FacebookグラフサーチとGoogle検索の違いを徹底解剖

公開日:2013/01/16

最終更新日:2024/02/16

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話題沸騰中のFacebookグラフサーチ、昨日も簡単な記事で紹介しましたが、今回はダニー・サリバンによるより詳細な解説を。特にGoogle検索との違いを丁寧に説明しており、表面的な機能以上にグラフサーチが狙っている本質を見極めたい人には有益な内容になっています。 — SEO Japan

facebook logo満を持してフェイスブックによるグーグルへの挑戦が始まった。しかし、大勢のエキスパートが予想は外れ、大幅に異なるフォーマットが採用されていた。フェイスブックはグーグルにチャレンジするために同社のデータを利用しているわけではない。フェイスブックは、グーグルやその他のサイトでは単純に実施することが出来ない新しいタイプの検索を提供しているのだ。

リンクといいね!のつながり

この新しいサービスをどのように表現すればいいのか分からない。「グラフ」と言う用語は個人的にどうも好きになれない – フェイスブックは「ソーシャルグラフ」、および、今回のフェイスブックグラフサーチ(日本語)で、そして、グーグルはナレッジグラフ(日本語)でこの用語を利用している。一般人として、モノの間のつながりを全く説明していないため、「グラフ」と言う用語に私は不満を抱えている。

通常のグーグル検索において、ユーザーが検索する対象のモノはウェブページであり、上位のページを特定する上で主に重要視されるのが、ウェブ上のリンクである「つながり(グラフ)」だ。リンクは、分かりやすく言うと票であり、特定のトピックに対して特に人気の高いページをグーグルが決定する上で役に立つ。

フェイスブックのグラフサーチにおいては、ユーザーが検索するモノはウェブページではなく、現実の世界のモノ – つまり、人物、場所、そして、物事のバーチャルな描写である。つながりは主にいいね!である。誰々がある写真、ある医師、あるレストランをいいね!しているだろうか?このような“いいね!”はフェイスブックの情報を束ねる紐のような存在である。

多次元検索

グラフサーチの検索の層、また、フェイスブック検索が実施する微調整もグーグルとは異なる。例えば、グーグル検索は、サンフランシスコ内のレストランをほぼ一つの次元で表示する。

フェイスブックの検索は、友達がいいね!したサンフランシスコのレストランを提示する。しかし、場所を限定し、サンフランシスコに住んでいる友達がいいね!したレストランを表示することも可能である。さらに、独身の友達がいいね!したレストラン、同性愛者ではない友達がいいね!したレストラン、同性愛者の友達がいいね!したレストラン、特定の企業に務める友達がいいね!したレストランに絞ることも可能である。

グーグル+のローカルを突き詰めていけばこのような検索に行き着く。グーグル+ローカルは、友達が気に入ったレストラン、または自分と似た人が気に入ったレストランを表示することも可能である。その他のタイプの微調整を行うことも出来る。しかし、フェイスブックのグラフサーチが持つ素晴らしいポテンシャルは、残念ながらグーグル+には存在しない。

  • 特定のクッキングスクールの従業員が運営するレストラン
  • ロンドンにいる友達が撮影した写真
  • 特定の企業で働く人達を友達に持つ友達 – 例えば、アップルの従業員を友達に持つフェイスブックの従業員
  • 企業を設立した元製品マネージャー
  • 友達がいいね!した映画

明るい見通し & 問題

ユーザーはこのような方法で検索を利用したいと望むのだろうか?例えば、2人の異なる人物がいいね!した書籍を全て見つけるために検索を行うだろうか?あるいは、オバマ大統領とクリント・イーストウッドをいいね!した人達の間で最も人気の高い曲を見つけたりするのだろうか?ローンチしてからしばらくの間は、このような好奇心に満ちた検索が行われるだろう。しかし、重要なのは、フェイスブックが発掘するつながりが大幅に増加し、フェイスブックグラフサーチが本格的に役に立つサービスに成長するかどうかである。

優れた配管業者、電気工、税理士、医師、歯科医が必要だろうか?このような質問は、通常、友達に尋ねる類の質問である。友達を信頼しているためだ。フェイスブックグラフサーチでは、実際に尋ねることなく、全ての友達に質問を投げかけることが出来る。検索をするだけで、友達が気に入った専門家を見つけることが出来るのだ。

ただし、この専門家がフェイスブックでプレゼンスを構築しているどうかに左右される。また、専門家を利用した人達がページをいいね!しているかどうかにも左右される。つまり、このつながりが存在しない状態では、フェイスブックは何も発掘することは出来ないのだ。

フェイスブックがグラフサーチのデモを行った際、私は幾つか上述したサンプルの検索を実行してみたが、その成果には目を見張るものがあった。しかし、フェイスブックを頻繁に利用しているフェイスブックのスタッフがデモを行い、同じようにつながりが多いその他のフェイスブックユーザーの知識を活用していたため、驚くような結果が出た点は否めない。端的に言うと、このようなユーザーは一般的なユーザーとは異なる。

つながりの少ないユーザー

電気工、配管工、医者、あるいは、税理士でフェイスブックをいいね!せず、彼らがフェイスブックでページを持っているかどうかも私は知らない。この点に関しては、フェイスブックの友達に紹介できるような情報は何も持っていないことになる。

