コードバンの靴を久しぶりに購入(といっても随分前ですが)したので、プレメンテナンスについても記録しておくこととしました。
カーフはいわゆる御手洗メソッドというものをベースに革の様子を見ながらプレメンテをしています。
カーフとコードバンでは性質が異なり専用のメンテナンス用品もあるくらいですが、最近はコードバン専用クリームはあまり使わずにメンテしています。
あくまで私なりの、ですがプレメンテナンス方法をご紹介します。
※カーフは以下でご紹介しています。
プレメンテナンスの目的
よく言われることかとは思いますが、購入した革靴がどのような状態で保管され、いつつくられたものなのかはわからないケースが多いです。
そのためプレメンテナンスは手元に来た靴の状態をリセットし、革の状態を整え極力均質にすることで、快適に履ける状態にするために行うものと思っています。
これは感覚的なものですが、ぽきっと折れるような皺が入るのは、革の状態が不均一で硬い部分と柔らかい部分が混在していると力のかかり方も不均一になることも少なからずあるかなと。
もちろん、革自体の質や足とラストの相性に大きく依存するので、気持ち的な部分も大きいですが、やらないよりはやった方がいいとは思います。
ホーウィン シェルコードバンを使ったカルミナのタッセルローファー
今回プレメンテの対象にしたのは、カルミナのシェルコードバンを使ったタッセルローファーです。ラストはフォレストで丸っこい柔らかい雰囲気のローファー。
カルミナの靴はこれで2足目ですがとても気に入っています。古いものではないのですが、少し表面にざらつきを感じたりする箇所もありプレメンテには最適な一足かなと。
このカルミナの詳細は以下でご紹介しています。
プレメンテナンス:基礎づくり
勝手に基礎づくり、と題しましたがまず初めは革の状態を整えることに重点を置きます。私がプレメンテの目的そのものと思っているところですね。
今回使った道具は12時の方向から時計回りに以下の通りです。
- 馬毛ブラシ
- ブートブラック ツーフェイスローション
- 豚毛ブラシ(ややコシの弱いもの)
- サフィール ナッパデリケートクリーム
- ブートブラック リッチモイスチャークリーム
順を追ってメンテナンスしていきます。
馬毛ブラシでブラッシング
これはプレメンテナンスに限らず基本中の基本かと思いますが、馬毛ブラシでアッパー全体をブラッシングします。
コバとアッパーの間なども念入りにブラッシングして、ほこりを取り払います。
ツーフェイスローションで汚れ落とし
ツーフェイスローションをよく振って、そしてクロス(私はいつも使い古したTシャツです)に500円玉くらいの大きさでとります。
そしてアッパーを手早く、そして優しく拭き取るようなイメージで。特にコードバンは水分を多く入れすぎると寝かしつけている毛が膨張し立ってしまいますので、同じ箇所を何度もやらず、かつ素早く全体を拭きあげるのがポイント。
のっぺりしている雰囲気ではなかったので、あまり汚れも無い程度でしたので今回は2回程度全体を拭くくらいでとどめました。
少し水分が入ったこともあって毛が立って全体的に白っぽく、くすんで輝きもなくなっていますが、油分水分を入れていけば戻りますので焦らずいきましょう。
ブートブラック リッチモイスチャーを塗り込み
続いてブートブラックのリッチモイスチャーを塗布していきます。このクリームはカルバナワックス等々、水分よりも油分の方が豊富に入っています。
コードバンはカーフよりも裂けやすいので乾燥にはより注意しないといけないのですが、特に油分が不足していると水分が保持できず抜けやすくなり乾燥もしやすくなります。なので油分(と、水分も)をしっかり入れてあげるのが重要かなと思います。
少量ずつ取ってアッパーに塗り込んでいきます。とろみのあるクリームで伸びも良く塗りやすいですが、こちらも全体にサッと広げるように。
その後、豚毛ブラシでアッパー全体をブラッシングします。
これも何が正解か難しいところではありますが、コシの強い豚毛ブラシで強くブラッシングすると毛羽立ってしまうということも言われており、毛足の長い豚毛ブラシ、もしくは馬毛ブラシでブラッシングするのがいいのかなと思います。
クリームを押し込む、というよりは満遍なくクリームを塗布しかつ余分なものは取り払うイメージです。
ナッパデリケートクリームでライニングを保湿
リッチモイスチャーを浸透させてる間に、ライニングも保湿します。
流石にビンテージシューズでも無い限りライニングがすぐ崩壊することなどないのですが、ライニングも柔らかい方が足なじみもよく履きやすいですから。
