琉球アスティーダ 早川 周作|FUNDINNOで資金が“集まる会社”と“集まらない会社”の違いとは?2250万円調達のカギは「頼らない力」

※このインタビュー内容は2020年04月に行われた取材時点のものです。

琉球アスティーダスポーツクラブ㈱早川社長に日本クラウドキャピタルの“FUNDINNO”で資金調達した理由を聞きました。

早川社長

(2020/04/28更新)

琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社は、卓球プロリーグであるTリーグに参入する「琉球アスティーダ」の運営会社です。2019年12月、株式投資型クラウドファンディングFUNDINNOで151人の投資家から2250万円の資金を調達しました。同社は、沖縄発のローカルなスポーツチームでありながら、日本全国の投資家から応援を募ることを実現しました。

同社を率いる早川周作社長は、実は卓球の選手経験もなく、スポーツビジネスの経験もゼロでした。そんな同氏が、なぜ卓球チームを束ねることになったのか、そしてプロスポーツチームが株式投資型クラウドファンディングFUNDINNOから資金調達したのか、話を聞きました。

「FUNDINNO(ファンディーノ)」は、日本初の投資型クラウドファンディングで株式会社日本クラウドキャピタルが運営するプラットフォームサービスです。投資家が気に入った中小・ベンチャー企業に投資し、株主として応援することによって、企業の成長支援を実現しています。詳しくは、創業手帳の資料請求フォームよりお申込みください。

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スポーツビジネス素人から始めて初のスポーツチームの上場を目指す

-スポーツビジネスの経験がない中、卓球チーム運営に至る経緯を教えてください。

早川:これまで衆議院選挙に出たり、学生起業したり、いろいろなことをしてきましたが、スポーツ経験はほぼありませんでした。スポーツは全然知らなかった。卓球チームをつくった当初は、漫画の『稲中卓球部』を読んだ程度。取材に訪れた記者によく笑われましたよ(笑)。

もともと、この業界に参入するきっかけをつくってくれたのは元卓球のプロ松下浩二さんです。彼が『5歳で始めて15歳でオリンピックに出られるスポーツって、卓球しかない!』と話してくれて強く共感したんです。卓球って、貧富の格差を是正できる数少ないスポーツらしいんですよ。だから世界で活躍する卓球選手を私でも育てられると思いました。また、あらゆるシミュレーションを経てスポーツビジネスは今後成長する市場と思ったのもきっかけのひとつです。

しかし、立ち上げた当初は大変でした。プロリーグのチームを引き受けるための受け皿となる会社を取り急ぎ設立する必要がありました。当初、球団を立ち上げる際には前提条件としてスポンサー企業から6000万円を集められるはずだったんです。が、それがナシになり、資金はたったの100万円。そこが一番苦労しましたね。そこからエンジェル投資家から3400万円、ベンチャーキャピタルとテック系の企業から4000万円出していただきました。そして昨年12月のFUNDINNOで2000万円ほど集めていま約1億円の出資を得ています。

将来的にスポーツチームとして初の上場を目指していますが、IPOはあくまで通過点。琉球アスティーダが成功した後は、魅力はあるが、いまいち売上が立っていない他のスポーツチームのコンサルティングをして、JリーグやBリーグのチームともどんどんタッグを組んでいこうと思っています。スポーツビジネスが循環する仕組みをつくり、地域を元気にしていきたいと思っています。

スポーツビジネスは、“生の観戦”以外にも広がる時代へ

ー“アフター・コロナ”が話題になっていますが、スポーツ界にも影響はあるのでしょうか。

早川:現在、多くの企業がZOOMなどのオンラインミーティングに移行しているのと同様、スポーツでもその流れ(リモート)を加速させていきます。卓球は生で見てもおもしろいですが、オンラインで見る映像でも充分楽しめます。我々はYou Tubeチャンネルのほかにも、オンラインサロン、TikTokなど複数のSNSを駆使してニッチなマーケットでファンを増やす施策を強化していきます。

我々は、濃いファンを増やしていきたい。濃いファン層が集まれば、チームに落とす単価があがります。そのためにも、卓球をマイナースポーツから脱却させたいのです。そして、我々はすでに世界にも目を向けています。
新型コロナウイルスの騒動が落ち着いてから、中国の上海と青島で市民が卓球を楽しめるイベントをやろうと思っています。また、中国版ニコニコ動画のビリビリ動画のチャンネルも開設し、スタジアムに来なくても楽しめる卓球を提供したいですね。

