓氏によると、「復習はテキストやノートを見ずに脳の力だけで学んだことを思い出す『リトリーバル』が効果的」で、「特に学んだことを声に出したり、書き出したりして短時間に一気に思い出す勉強法『ブレインダンプ』」がおすすめなんだそう。(カギカッコ内引用元:日本経済新聞|スタンフォード流勉強法 脳科学生かし記憶力アップ)

リトリーバル——頭の中で学んだことを思い出すことの効果については、米国内科専門医の安川康介氏が以下のように述べています。

これまでの学習に関する数多くの研究から、何かを記憶するためには、それを積極的に思い出す作業や、脳みそから頑張って取り出す作業こそが、決定的に重要だということが明らかになっています。

(引用元:プレジデントオンライン|これが科学的根拠に基づく「最高の勉強法」である…「白紙を前にして繰り返し思い出す」が究極といえる理由)

覚えたことを思い出すことで、効果的に記憶できると科学的に証明されているのですね。そのための方法として、紙に書き出すブレインダンプがおすすめなのです。

ノートを書く女性

読者の方のなかには、「仕事のことでモヤモヤしてしまい、勉強に身が入らない……」という経験をした方もいるのではないでしょうか。

こまめにブレインダンプを行なうことで、思考をスッキリさせて仕事に取り組むことができます。さらに勉強の復習に取り入れれば、勉強効率も上がりますよ。

実際に筆者が、仕事と勉強の両方でブレインダンプを実践してみたので、以下でご紹介します。

仕事と勉強でブレインダンプをやってみる

仕事の合間にブレインダンプを試してみた

仕事を終え、勉強を始める前の10分間で、ブレインダンプを行ないました。ブレインダンプのコツは、とにかく浮かんできたことをすべて書き出すこと。仕事のことだけ、家のことだけ、と分けて書いた方がいいのではないか……と思いがちですが、ここでは区別なくすべてを書き出します。

筆者が書き出したのがこちら。

仕事についてブレインダンプをした紙

ブレインダンプをする前は「仕事でやらなければいけないことがいろいろある気がする……」とモヤモヤしていたのですが、書き出してみると、仕事に関してやらなければいけないこと以上に、身の回りの雑用が多いことに気がつきました。このように、一度紙に書き出してみることで、頭の中を客観視することができます。

ブレインダンプ自体はここまでなのですが、このままだと次に何をすればいいのかがわかりにくいですよね。

メンタルコーチの大平信孝氏によると、不安を解消するには、「紙の左半分に『不安に感じていること』を箇条書きですべて書き出」したあと、「書き出したものを眺めて深呼吸。紙の右半分に1つずつ対策や今できることを書いていく」といいのだそう。(カギカッコ内引用元:PHPオンライン|不安に押しつぶされそうな人へ...「脳の仕組み」を理解して心を落ち着ける1つの方法)

すべて書き出す、というのはまさにブレインダンプで行なったこと。それぞれに対して、対策やできることを書いて整理してみました。

整理をしたあとの仕事についてのブレインダンプの紙

こうしてひとつずつ整理することで、いつ何をやればいいのか見通しが立ちました。あとは、これをスケジュール帳に書いて調整するだけ。これで、無駄に焦ってエネルギーを浪費することを防げます。頭の中がとてもクリアになったのを感じました。

勉強の復習にブレインダンプを取り入れてみた

勉強の復習にもブレインダンプは有効です。筆者は、前日に基本情報技術者試験の参考書を読んでいたので、その復習をブレインダンプで行なってみました。

わずか10分程度で書き出したメモがこちらです。

勉強についてブレインダンプした紙

比較的覚えやすい範囲だったのですが、改めて書き出すと、すでに忘れている用語があることに気がつきました。

また、書いているあいだは、覚えたことが頭のなかで整理されていく感覚があり、記憶に定着しやすくなるのも納得でした。

ブレインダンプで頭の切り替えができ、暗記もはかどった!

ブレインダンプは、自分の状態を俯瞰して見られるようになる——つまり、メタ認知を上手に働かせるための手法なのだということに気がつきました。

たとえば、仕事のあと、頭の中をすべて書き出してみることで、現在自分が気になっていることを少し離れた視点で眺めることができました。また、勉強では、自分が覚えたはずの内容をあらためて書き出してみることで、実際はどれだけ身についたのかを客観的に観察することができました。

認知心理学などを専門とする、大阪大学名誉教授、鳴門教育大学名誉教授の三宮真智子氏は、「メタ認知を働かせることによって学習の質が高まり」、さらに「気持ちのコントロールにも役立」つと述べています。(カギカッコ内引用元:公益社団法人日本心理学会|メタ認知の心理学)

ブレインダンプは、学習の質を高め、気持ちを安定させる効果的な方法であると、科学的にも証明されているといえます。

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忙しい毎日ですが、週に一度でもブレインダイブを取り入れれば、スッキリした気持ちで仕事や勉強に取り組めますよ。筆者の場合10分で効果を得た実感がありました。メリハリをつけて生活したい人は、ぜひ試してみてくださいね。

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