2006年 07月 17日
馬●の一つ覚えみたいに「Youtube等の新しい流れについて来れない旧来のメディアが悪い!お前らのビジネスモデルを生み出す努力が足りてないから、権利侵害が起きてるし、それも仕方ない」 という方が多いけど、まぁ、これを財産権・人格権を踏みにじる行為の言い訳にするあたり、道徳的に可哀想な人だなぁと思うけど。 じゃあ本当に「新しい流れにビジネスモデルがあるか」思考実験してみよう。 基礎数字。 日本の年間広告費・・・5兆9000億円。 うちテレビにおちる広告費・・・2兆500億。 ネットにおちる広告費・・・2880億円。 数字は電通資料室より。H17年の数字。 ちなみに日本の広告費は経験則的にGDPの1%とされている。 さて、テレビ業界が作るコンテンツ制作費は、この2兆500億円の広告費によって制作されている。 ここからは大変ざっくりとした数字しか出せないんだけど勘弁。 2兆円の広告費がテレビ局の収入の全てだと仮定する。 これの支出内訳、大まかに20%は代理店手数料、30%は電波料・残りの半分が制作費とする。 つまり、テレビ局は1兆円使って2兆円の価値の市場価値を作っている。 (あくまで仮定数字であって、試算はかなりいい加減だけど、まぁいいセンじゃないの?一般に言われるより電波料の配分を少なく制作費配分を大きく試算しているが、これは番組販売費からの収入を電波料からひいて、その分を制作費にまわしたため。スポンサードネットだけではなく、番販物の存在を考慮に入れた計算措置だと思っていただければ。) そして、テレビをそのままネットの世界に押し込むとする。 どんなビジネスモデルがそこで走るか分からないけど、「ネットの世界の情報は全て無料」との認識に従い、既存の広告モデルを使用する。 さて、ネットの3000億弱しかない広告費に、どうやってテレビの2兆円コンテンツを叩き込めるのか?・・・入るわけがない。 もちろんネットの広告費は年150%の割合で伸びていっているが、その金はYahoo!,google,mixiが金をごっそり持って行った後で幾万人ものアフィリエーターが食い荒らしている。 YoutubeがYahoo並に世間に認知されてPVを稼ぎ、(Yahoo以上の)年間2000億円の広告売上を確保し、その50%を素材権利元への払い出しに使うとして仮定しても、まだ1000億円にしかならない。 もちろん番組を選ぶ等すれば、なんとかペイできるかもしれないが、そこまでの努力をしなくても、まだテレビ局は余裕で生きていけるのだ。ナイス保護産業! 大体、ネット配信なんて小さなパイをとりに行くことは、失われるものの方がはるかに大きい。 ・番組販売が難しくなる。系列外地方局も、ネットに公開された番組を購入することをためらう可能性は高い。 ・番組制作に制約がかかる。最初からネット系には許諾ださない某Jとかのタレントを使うことが不可能になる。 ・著作権処理に多額のコストがかかる。特に外国曲の許諾なんて、交渉するだけでも莫大なコストがかかる。英語面倒だし。 それだったら、初回放送から時間差を設けて、DVD販売にをかけるほうが絶対に簡単。 権利処理も面倒くさくないし(権利者の許可が出やすいし)市場規模も6700億円だ。ネットの広告市場の2倍もある。 ネットに生きる人達は「世界はこんなに変わってるんだ!」とよく言い放つし、そりゃかなりの部分で真実でもあるが、世の中何も変わっちゃいないというのも真実である。 現状ネットの世界の広告費は全体の5%にも満たないのだ。 年寄りはFAXすら使えないのだ。で、そんな人間が日本の2割いる。 テレビ見てる人間とYoutube使う人間とどっちが多いのかって話だ。 もちろん、ネット広告費は前年比150%で伸びているので、(いつか成長率は鈍化するとは言え)間違いなくどこかのポイントでテレビと逆転する。それはGDP1%の基準がある限り必ず当たる予言みたいなもんだ。 でもその日が来るまで、多分テレビ局はネットに素材なんか流さない。そちらの方が商売になるからだ。 じゃあ、どうするか? そこはテレビ局に任せるんじゃなくて、ベンチャー企業の出番だ。 Youtubeに言われるようなコンテンツのプロモ効果があるとすれば、YoutubeでプロモかけてネットでDVD販売をすればいい。 ライバルとなるべきテレビ業界は、40年かけて産業として成熟してしまい(しがらみを増やしたとも言う)機知も機敏も失われている。そう、恐竜みたいなもんだ。 「ビジネスモデルが」とか文句言っている奴は、自分でベンチャーを立ち上げるのが一番いいのだ。 相手は時代遅れの恐竜だ。脚力と知恵さえあれば、怖いものじゃない。 で、どう?誰かやってみない?エンジェルとして金なら出すよ?
by soulwarden
| 2006-07-17 01:20
| 怒り
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