アパレル業界の社会課題に取り組む、女性起業家の強く輝く想いとは
株式会社まるさんかくしかく 代表取締役 福井彩恵氏
蝶ネクタイやリボンチャームをつくる事業から始まり、現在高級カーテンの廃材を使ったオーダーメイドスーツを提供する株式会社まるさんかくしかく。
アパレル業界の廃棄問題を解決するべく、既製服ではなく無駄を出さないオーダーメイドにこだわる。
芸術大学のMBA(※1)で経営の知識や考え方を学び、芸術的な感性を活かした経営を手掛ける代表取締役 福井彩恵(さえ)氏の事業にかける想いを伺った。
(※1)MBA:経営学修士の学位。英語表記ではMaster of Business Administrationで略してMBA。経営学を修めたものに対して授与されることのある学位をいう。
“普通”が嫌だった子ども時代から培われた感性
子どものころから普通が嫌で、人と違う感性を持っていたという福井氏。
音楽に合わせて自己流でダンスを創作したり、ぬり絵をしたり、明るく活発な子ども時代を送っていたが、疾患(アトピー)を抱え、少し内向的になった時期もあったという。
そんな時、いろいろな洋服を着ることで、いろいろな自分になれることに気づいた。
こころが晴れ勇気づけられた。
自信を取り戻すきっかけになった洋服が大好きになる。
福井氏は宝塚造形芸術大学の社会人大学院 MBA in Designでブランディングや簿記など経営に必要な知識やスキルを身につけた後に、アパレル業界へ販売員として就職する。
アパレル経営を見据えたキャリアプランを描いていたが、人とのご縁からマスコミで著名な代表者が経営するITマーケティング会社に転職。異なる業界でマーケティングスキルを積んでいく。
その後高級オーダーメイドスーツの会社からの誘いを受け、入社。
多くのスーツを仕立てることになる。
しかし、ここで福井氏の大きな転機が生れる。
これまでは洋服が好きだからアパレルに携わってきたが、その間に徐々にある疑問が湧く。
MBAで学んだ「事業とは社会の課題を解決することである」という考えに今一度これまでの活動を振り返ってみた。
そして自分の視野の狭さに気づく。
アパレル業界が抱える社会課題と深く向き合うようになり、2019年ついに独立に至る。
環境省によると洋服1着当たり500mlのペットボトルで約255本分のCO2(二酸化炭素)が排出され、浴槽に約11杯分の浄水が使われています(※2)。(※2):出典:環境省 サステナブルファッションホームページより
最近ではフリマアプリやリサイクルショップなどでリサイクルされるケースも増えていますが、それでもゴミとして焼却・処分される量は66%にも及んでいます。
既製品では売れ残りが大量に出てしまうこともありますが、オーダーメイドなら受注生産だからそういった無駄もありません。
オーダーメイドの洋服をつくることで、廃棄問題を解決する意識の浸透になればと思いました。
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/
カーテン生地と出会い、シェアリングサービスへ事業を展開
そんな時、経営を学ぶべく入会した経営実践研究会(※3)の知人から、カーテン業界にも廃棄生地がたくさん眠っていることを聞く。
同じ繊維業界で起こっている課題を、企業同士で協力しあい解決して行こうという取り組みが始まり、そこから蝶ネクタイやバックチャームといった雑貨ブランド「gifted」「MUSUBI」を発案。
しかし、普段使いする小物では限界があり、それだけで収益性を出すのには時間がかかり過ぎた。
(※3)経営実践研究会:本業を通じた社会貢献活動を企業活動の主軸に置き、人財育成を行い企業経営を研究・探究する会。
そこで、原点に立ち返り、「このカーテン生地で本来の事業であるスーツを作ってみたらどうだろうか?」と思いつくことになる。
これまでは“スーツはスーツ生地でつくるもの”という固定観念に捉われていましたが、スーツ生地にこだわる必要はないことに気づいたんです。
カーテン生地は素晴らしかった。
さまざまなデザインのものがあり、唯一無二のスーツができあがりました。
あるお客様が2着目のスーツのデザインに迷っていた時、福井氏のジャケットをあれこれ試着。
その様子を見て、いろいろなデザインのスーツを着ることができるレンタルサービスがあれば、もっと喜んでいただけるのではないかと思い、スタートしたのがシェアリングジャケットサービス「Luciorta(ルシヲルタ)」だった。
女性は何歳になってもキラキラしていたいと思うもの。
そして、誰かに喜んでもらうことが自分の喜びだと感じることができる「母性」を持っているのが女性です。
事業とは本来、社会の課題を解決するためのものであるからこそ、女性が活躍することが、社会を明るくすることに繋がると考えています。
私はそんな女性事業家の方々にもっと輝いてもらえるアイテムとして、シェアリングジャケットサービス事業を立ち上げました。
たくさんのジャケットを着る中で、本当に欲しいジャケットが見つかればぴったりのジャケットをオーダーメイドすることが可能。
シンプルなものからデザイン性の高いものまで、さまざまなジャケットがあるシェアリングだからこそ、普段選ばないデザインにも挑戦でき、新たな魅力を見つけるきっかけにもなるという。
モノの循環は仕組みとアイデアだという福井氏。
素材を異なるモノに活用するにはアイデアが必要であり、人から欲しいと思ってもらえるデザイン性も必要になる。
今後はシェアリングジャケットサービスをもっと広く認知してもらい、女性が社会を輝かせる社会づくりに貢献することを目指し、第二のアップサイクル(※4)を模索中だ。
(※4)アップサイクル:廃棄予定であったものに手を加え、価値をつけて新しい製品へと生まれ変わらせる手法のこと。
株式会社まるさんかくしかく
本社:大阪市北区天神橋3丁目6‐5 BERNINI南森町408
オフィシャルサイト:https://marusankakushikaku.net/
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