全日本2位の宇野「まだ不思議な感覚」 男女5選手が一夜明けて心境を語る
なお、小塚、宮原、村上は来年3月の世界選手権(中国・上海)代表に、宇野、樋口は世界ジュニア選手権(エストニア・タリン)の代表に選出されている。
以下、一夜明け会見に参加した5選手のコメント。
宇野「4回転の種類も増やしていきたい」
順位よりも自分の演技ができるかどうかが大事だと語った男子2位の宇野 【坂本清】
(ジュニアの世界選手権だけでなく、シニアの四大陸選手権の代表にも選出されたが?)シニアの海外のすごく大きな大会に出るということで、今回の大きい舞台を経験して、次につながればいいと思います。世界ジュニアはジュニアグランプリ(GP)ファイナルで1位になって、周りから言われることも変わってきましたが、それでもファイナルと同じで、自分の満足いくその時々の一番いい演技ができれば順位が何位でも自分はうれしいと思います。(「自分の一番いい演技」のイメージは?)練習していったものが試合で出せればいいと思っているので、まずは試合に向けてどう練習するかだと思います。
(羽生結弦はノービスのころから一緒にやっていて、同期のような感じで一緒にシニアで戦うことを喜んでいるが、どう意識している?)「一生かなわないな」と思っている先輩だと思っています。(昔はそうじゃなかった?)いや、昔からずっと、僕はノービスの時も「すごい先輩だな」と思っていて。ちゃんとは覚えていないですが、今は「一生かなわないかな」という先輩だと思います。
(普段、羽生とはどんなことを話す?)スケートのことも少し話しますし、それ以外はそんなに話すことはないですけど、ゲームだったり最近はまっていることだったり、ちょこちょこ話します。(最近の話題は?)覚えているのはスケートのことです。技術的というか「試合、どうだった?」という感じで、自分の感想を言う感じです。
(トリプルアクセルと4回転を跳べるようになった一番のきっかけは?)きっかけや要因とかではなく、これまで練習してきたのが跳べた結果につながっていると思います。その跳べたというのが今年、たまたま同じ時期に跳べたからで、少しずつ練習してきたのがあったんじゃないかなと思います。(誰かのジャンプを参考にした?)そんなにないんですが、跳べない時もいろんな人に教えてもらったり、いろんな人のを見たりしました。跳べる数日前に誰かの(ジャンプ)を見たというのはなく、練習してきた結果がつながったのかなと思います。(難しいジャンプを跳べるようになったことで表現にも同じように力を注ぐのが難しくなっているのでは?)ジャンプが難しくなった分、ジャンプにすごい気をとられがちです。それがないように毎日練習はしていますけど、それがなかなか難しいです。確率がなかなか上がりませんが、確率が上がっていけば、他のところも少し気を配ることができてもう少し成長できるんじゃないかなと思います。
(今回の結果を受けて、山田満知子コーチや、樋口美穂子コーチからかけられた言葉は?)「よかったね」。それだけです。樋口先生にはジャンプも教えてもらっていますけど、スピンやステップが今までレベルが取れていなかったのを毎回毎回見ていただいています。それがあるから、FSはだいぶ取りこぼしましたけど、樋口先生がいたからここまでスピンとステップができるようになったんじゃないかなと思いますし、満知子先生はいるだけで気持ちが上がっていくような存在だと思います。(先生がもう1種類の4回転を増やそうとし始めていると言っていましたが?)最近、何本かサルコウをやっただけで、そんなにちゃんと練習したという感じではないですけど、まだまだ跳べないなという感じでした。
(全日本ジュニアの前に、練習では全然うまくいっていなかったと言っていて、実際に失敗したが、GPファイナルの前に急激に確率が上がったという感じだった?)確率はそんなに変わっていないんですけど、練習の仕方がすごく変わりました。全日本ジュニア前は4回転2本、アクセル2本を1日練習でノーミスですることがほぼなかったという感じだったんですけど、ファイナル前は4回転を1つ削りましたし、練習量も増やしてできるまでやっていたので、練習の問題だったのかなと。
(今年の大会を振り返って、1年間はどんな年だった?)大会を振り返っても、今までの1年の中で自分が一番成長したなと実感できる1年だったと思います。(来年の目標は?)新しい4回転の種類も増やしていきたいと思っていますし、シニアの人たちに遅れを取らないようなスケーティング、表現を来年は身につけていきたいと思っています。(平昌五輪は宇野選手にとってどんな存在?)平昌というか五輪が自分の中で夢の舞台で一度は出たいと思っていますけど、今は五輪のことは考えずに目の前の試合に向けてどう練習していくかを今は考えたいと思います。