ナッパデリケートクリームを少量ずつ満遍なく塗り込みます。足の先、履いて足が接触しない部分にはクリームを塗布しすぎるとカビの原因の一つになると言われてますので、ボールジョイントくらいまで塗り込めば個人的には十分と思ってます。
全体をからぶき
クロスで全体を満遍なくからぶきして余分なクリーム等を拭き取ります。この辺りは普通の靴磨きと同様ですね。
この時点でも随分と綺麗に光っており十分な気もしますが、一日置いて仕上げの工程に移行します。
プレメンテナンス:仕上げ
履く前の仕上げに使ったのは以下の通りです。馬毛ブラシと豚毛ブラシを除くと、
- ブートブラック リッチモイスチャー
- モウブレイ ロイヤルクリーム
- ブートブラック レザーソールコンディショナー
前述の通り、コードバン専用の硬めのクリームも以前は使用していましたが、モウブレイのロイヤルクリームに出会ってからはこちらばかり仕上げに使っています。
こちらの方が瑞々しさが出て個人的に好みなのと、油分はリッチモイスチャーを始め他でも補給できるためです。
リッチモイスチャーを再度塗布して靴をよく揉む
基礎づくり同様に少量ずつ再度塗布。基礎づくりのところでも塗布しているので、多すぎないように少量で。その際、一緒にタッセルも軽くケアしました。
ここでも軽くブラッシングとクロスで磨き余計なクリームが残らないようにしています。
塗布したら靴全体を軽くマッサージするような感じで揉み込みます。左右ともに触ってみると意外と硬さが違ったりするんですよね。
今回のローファーは左がやや硬いかな?という感覚があり試着の際も右足の方が馴染みやすそうな、事実右足はすこし履きじわが入りました。
リッチモイスチャーとこの揉み込みで柔らかくなっていく感覚があります。気持ちの問題かもしれませんが笑
モウブレイ ロイヤルクリームを塗布
指先に少しつく程度の量を数回に分けて塗布していきます。こちらも多くなりすぎないように。
その後ブラッシングにクロスでのからぶきはこちらも変わらずですね。余分なクリームを残さぬように念入りにしっかりと噴き上げていきます。
リッチモイスチャーの段階でもふきあげると輝いていきますが、こちらの仕上げ段階ではより一層輝いてきます。
このコードバンらしくみずみずしい、ぬめっとした輝きはやはり唯一無二です。たまらん。
クロスでからぶきしたあとは馬毛ブラシか山羊毛ブラシでブラッシングしてもなお良いですね。
ソールコンディショナーを塗布
ここまできたらあとはソールのケア。ソールコンディショナーを塗布し、ソールもプレメンテします。
プレメンテの段階ではまず起こらないでしょうが、ソールのクリームも塗りすぎると、ヒドゥンチャネルの靴はその部分の接着が取れやすくなってしまうそうです。何事も適量が望ましいんですね。
ソールを乾燥させて、クロスでふきあげます。この工程はコードバンに限りませんが、ソールも乾燥しているより油分、水分両方与えて柔らかくしたほうが削れにくいので、重要な工程だと思います。
プレメンテナンス後
以上の工程を経た結果、コードバンらしい輝きとみずみずしさが増しさわった感触ももっちり感が出てきました。
革自体のばらつき(厚み等)は当然ながらあるため、プレメンテすれば全ての靴が必ず良い結果(例えばクラックが起きにくくなるとか、履きじわが綺麗に入るとか)になるとは断言できないと思いますが、やらないよりはやったほうがいいかなと思います。
皺入れはしない派
私は皺入れはせずにそのまま履きます。
皺入れ自体やったことがないので皺入れの良さもお話しできないのですが、歩くのに合わせて自然とつく皺が個人的には好きなので。
これは完全に好みの問題なので、どちらが良い悪いではないと思います。
履き下ろした結果
プレメンテをした後に30時間ほど履いた状態です。個人的には皺の入り方も悪くなく、コードバンの輝きも維持されてみずみずしい輝きがとても気に入っています。
右足の方が柔らかくフィッティングも良かったので左足よりも右足の方が皺が入っていて、少し左右差が出てきそうではありますが、この辺りはもっと履いていけば左右さは小さくなってくるでしょう。
この後は気になったら通常のケアを続けていく予定ですが、キリの良いタイミングでエイジング具合をご紹介します。
まとめ
プレメンテナンスも色々な方法があり、何が正しいのかは正直わからないのですが、私なりのプレメンテということでご紹介しました。
前述の通り、そもそもの革自体の質や足との相性にも依存する部分が大きいと思いますが、やらないよりはやった方がいい、くらいの気持ちでもいいかなと思います。
少しでも参考になれば幸いです^^
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