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Claude Code時代のソフトウェアエンジニア生存戦略

Claude Codeが変えた開発の風景

Claude Codeを使い始めて約1ヶ月経ちますが「Claude Codeを使ってから、開発の概念が根本的に変わった」と僕は思ってる。

ClineやCursor Agentの登場でもでも相当変わったと思う。でもClaude Codeはそれ以上の変化だと僕は感じている。何が根本的に違うのか。


  1. 自走力の高いClaude Code - ファイルを読み、修正し、テストを実行し、エラーを解決する。まるでペアプロしているような体験。

  2. コードを書く能力が高いClaude 4 Opus - 複雑なロジックも正確に実装できる圧倒的なコード生成能力。

  3. Claude MAXでの定額化 - API料金を気にせず使い倒せる。この「料金を気にしなくていい」という心理的な解放が、開発のアプローチを根本から変える。

CursorやClineは指示を出しても細かいところは伝えていかないといけなかったので開発を担ってくれるというイメージは持てなかった。
Claude Codeは自動運転に近くて目的地を設定すればほぼ勝手に走ってくれるイメージを持っている。

最近だと開発途中のソフトウェアのMySQLからPostgreSQL移行を約1日に仕上げてきて、驚いた。(ビルドもテストもLintも全部通してきました)
作業自体も寝ている間にかなりの量を仕上げてくれてびっくり(--dangerously-skip-permissionsを使った)

「実装スキル」の価値暴落

僕は以前から「実装できなければいいアーキテクチャを構築できない」と思っていた。このアーキテクチャが良いなと思っていても、実は実装してみると微妙だったりすることがある。実装してみて、運用してみないと最適なアーキテクチャは考えることができないと思っている。
ただ、その時によって最適だと思われるアーキテクチャでも未来永劫最適なアーキテクチャではないとも思っている

ただ同時に「適切に設計されていれば、必要な実装スキルは新卒程度でよい」という仮説も持っていた。Claude Codeを使ってみて、この仮説がある程度本当だとわかってきた。小さなコンポーネントに分解して指示を出せば、Claude Codeは期待通りのコードを生成してくれる。コンテキストが溢れることもなく、想定外のコードが書かれることもほとんどない。(※Claude3.7 Sonnet時代のCline、Cursorと比較して)
適切なアーキテクチャで設計されたソフトウェアは手数は多いがシンプルであることが多い。

手数の多さというのは人間がAIには勝てないので適切なアーキテクチャでありつづける限り、もう人間はAIに勝てなくなってきているということだと認識しています。

今まで、「適切なアーキテクチャ上で手数を武器にコードを量産してきたソフトウェアエンジニア」の仕事はAIに奪われつつあるという話。
今まではコードを量産することに価値が出ていたものに対しては量産する体制が整ったので価格は下がり、市場価値は暴落していく未来があります。

ポジショニング戦略という新しい競争軸

では、エンジニアはどう生き残るべきか。僕は「ポジショニング戦略」こそが鍵だと考える。

生成AIに取り組むべきかって問いに対して、「全員が取り組むべき」って単純な答えはないと思う。むしろ、取り組むことで激しい競争に巻き込まれるリスクもある。重要なのは、自分がどのポジションで価値を発揮するかを明確にすることだ。

5つのポジショニングパターン


1. AIディレクター型

Claude Codeへの指示出しのプロフェッショナルになる道。適切な設計、コンテキストの管理、タスクの分解など、AIを最大限活用する技術を磨く。

具体的には、大きな機能を小さなタスクに分解し、Claude Codeが理解しやすい指示を出す。プロジェクト全体のコンテキストを維持しながら、適切な粒度でタスクを管理する。大規模プロジェクトでは、このスキルが特に重要になる。