小塚「みんな若いなと思います(笑)」
全日本を終えて「何よりも苦しいシーズンだった」と思いを口にした男子3位の小塚 【坂本清】
何よりも、今、練習していて、みんな若いなと思います(笑)。ついに町田(樹)君も引退してしまって、町田君がいれば年齢的に順番に並んでいけたのに、無良(崇人/HIROTA)君も2歳違いですし、村上(大介/陽進堂)君も2歳違いですし(小塚25歳、町田24歳、無良、村上は23歳)、スポーンと抜けて最年長になってしまいました。同年代のみんながいなくなって寂しいですが、でも、自分が(競技を)やりたいと思ううちは、頑張っていきたいと思います。
(町田の引退は?)僕は全然気がつかなくて、本当にびっくりしました。「話があります」ということだったので「報告があります。結婚します」とか、そういう話かと(笑)。代表発表だったから「そうか」と思って、何が何だか分からなかったのですが、率直にびっくりしました。
町田選手自身が新たな決断をする時期が来たのかなと思いました。フィギュアスケートに携わって応援してくれると思うので、フィギュアスケート界を外からも中からも盛り上げていけたらいいなと思います。
(引き際について思うことは?)引き際というのはどこがいいのか誰にも分からないです。自分の気持ちが決まった時だと思います。今回の町田選手には決める勇気が出た、決めても勇気が湧かなければ引退しないでしょう。僕は、決まった試合、ユニバーシアード(スペイン・グラナダなど、1〜2月)も世界選手権(中国・上海、3月)もしっかり競技を続けていきたいと思います。
(全日本を終えて感じることは?)何よりも苦しいシーズンでしたし、ミスが続いて、なにがなんだか分からなくて、自分の気持ちが乗っていないことに気がついた時に、「あの時に、気が乗っていなかったのかな」とか、「氷の上にはいるけど、心ここにあらず」みたいな。自分自身のことを確認しながらスケートができたのが今後のスケート人生に財産になるかと思います。全日本であれだけの滑りができて戻ってきたという点でも、スケートだけでなく今後の人生という点でも、自信になるのかと思います。
(世界選手権の後について)大学院も残っています。僕の研究はバイオメカニクスの分野をやっていて、動作分析をして、選手たちの無駄がないようにしていくことが研究の目的で、それをすることによって競技人生が延びるのかなと思います。その後に、競技に戻るか戻らないも分からないです。
(前日の記者会見での回転不足に関する発言について)選手が言うべきではないというのは分かっていますけど、一個人として、知識を持ち合わせた観客として見た意見です。回転不足(という判定)が女子では多く、それを気にしてタイミングを外したり、力んでしまい「女子ってすごいね、怖いね」と男子でも感じる思い切りのよさや勢いが、影をひそめたと感じています。(女子の選手は)回転不足を意識していると思います。パンクしたり、ステップアウトしたりというのは、間違いなく力んだり、高く上がって、いつもと違う感覚で下りているのは、男子のみんなと見ていても「パンクが多いね」というのは(話していました)。いつもの全日本の雰囲気だったり、勢いだったりを感じられなかったのは残念だったなと思います。
(回転を)全部認めろとは言わないですけど、詳細に基準を決めるといったことがあってもいいのかなと。ジャッジやスペシャリストによって、判定が全然違ってくるようなことは考え直してもらえると……。みんなが引きこもったような感じはなくなっていくのかなと思います。全日本のみんながはつらつとした演技が、男子が終わった後の女子で見たいと思います。
(リスクのある発言では?)個人として言うと、ジャッジに評価してもらう者として、言うべきではないと分かっています。誰かが言わないと変わらないと思いますし、それが「よし」とされる世界ではよくないと思います。最年長ですし、誰が言うかといえば、僕しか言える立場の人はいないのかなと思います。意見して文句を言うのではなく、話をして切り捨ててもらってもいいと思います。受け入れられても、切り捨てられてでも、とにかく耳に入れて考えてもらうだけでも十分だと思い発言しました。
(来年の目標は?)ユニバーシアードと世界選手権に出ることしか決まっていないので、そこしか目指していないです。