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まち歩きと建築祭が
好奇心の扉を開く
「まち」への愛を伝える仕事

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

東京駅ってかっこいいなあ…。

日本一のターミナル駅にふさわしい、赤レンガと白い石材の華やかな色合い。ドーム型屋根の曲線美。

そのエレガントで堂々とした佇まいにうっとりします。

今まで何気なく通り過ぎていた場所でも、一歩立ち止まるだけで景色は違って見えてくる。

つくり手の思いや歴史、ちょっとした観察ポイントを知ることで、「まちの解像度」は一気に上がり、気付かなかった面白さに出会えます。

合同会社まいまいは、京都と東京を拠点に、定員20名ほどの小さなまち歩きツアーを企画・運営している会社です。

NHKの人気番組「ブラタモリ」の京都編にも立ち上げ段階から企画協力や出演しているので、まち歩き好きなら知っている人も多いかもしれません。

地理に歴史に、建築、グルメ、植物、サブカルチャーなど、さまざまなジャンルの愛に溢れる専門家が、独自の視点でツアーガイドをしているのが特徴。

近年はまち歩きツアーから展開して、「京都モダン建築祭」「神戸モダン建築祭」「東京建築祭」の事務局運営も行っています。

今回は、まち歩きツアーの企画・運営スタッフと、建築祭事務局の企画・運営スタッフを募集します。

まちや建築が好きで、知的好奇心が旺盛。変化に対しても、楽しみながら柔軟に対応できる。

そんな人にぜひ読み進めてもらいたいです。

 

京都駅からバスで20分ほど。毎日新聞社京都支局が入るビルに合同会社まいまいのオフィスはある。

迎えてくれたのは、代表の以倉さん。

前回取材から1年半ほどが経ちましたが、お元気でしたか?

「前の募集時には6名ほどのメンバーでしたが、おかげさまで今は全体で20名ほど。規模感こそ変わってきましたが、熱量の高いメンバーが揃っていて、とてもいい雰囲気です。普段はリモート勤務と、現場での打ち合わせやイベント実施がメイン。京都メンバーは週に1回出社しています」

合同会社まいまいが手がける仕事は、大きく分けて2つある。

1つめは、2011年からスタートした「まいまい京都」「まいまい東京」というまち歩きツアーの企画・運営。

そして2つめが「京都モダン建築祭」「神戸モダン建築祭」「東京建築祭」の事務局運営だ。

「まいまいツアーでは、20名ほどの参加者に向けてガイドさんの愛情を、深くじっくり伝播させるイメージです。それに比べて、建築祭では『祭』という形で何万人もの人に、一斉に魅力を伝える。まいまいツアーと建築祭、どちらもそれぞれの面白さがありますね」

建築祭は、近代の名建築から意欲的な現代建築まで、多彩な建築が一斉公開されるイベント。

普段入ることができない貴重なエリアを見学できたり、専門家とともに巡るガイドツアーや、連携イベント、講演会などが実施されるのが特徴だ。

2022年の「京都モダン建築祭」を皮切りに、2023年からは「神戸モダン建築祭」が、2024年には「東京建築祭」がスタート。

建築好きを中心に評判を呼び、今では開催するたび大盛況。2024年の東京建築祭は初回にも関わらず、のべ6.5万もの人を動員した。

事業が大きくなるにつれて、京都オフィスはだんだんと手狭になってきたため、少し前に今の場所に引っ越してきたそう。

「ここは『特急ラピート』などを手がけた若林広幸さん設計のビルなんですよ。たまたま声を掛けていただいて、若林さん自身が事務所として使っていたフロアを受け継ぎました」

打ちっぱなしのコンクリートと楕円型の大きな窓が特徴的で、未来を感じるような、かっこいいデザイン。前回の京都モダン建築祭では、オフィスを公開して、参加者さんにも実際に見てもらったそう。

きっと設計者としても、建築への愛情がある人に受け継いでもらえたらうれしいだろうな。

「京都は古い建物が特に多く残っていますが、ただ残っているわけではなくて。つくる人、使う人、守り継ぐ人がいたからこそ『生きた文化財』として現存しています」

「建築祭では、建築を通してそんな人々の息づかいを感じて、まちに親しみを持ってもらいたい。京都の祇園祭のように、千年続く祭に育てたいし、誰もが祭の主体者になれる『みんなの建築祭』にしていきたいですね」

 

続いて話を聞いたのは、前回の日本仕事百貨の記事を読んで入ったという高原さん。

「もともとは転職と関係なく、読みものとしてサイトをよく見ていました。記事のなかで『まちの見方が変われば、ただそれだけで面白い』という話が印象的で、応募してみたんです」

これまではカタログ通販の大手企業で、Web周りと商品の企画開発を10年ほど担当してきた。その後、テキスタイルメーカーとWebサービスの会社を経てまいまいへ。

今はツアーの企画運営や、建築祭のWeb周りを主に担当している。

地元、秋田のまちおこしに興味があり、その準備段階として、夜には自分で日本酒とワインを出す飲み屋さんもやっているそう。

まいまいは業務委託で集まっているメンバーだからこそ、活動の幅も広いのがユニークだ。

「お客さんの反応を見るのが好きなんですよね。通販やWebの世界に長くいましたが、インタビューと商品レビュー、返品率は絶対にチェックしていました。まいまいの仕事も、目の前でリアクションしてもらえるのがすごくうれしいんです」