同様にキンドルで私は多くの書籍を読んでいるにも関わらず、フェイスブックで読んだ本をいいね!していないため、私が好きな本はフェイスブックでは存在しない。

フェイスブックもこの問題を理解しているが、検索が有益な情報をもたらしてくれることをユーザーが理解し、現時点で欠けている可能性のあるつながりを構築する取り組みを行ってもらいたいと願っているようだ。

「つながりを作る理由が一つ増えたことになる。私達はこの機能の存在によって、つながりを作る行為が促進されることを望んでいる。」とフェイスブックの検索製品の開発に密接に関わるプロダクトマネージャーのトム・ストッキー氏は述べていた。ストッキー氏は続けて「しかし、初期の段階では[ユーザーのつながりのレベル]によって、グラフサーチのユーザーエクスペリエンスに確実に差が出るはずである。」と指摘している。

フェイスブックのアクティビティに対する優れた検索

差し当たり、イェルプやリンクトインのタイプの製品として利用するほどの力がなかったとしても、少なくともフェイスブックグラフサーチは、今よりもフェイスブック内部での検索は改善されるはずである。例えば、ユーザーはフェイスブックでいいね!した全ての写真を見つけることが出来るようになる。

フェイスブックがヘッドハンティングを行い、エンジニアリングのディレクターに迎えた元グーグラーのラース・ラムスセン氏は「これはこのシステムの最大の長所の一つに数えられる。」と言った。また、フェイスブックの検索プロジェクトを監督する立場にあるラムスセン氏は、「1日に2、3枚の写真をいいね!しているなら、以前いいね!した全ての写真を閲覧することは出来なかったはずだ。」と続けた。

フェイスブックの3つ目の視点

ラムスセン氏とストッキー氏は、グラフサーチが、ユーザーがフェイスブックを見る上での新たな3つ目の視点になると表現していた。ユーザーは既にタイムラインを持ち、関連するアイテムを見ることが出来る。また、ニュースフィードを閲覧し、友達の近況を発見している。そして、現在、「サーチの視点」で好きな情報を調べることが出来るのだ。

ストッキー氏は「フェイスブックは好きな視点を作る手段をユーザーに与えている。」と述べている。また、ラムスセン氏が指摘していたように、ユーザーは検索クエリを使って求めるページに“タイトル”を与え、フェイスブックはその下のコンテンツを埋める。

この新しいサービスは、フェイスブック初の「ベータ」製品であり、順番待ちリストに登録する必要がある。今後の数ヶ月間でグラフサーチは徐々に英語を利用するユーザーに展開され、その後、他の言語に拡大されていく。

フェイスブックは、ユーザーがフェイスブックで通常見る情報のみが検索結果で表示される点を強調している。この点を踏まえると、知られたくない情報が明かされるような状況は起きないはずである。既にシェアした人達以外には共有されないことになっているからだ。しかし、この新しい検索は、ローンチされた際のタイムラインと同じように、予想外の仕組みで、プライベートな情報が簡単に見つけられてしまう人達が現れると私は思う。

奇妙なことに、新しいサービスを利用することに決めたユーザーは、特定のトピックにマッチする投稿やステータスアップデートを検索することが出来なくなる。この点は今後改善されるだろう。しかし、フェイスブックは、このタイプの検索は滅多に行われていないため、なくなったことに気づく人はほとんど現れないと考えている。現在の検索機能があまり優れていないことがその要因の一つである。フェイスブックはこの問題の解決を目指している。

また、結果はパーソナライズされる。友達がいいね!したアイテムに限定して検索を実施するなら、それぞれの友達に対して他のユーザーが見る情報は間違いなく違うものになる。しかし、一般的な検索、例えば特定の街に住む人達が最もいいね!した楽曲を検索したとしても、自分の友達を若干贔屓した検索結果が表示される可能性があるとフェイスブックは指摘している。しかし、このような一般的な検索においては、比較的同じような結果が表示されるようだ。

それでは、例えば、ソフトウェアエンジニア達がいいね!した全てのテレビ番組を知りたい場合はどうだろうか?「私ならこのような検索は他の場所では行わない。」とストッキー氏は述べており、これもグラフサーチが役に立つ分野の一つと言えるだろう。

その通りである。なぜなら、これまでこのタイプの検索を行う場所が存在しなかったからだ。これはフェイスブックが検索に新たにもたらす独自の領域である。ユーザーによって、この検索がどのような方向に進められていくのか見守っていきたいと思う。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「How The New Facebook Search Is Different & Unique From Google Search」を翻訳した内容です。

Google以上にローカル検索においてはソーシャルグラフ情報と連携してより便利な答えを導き出してくれる可能性は十分にありそうです。しかしその答えがフェイスブック上に存在してないと、また「いいね!」をされていないと、適切な発掘はされない課題も当然といえば当然にあります。記事にはありませんが、Bingの検索結果を連携させるなど、グラフサーチ単体で完結するようにしてはいるようですが、さてこの新しいソーシャル・ローカル検索に対する需要がどれ位あるのか今後の展開が気になります。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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