影響のもうひとつが東京オリンピックの延期です。これをどう受け止めるか。私は“オリンピックのPR期間がさらに伸びたチャンス”と捉えています。現在進行形で対策が講じられている新型コロナウイルスによって、世界の連帯感は増しています。こうなれば、オリンピックがさらに注目される。ピンチはチャンスなんです。その間にスポーツ観戦のオンライン化が進めば、マーケットそれ自体の拡大を意味します。

テクノロジースタジアム”構想が生み出す真の価値

ー“スタジアムに来なくても楽しめる卓球”とはどのようなものでしょうか。

早川:生で観戦する魅力も、映像で観戦する魅力も同じくらい提供できる“テクノロジースタジアム”をつくりたいのです。実現するには、最新の高解像度カメラやドローン、データの提供など様々な企業とタッグを組むことになるでしょう。

たとえば、スタジアムで遠い席から試合を見るよりは、2階からカメラで試合をダイナミックに映した映像で応援したいという人も一定数いるはず。テクノロジーがあればそうしたニーズに応えることができます。

また、東大発のベンチャーとタッグを組み、スポーツと技術を組み合わせたプロジェクトを予定しています。『スポーツ×AI』や『スポーツ×VR』など、コラボレーションは無数です。

なお、こうした最先端のテクノロジーは、その技術をアピールする場がどうしても少ない。今後、最先端のテクノロジーを持っているのに、まだ光があたっていない会社をスポーツというプラットフォームでアピールしたいと思っています。

日本のスポーツビジネス経営における3つの課題

ー斬新なアイディアでチームをけん引されていますが、現状のスポーツビジネスの経営の課題とはなんでしょうか。

早川現在、日本のスポーツビジネスには3点課題があります。
1つはガバナンス。どんな風にお金が使われているかわからない。経理と財務が一緒の球団なんてざらにあります。これでは健全な経営ができるわけがありません。
2つ目はディスクロージャーされていないことが多いこと。自分が預けたお金がどう使われているかわからない会社に出資したくはありませんよね? PLとBSが見られない会社に出資はしないのです。私が琉球アスティーダを上場できる企業にしたいのは、PLとBSをすべてオープンにし、より広く出資を集めたいからです。
3つ目は一社もIPOできた会社がない点です。イタリアのサッカーチームACミランに代表されるように、海外のプロスポーツチームの中にはIPOしている会社が少なくありません。上場などEXITが期待できるならばより多くのお金が集まります。ところが、日本のプロスポーツチームは様々な制約から上場できていません。私はそういった前例を覆していきたいのです。

日本のスポーツ業界は、かなり保守的なのです。

収益モデルも多様ではなく、従来のスポーツビジネスは、チケット収入や来場者からの売上あげないと経営が厳しいという風潮でした。が、私は実はそうじゃないと思っている。チケット収入と来場者数だけで勝負する時代は終焉を迎えると思っています。動画配信やコンテンツによる収益もあってよいでしょう。
また、PR もどんどん異業種とコラボしてよいと思います。今夏には、意外なコンテンツとコラボレーションしたPRの発表を予定しています。

潰れない会社になるための“3つの車輪”

ーこれから起業を目指す人や経営者に向けて会社をつぶさないポイントはありますか。

早川:私は、会社は潰れないために“3つの車輪”が常に回っていなければならないと言っています。

ひとつが、日銭を稼げているか。弊社の事業の場合、卓球チーム以外にも飲食店とスポーツジムを運営しています。これは日々の資金繰りに困らないようにするためです。最近はこれにYou Tube配信が加わりました。新型コロナウイルスの感染拡大対策で、デリバリーとテイクアウト専門にしていますが、それまでは飲食店だけで一日100万円以上の売上が出ていました。毎日お金が入ってくる仕組みがあることはとても大事です。ここで固定費がまかなえるからです。

2つ目は、ストック収入。弊社の場合、コンサルティング事業がそれに当たるでしょう。これは月次ベースで入ってくるお金です。日銭に加えて、毎月かかる固定費をここでまかなえます。

3つ目が、内部留保がある上で始める新規事業。メーカーならば、資金調達をして新しい部品や機械を取り入れて新製品をつくるように、三ヶ月単位や年次で売上が入ってくる事業です。ここを掘ることで跳ねるビジネスを生み出すわけです。かつてのように、毎月赤字だけを垂れ流していつかドカンと大きな黒字を出す企業のモデルはなかなか生存するのが難しくなっています。