お酒好きが高じて、ワインの一種「シェリー酒」を飲み比べるまいまいツアーを企画したことも。

「散歩していたときに『良さそうな飲み屋さんがあるな』と思って入ったらハマってしまって。何度か通って、企画の話をしたら協力してくれることになりました。普段は静かな雰囲気のシェフなんですけど、ツアーのときはすごくノリノリで喋ってくれます(笑)」

シェリー酒のおいしさやシェフの人柄はもちろん、「トンネル路地の奥にひっそり佇む、大正期の蔵を改装した隠れ家店」というロケーションも相まって人気ツアーに。すでに3回開催して、毎回満員になっている。

建築祭では、チケット販売にあたっての外部サイトとの条件交渉や、新機能の開発などを担当した。

「以前サイトリニューアルや、Amazonや楽天の導入のために仕組みを整える仕事をしたことがあったので、その経験が活かされました。それがなかったら、もうちょっと拒否反応があったんじゃないかな」

京都モダン建築祭のときには、一緒に新機能の開発を進めていたWebサービス会社の方々が、東京から実際に足を運んでくれて「あの建築が面白かった!」と楽しんでくれた。

「インフォメーションに立っていたら、仲の良さそうなご夫婦から『どう回るといいと思う?』と相談されて、モデルコースがあってもいいのかなと気付かされたり。Webとリアルを行き来しながら試行錯誤できるのが面白いですし、現場で直接話して、笑顔で出発されていく場面に立ち会うと、モチベーションがぐっと上がりますね」

 

最後に話を聞いたのは、東京建築祭・事務局長の大久保さん。東京の自宅からリモートでつないでもらった。

背景のインテリアがとても素敵ですね。

「ありがとうございます。建築もそうですが、古道具など人の思いや息づかいが感じられる物が好きなんですよね。以前銀座で働いていたときには、近くに取り壊しが決まった古いビルがあって。最後に行かなきゃって、一生懸命見た記憶があります」

もともとは、ブランドデザインの会社で企画を担当していた大久保さん。

前回の記事にも登場している、京都モダン建築祭・事務局長の藤井さんとは10年来の友人で、誘われるがままに勢いでメンバー入りしたそう。

建築の所有者と施設の下見をする建築祭の打ち合わせはかなりの役得。

「普段入れない場所を見せていただけるのはうれしいですね。『この窓枠、萌えだな!』とか、行くたびにキュンキュンする自分がいます(笑)」

「建築の所有者や利用者にとっては、見慣れたものなので『ただ古いだけだよ』と言われることもありますが、『これはすごいものなんですよ!とっても魅力的です』って、参加者と同じ目線に立ってお伝えしています」

大久保さん自身がワクワクしながら魅力を気付かせてくれるからこそ、公開やツアーまで進めた建築も多いのだろうな。

具体的な仕事の流れとしては、開催の1年前から企画を立てて、建築祭を開催するエリアを決定。半年ほど前までに各建築と調整を進め、プログラムの概要を固めていく。

開催2ヶ月ほど前になったら告知を開始して、ガイドツアーの集客。入念に準備をしてイベント本番、となる。

1年前からということで、準備期間が長いのかと思いきや、これでもギリギリなのだそう。

「東京は次で2回目の開催なので、まだ慣れない部分も多いですし、参加してくださる建築数も多いので調整が大変なんです。たとえば建築内のどの範囲まで公開するか、この日は開ける開けない、鍵はどうするかなど、すべての建築の担当者さんと打ち合わせをしています」

立ち上げ時は、初回ということもあり、参加建築の調整に苦労した。

「施設側からすると『一般の知らない人が来るのは怖い』という状況でした。でも、クラウドファンディングのページが公開されて、東京で建築祭を開催するということを発表した途端、かなりの反響があって。私たちの想像以上に、世の中のみなさんが建築祭を待ち望んでいたんですよね」

以降、施設から「うちもぜひ参加してみたい」という問い合わせが来たり、施設間での紹介があったりして、参加建築数は急増。ガイドツアーは抽選倍率が10倍を超え、第1回は大盛況のうちに幕を閉じた。

予想をはるかに超える動員でうれしい反面、公式サイトのサーバが落ちたり、パンフレットが不足するという混乱も。イベント自体が1年に1回という性質上、トライアンドエラーのスパンは長く、実際にやってみないと見えづらい部分も多いのだとか。

「目指せ3万人と言っていたら、結果的にのべ6.5万人もの方に来ていただけました。そのぶん現場のスタッフさんたちに負担がかかってしまうのが申し訳なかったですが、まち中を黄色いパンフレット持った人がたくさん歩いている景色は圧巻でしたね」

「広告的に、大きなポスターを貼ったり街頭ビジョンにCMを流さなくても、こうやってまちの風景を変えられるんだって。びっくりしたし、すごくうれしい体験になりました」

成長中のイベントだからこそ、柔軟にものごとを考えられて刺激を楽しめる人にはぴったりな仕事だと思う。

 

建築祭やまいまいツアーを通して、まちや歴史を知り、人の営みを垣間見る。

そうすれば何気ない日常が、見慣れた場所が、もっともっと面白くなる。

あなたの好奇心と「好き」の力を、今こそ仕事にしてみませんか?

(2024/10/22 取材 今井夕華)

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