楽器メーカーのKORG、アメリカのロックバンドOK GO、そしてロンドンの名門デザイン系大学Royal College of Artのデザインプロダクツ部門に属するプラットフォーム21の生徒と講師によるコラボレーションプロジェクト「Hack n Roll」。このプロジェクトでは、ゲスト講師のOK GOのダミアン・クーラッシュが、新たなツールを作るベースとしてKORGから提供された様々な機材の使用方法を指導。生徒は3グループに分かれて新たなツールの制作に取り組み、新たな体験をもたらす電子楽器が誕生しました。
このプロジェクトのテーマは「ステージパフォーマンスにおけるエンターテインメント性」です。現代の電子音楽はDAWが主流で、以前紹介した爆笑パロディ動画「2manybuttons」のように、ただボタンを押すだけで音楽は成立してしまいますが、楽器の演奏に比べて動きが少なくエンターテインメント性に乏しい部分があります。そこで、Royal College of Artの生徒たちに「既存のツールによって課される伝統的な制約から自由になれる、全く新たな楽器(または演奏空間)を創り出す」という課題が出されました。
出典:YouTube
Team OK | VISUAL AMPLIFICATION
OKチームのコンセプトは「映像の増幅」。『ループ』の概念を拡張させたこの作品では、KORGのMS-20 miniの回路をハックして、OK GOの楽曲「Another Set of Issues」のベースラインとなる4音のみを繰り返し発音し続けるようにセッテイングされています。ハンドルを回転させると、キーボードが回路に接触してベースラインが発音されます。
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Team G | FLOATING KEYBORDS
光とビジュアルを用いた演出で、オーディエンスに対して強烈なライブ体験と、アーティストへエレクトロニックミュージックのユーモラスなプラットフォームを提供することをコンセプトに作られたGチームの作品「浮遊するキーボード」。KORGのmicroKEY-37など8台のキーボードを連結して1台の大きなキーボードを構成するこの作品では、それぞれのキーボードの高さが音楽に合わせて変化し、歌詞に従って振り付けされます。
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Team O | CONTEMPORARY BUSKING
ストリートパフォーマンスの新しい形を提案したOチームの作品CONTEMPORARY BUSKING(バスキング=ロンドン地下鉄構内での音楽演奏)。KORGのシンセvolca keys、volca bass、volca beats、monotron、そしてパーカッションにWAVEDRUM Miniを使用した作品は、一人でも様々なサウンドをプレイして、ユニークな音楽を創り出せるようにデザインされています。volcaシリーズはフットスイッチでコントロールでき、arduinoを介してウルトラソニックセンサーに接続されているMonotronは、センサーで手の動きを感知して、音程をコントロールできます。
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どの作品も独創的でユーモアに溢れていますが、特にOチームの作品CONTEMPORARY BUSKINGは、実用性も高くて、楽器ができない人でも一人バンド的なパフォーマンスが楽しめそうですね。この作品を使った路上でのパフォーマンスは人目を引きそうですね。
テクノロジーの進化により、最近では音楽とビジュアルの融合が進んでいて、このような新たな手法を取り入れたパフォーマンスが話題を集めています。音楽とビジュアルとの融合は、エンターテインメント性を向上させる要素として、よりオーディエンスを楽しませてくれます。このようなユニークなパフォーマンスが増えていくことで、ライブへ足を運ぶきっかけとなりそうですね。