毎日、毎月必ず売上が入る仕組みをつくる。土台がしっかりしている企業でなければ、大きく飛躍することはできません。

FUNDINNOで資金調達したわけ――高みを目指すなら多くの力が必要

ーなぜFUNDINNOで資金を募ったのでしょうか。

早川:琉球アスティーダを世界にファンがいるチームにしたいんです。となると、多くの人を巻き込む必要があるし、タッグを組む相手も数人ではなく数百人数千人になるわけです。正直、資金調達だけが目的ならば今回FUNDINNOで調達できた2000万円なんて社長数人に声をかければ集まると思うんです。
それでも我々が151人の投資家の方から応援いただいたのは、たくさんの方に応援していただき、巻き込みたいからなんです。近くに行くなら、数人で充分。でも、遠くの見えない景色を見に行くなら、多くの人と協力しなければ絶対に行けないーー。

たとえば、私が六本木にいて、溜池山王まで向かうなら、2人でも行けます(六本木と溜池山王は2km程度)。私一人でも歩いて行けるし、ひと駅分疲れたら誰かに歩いてもらえればいい。でも宇宙まで行きたいなら、2人では絶対に行けない。ロケットの開発者からロケットに乗る人、燃料を運んでくれる人までいろんなスタッフが必要です。

FUNDINNOに資金調達をしようと思ったのは、元取締役である松田悠介さんからの、『FUNDINNOで資金調達すれば投資家25000人に一気に知ってもらえます』という一言でした。効果的なPRができると思ったのです。25000人に事業計画を見てもらえる機会はそうありませんから。こんな環境、なかなかないでしょ?

また、FUNDINNOで資金を集めた理由はほかにもあります。私は、これからのスタートアップは社会課題に対する解決策を提示しなければ事業として成長していかないと思っています。琉球アスティーダの場合、貧富格差と地方格差の是正がそれに当たります。こうした社会課題に関心を持っている人は沖縄だけでなく日本各地にいます。沖縄の会社だから、沖縄の企業からだけ出資を募る形は取りたくなかったのです。

FUNDINNOで「集まる企業」と「集まらない企業」。なにが違う?

ー琉球アスティーダがFUNDINNOで資金調達できた理由はなんでしょうか。また、資金が“集まる企業”の特徴とはなんでしょうか。

早川:株式投資型クラウドファンディングは、自社のビジネスを多くの方に知ってもらえ、プラットフォームを通してスピーディに数千万円の資金調達をしやすいというメリットがあると思います。約25000人の投資家を抱えるFUNDINNOもその例外ではありません。

だからこそ、私は思うところがあります。企業としてのPR戦略を考えるうえで、いままでの人脈やリソースを最大限使っている企業がFUNDINNOで資金調達できるのです。逆に、目標金額に達成できなかった企業の中には、FUNDINNOというプラットフォームに依存して丸投げしているケースが多いのではないでしょうか。
募集を開始したあとは、FacebookやTwitterで投稿するのはもちろん、事前に投資家の方に興味を持ってもらえるように自社サービスの明確な説明をしているページや動画を用意するなど、下準備が重要です。
事実、我々もFUNDINNOでの募集開始に合わせてSNSで一斉に応援をお願いする投稿をしました。

あくまで、FUNDINNOは助け舟ではなくタッグを組む相手。依存するのではなく、一緒にやっているという意識と行動をとるべきでしょう。すでに仲間や応援してくれる人がいる企業が、さらに仲間を増やすためにFUNDINNOを使う。

それがFUNDINNOで成功するコツなのです。

企業の成長を実現するならFUNDINNOを試してみませんか

早川氏も資金調達に成功したFUNDINNOは、主に中小企業やベンチャー企業向けに投資する「株式投資型クラウドファンディング」です。また、インターネットやSNSを活用して投資を募るので、これまでと違う交流がうまれるのも魅力の一つ。審査には事業のユニーク性など「事業そのもの」を重視しています。早川氏も、アイディアが秀逸だったので、FUNDINNOを含め、事業開始から1年半という速さで1億円の資金調達を実現しました。

従来の資金調達ではなかなか結果を出せずに悩んでいる方、今まで以上に企業を成長させたいとお考えの方、一度「FUNDINNO」に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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(監修: 株式会社日本クラウドキャピタル
(編集: 創業手帳編集部)



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