【コベルコ神戸スティーラーズ/震災から30年 特集企画part.1】 「1.17メモリアルジャージ〜阪神・淡路大震災30年〜」ジャージのデザインにかかわった選手の思い

コベルコ神戸スティーラーズ
チーム・協会

「このジャージを着て試合をするだけでなく、神戸の皆さんを元気付けられるようなパフォーマンスをしたい」

1月19日(日)ノエビアスタジアム神戸で開催のNTTリーグワン2024-25第5節浦安D-Rocks戦にて「1.17メモリアルジャージ〜阪神・淡路大震災30年〜」をこの試合限定で着用して試合に臨むことを発表しました。発表から1ヶ月後の2025年1月17日、未曽有の被害をもたらした「阪神・淡路大震災」の発生から30年の節目を迎えます。1月19日に着用する特別なジャージのデザインに込められた思いとは。デザインにかかわった選手に話を聞きました。

1.17メモリアルジャージのデザインに携わった山中 亮平選手(右)と徳田 健太選手 【コベルコ神戸スティーラーズ】

兵庫県、神戸市をホストエリアとするチームとして忘れられない日である、1995年1月17日。午前5時46分、淡路島北部を震源地とするマグニチュード7.3の大地震が発生し、
兵庫県南部は大きな被害を受け、6,434人もの尊い命が失われました。

神戸製鋼所は本社ビルが全壊。
2日前に日本選手権7連覇を達成した神戸製鋼ラグビー部(当時)の練習グラウンドは液状化現象で変わり果てた姿になりました。
そこからチームは地域の方々と手を取り合い、神戸の街とともに復興を遂げてきたという歴史があります。

「阪神・淡路大震災を風化させず、伝え続けないといけない」

その想いから、チームは震災25年を境に毎年1月17日午前5時46分にチーム公式YouTubeチャンネルやSNSにてメッセージ動画を公開しています。

そして2025年1月17日、あの震災の発生から30年を迎えることになります。

「1月17日は、チームにとって大切な日。30年という節目に、このことをより深く心に刻みつけるため、特別なデザインのジャージを着て試合をしたい」

チームから声が上がったのは、今年1月のことでした。デイブ・レニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ(以下HC)はこの日に何が起きたのかをよく理解していると言い、チームとして2025年1月19日の試合に着用するジャージのデザインに取り掛かることになりました。

中心メンバーとなったのは、徳田 健太選手、山中 亮平選手、アーディ・サベア選手の3選手です。

芦屋市出身の徳田選手は、震災当時、1歳。
「僕自身、震災の記憶はないのですが、両親から当時の話を聞いていて、一時期僕ら家族は避難所で生活をしていたそうです。避難所となった体育館で僕はあちこち歩き回っていて、一緒に避難した方からお菓子をもらったりして可愛がっていただいていました」

大阪市出身の山中選手は、当時6歳。「家がめちゃくちゃ揺れて、母が寝ていた僕と妹に覆い被さって守ってくれたことをよく覚えています」と振り返ります。

サベア選手は、チームに合流してすぐに神戸の街を襲った震災のことや神戸製鋼所の社員が2ヶ月半で復旧させて復興の象徴となった神戸製鉄所「第3高炉」について説明を受けました。

徳田選手は
「両親から話を聞いたり、学校でもどれだけ街の人たちが大変な思いをしたのか、どれだけ復興に向けて苦労したのかを授業で学んできたりしてきています。兵庫県、神戸市をホストエリアとして活動するチームの選手として30年という節目に何かしたいという思いがありました。メモリアルジャージを着て試合をすることは神戸スティーラーズしかできないことだと思います」と頷きます。

デザインを考えるにあたりベースとなったのは、毎年1月17日に東遊園地(神戸市中央区)で竹灯籠にローソクを浮かべ「1.17」をかたどって、犠牲者への祈りをささげる追悼行事「1.17のつどい」、そして阪神・淡路大震災で犠牲になられた方の追悼と震災の記憶を後世に継承することを開催の目的に掲げている「ルミナリエ」の様子でした。

徳田選手がアイデアを出し、レニーHCの知り合いのデザイナーがデザインに落とし込んだそうです。

ジャージの色は鮮やかな光の粒がより映えるようにと、サベア選手が黒にしようと提案しました。
山中選手は「黒に1.17の文字が浮かび上がって、特別な日に相応しいデザインのジャージになったと思います」といい、あの日に思いを馳せます。

神戸に住んで来年で15年目。神戸の街に対する愛着は年々強くなっているという山中選手にメモリアルジャージを着て、どんなプレーを見せたいか問うと
「神戸の街を代表するチームの選手として地域の方々の思いを背負って毎試合戦っています。そういう意味では1月19日は絶対に負けられないですし、見ている方々に何か伝えられるようなプレーをしないといけない」と引き締まった表情。

徳田選手は
「メモリアルジャージを着て試合をするだけではなく、街の皆さんの励みや勇気を与えられるような良いパフォーマンスをしないといけないと思っています。そういう試合ができるよう、最高の準備をして臨みます」と言葉を強めます。

試合当日に選手が着用したメモリアルジャージは、試合後チャリティーオークションに出品する予定です。

神戸の街とともに歩んできたコベルコ神戸スティーラーズ。
チームには1995年以降生まれの選手も多くなっていますが、わたしたちには震災を語り継ぐ使命があると考えます。
メモリアルジャージにその想いを込めて、1月19日、ノエビアスタジアム神戸のピッチに立ちます。

取材・文/山本 暁子(チームライター)

黒に色鮮やかな光の粒が映える1.17メモリアルジャージ 【コベルコ神戸スティーラーズ】

<NTTジャパンラグビーリーグワン2024-25 第5節>
1月19日(日) vs浦安D-Rocks
12:05キックオフ @ノエビアスタジアム神戸
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著者プロフィール

兵庫県と神戸市をホストエリアとして、日本最高峰リーグ「NTTジャパンラグビー リーグワン」に参戦しているラグビーチーム「コベルコ神戸スティーラーズ」。チームビジョンは『SMILE TOGETHER 笑顔あふれる未来をともに』、チームミッションは『クリエイティブラグビーで、心に炎を。』。 ホストエリア・神戸市とは2021年より事業連携協定を締結。地元に根差した活動で、神戸から日本そして世界へ、笑顔の輪を広げていくべく、スポーツ教室、学校訪問事業、医療従事者への支援など、地域活性化へ向けた様々な取り組みを実施。また、ピッチの上では、どんな逆境にも不屈の精神で挑み続け、強くしなやかで自由なクリエイティブラグビーでファンを魅了することを志し、スタジアムから神戸市全体へ波及する、大きな感動を創りだす。 1928年創部。全国社会人大会 優勝9回、日本選手権 優勝10回、トップリーグ 優勝2回を誇る日本ラグビー界を代表するチーム。

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