全米でも話題沸騰!「上原浩治が凄いぞ」
27打者連続アウトの“完全試合”
Rソックスの新守護神・上原の快投に全米も大注目! 【写真は共同】
レッドソックスの代役クローザーを務める上原浩治の今季の投球内容は、それほどに圧倒的なものがある。最近はアメリカ国内のメディアに取り上げられるケースも急増中。そして、現地時間9月8日までニューヨークで行なわれたヤンキースとの大事な4連戦中に、その注目度もピークに達した感があった。
6日のゲームで9回の1イニングを三者凡退に抑えた時点で、上原は24試合、27イニング連続無失点。8月17日のヤンキース戦の9回2死に二塁打を許して以降、何と27人連続でアウトを稼ぎ続けて来たことになる。
上原自身は「(記録は)特に気にしていない」」と一蹴するが、レッドソックスのジョン・ファレル監督は「これで完全試合だね」とジョークを飛ばす。今季の上原はこの“3週間越しのパーフェクトゲーム”以前から目を見張る成績を残して来ており、監督にとっても“ゴッドセンド(天の賜物)”と呼びたくなるほど頼もしい存在に違いない。
6月10日以降の上原は38試合に投げて防御率0.23、被打率.085(130打数11安打)。K/BB、WHIP、防御率、奪三振、被打率、1試合換算の与四球率などは、メジャーの全リリーフ投手の中でもトップの成績である。
特に1イニングあたり何人の走者を出したかを示すWHIPは0.59という圧倒的な数字。MLB史上でも最もWHIPが低かったのは1990年のデニス・エカーズリーの0.61、2位は昨季のクレイグ・キンブレルの0.65(注/60イニング以上投げた投手に限る)だった。現時点での上原の数字がそれを上回っていることを考えれば、その支配力はすでに歴史的な域に達していると言ってもオーバーではないのだろう。
地区首位を快走する躍進チームの象徴
8月17日のゲームで二塁打を放ち、現時点で“上原を攻略した最後の1人”となったヤンキースのライル・オーバーベイはそう語る。
真っ直ぐ、スプリッターを絶妙の制球力で投げ分け、MLBの並みいる強打者たちを追い詰めて行く。基本的に常にストライクを先行させるため、相手に余裕を与えない。平均90マイルにも届かない真っ直ぐでメジャーリーガーたちを震撼させ続ける上原は、このまま行けばサイ・ヤング賞候補の1人に名前が挙がることにすらなるかもしれない。
開幕前の前評判は決して高くなかったレッドソックスだが、現在ア・リーグ東地区首位を快走し、今季メジャーで最大級のサプライズチームとなって来た。
シェーン・ビクトリーノ、ジョニー・ゴームス、マイク・ナポリといった“チームプレーヤー”としてのキャラクターに定評あった選手たちを集めた補強策が見事に的中。ジョン・ラッキー、ダニエル・ナバなど予想外の活躍を続ける伏兵も数多い。そんな中でも、上原ほど周囲を驚かせた選手はいないだろう。
年俸425万ドル(+出来高)という実績を考えれば安価な契約で入団し、瞬く間にリーグ有数のクローザーと呼ばれるまでに駆け上がった。そんな38歳こそが、躍進チームを象徴する存在と言って良いのではないか。