2. アーキテクト特化型

システム全体の設計や、技術選定、大規模な意思決定に特化する。

現時点のClaude Codeではソフトウェアにおける「継続性」と「発展性」を考慮した設計は当分人間の領域として残ると思われます。

3. ドメインエキスパート型

金融、医療、製造業など、特定領域の深い知識とエンジニアリング能力を組み合わせる。Claude Codeは汎用的なコードは書けても、業界特有の規制や慣習を理解した実装はまだ難しい。
特にクリティカルな領域だとまだまだ人間がレビューをして、人間に責任と取らせる必要が出てくるんだと思われます。

4. AI回避型

あえて生成AIが苦手とする領域で勝負する。組み込み系、リアルタイムシステム、セキュリティクリティカルなシステムなど、AIによる自動化が困難な分野に特化する。

5. ビジネス統合型

エンジニアリングスキルを持ちながら、事業成長に直接コミットする。技術の実装ではなく、技術を使ったビジネス価値の創出に焦点を当てる。

避けるべきポジション

汎用的な実装者

「なんでも実装できます」というポジションは最も危険だと思われます。Claude Codeが最も得意とする領域であり、真っ先に代替される。

技術スタック依存型

特定のフレームワークやライブラリの専門家というポジションも脆い。Claude Codeの対応力は高く、今後はどんな技術スタックでも対応できるようになる可能性を秘めている。

単純なコードレビュー

コードレビューの重要性は上がっているが、単純な指摘しかできないレビュアーの価値は下がっている。AIが形式的な問題を指摘できるようになったことで、人間にはより高度な設計やビジネス観点のレビューが求められる。

Claude Codeの侵食はどこまで進むか

現時点でClaude Codeが担っているのは主に以下の領域だ:

  • 機能作成や画面の実装(大枠)

  • バグ修正

  • リファクタリング

  • テストコードの生成

  • ドキュメント作成

今後1-2年で侵食が進むと予想される領域:
(※もしかしたら3ヶ月かもしれないとは思ってたりします)

  • 中規模の機能開発

  • APIの設計と実装

  • フロントエンドの画面実装

  • 簡単なアーキテクチャ決定

それでも人間の領域として残ると考えられるものz

  • ビジネス要件の技術への翻訳

  • 複雑なシステム全体の設計(特に継続的な発展を前提とした設計)

  • ミッションクリティカルな運用業務(移行作業やメンテナンスなど)

  • チーム文化の構築

  • ステークホルダーとの調整

  • 倫理的・法的判断が必要な決定

今すぐ始めるべき3つのアクション

1. Claude Codeを実際に使い倒す

まずは敵を知ることから始める。どこまでできて、どこからできないのか。自分の仕事のどの部分が代替可能かを冷静に分析する。

重要なのは、月額固定額にして「試行回数を増やして積極的に使い倒す」こと。心理状態が大きく変わることが、無視できない効果を生む。

2. ポジションを明確にする

上記の5つのパターンから、自分が目指す方向を決める。中途半端なポジションは生き残れない。

3. 代替不可能な価値を磨く

選んだポジションで必要とされる、AIには代替できないスキルを意識的に伸ばす。ドメイン知識、ビジネス理解、人間関係構築力など。

変化を恐れず、変化を活用する

変化を恐れていては生き残れないと思っていて、Claude Code時代(AI時代)において重要なのは、AIを敵視することでも、AIに依存することでもない。AIという強力なツールを理解し、自分のポジショニングを明確にし、人間にしかできない価値創造に集中することだと思っています。
たとえAIを使えこなせなかったとしてもポジショニングさえうまくやれば生き残ることは可能。

現代のエンジニアが求められている価値とはAIを使うことでもコードを書くことではなくて、技術を使って問題を解決することにあって、Claude Codeは求められていることを実践するための強力な武器になりえると考えています。

問題は、その武器を活用するか、その武器じゃない価値をいかに出していくために自分をどうポジショニングするか。

この記事がその戦略を考える一助になればいいなと思う。


なにかお困りごとありましたら、問い合わせいただけると幸いです。


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