ネット通販歴10年の経験で学んだECサイトSEOの8つの教訓

公開日:2013/06/19

最終更新日:2013/06/19

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今年頑張って更新頻度を高めにしてきたSEO Japanですが、6月は色々あって更新控えめで恐縮です。とはいえ、公開する記事はその分濃い目で、ということで今回はサーチエンジンランドからECサイトのSEOに関する有益な記事をどうぞ。 — SEO Japan

前回のコラム「SEOでEコマースの収益を2倍に増やした具体例」(日本語)のコメント欄で、クライアントのサイトに対して、実際に適用することが可能な具体的なeコマースSEOの手法を求めるコメントが寄せられた。

今回の記事では、eコマースサイトのSEOに10年以上携わった経験から得られた、貴重な教訓を紹介していく。以下の8つのeコマースSEO向けのアドバイスには、あらゆるオンラインビジネスに変化を与え、収益を後押しする手法が凝縮されている。

1. インフォメーションアーキテクチャ & URLの構造のSEOへの影響を理解する

E-Commerce SEO Tip #1

大半のSEOコンサルタントと同じように、ウェブサイトの開発プロセスの最後の段階、つまり、インフォメーションアーキテクチャとURLの構造が決定されてから、仕事を依頼されることがよくある。通常、サイトはほぼ完成している – あるいは、既にローンチされている状態である。

これはSEOにとって最悪の状況である。コンテンツの作成は終了し、製品カタログのインポートも終了している。検索エンジンはクロールとインデックスを終えている。既に顧客候補がサイトを訪問している。しかも、- SEOの観点から見て – 内部の構造が劣悪と言わざるを得ない状態になっている。

適切にURLの構造化を行っていない場合、内部のページは、サイト全体を強化するのではなく、お互いに競合してしまう。URLのパラメータ、セッション ID、そして、プリンタフレンドリなバージョンのおかげで、コンテンツが重複する問題がまん延している。ユーザーエクスペリエンスを強化する意図を持つ高度なフィルタリングと検索機能は、この問題を悪化させている。

通常、eコマースサイトのオーナーは、第三者を雇い、サイトの肉付けを行い、特別な機能の実装 & コーディングを行い、完成したサイトをアップロードする – これは、全てプロジェクト自体が完了する前に行わる。その後、様々な問題が発生する – そして、ある段階でサイトのオーナーは、コンサルタントに声をかけて、「SEOマジック」を期待する。SEOは、トラフィックを増やす上で効果があると言う噂を聞いたためだ。少しでもプラスに働くことは積極的にチャレンジする。

これは、SEOコンサルタントを最も困らせる状況(日本語)である。依頼するのが遅過ぎるのだ。多くの調整やコーディングのやり直しが求められる。それでも、ウェブサイトを一から作り直さなければ、マーケットのニーズを満たすことが出来ないサイトもある。このプロセスには、時間とコストが大幅に費やされる。

eコマースSEOのアドバイス #1: ウェブデザイナー、インフォーメーションアーキテクト、そして、SEOコンサルタントを初めからグループで作業させるべきである。すると、ウェブサイトは、より効果が上がり、より最適化が進み、そして、顧客候補が容易に利用することが出来るようになる。

仲間のコラムニスト、トム・シュミッツが、ウェブの構造と内部リンクに関して、SEOに最適なサイト構造と内部リンクの全て(日本語)の中で、適切なアドバイスを提供しているので参考にしてもらいたい。私自身もこの件を詳しく調査し、コンテンツをeコマースサイトに対して構造化する方法に関して実用的な提案を幾つか行っている。

2. 重複するコンテンツの原因を認識し、解決策を探す

新たなクライアントのためにサイトを分析する際、重大な重複するコンテンツの問題に遭遇することがよくある。全体のデザインとコードを修正することなく、この問題を解決するのは容易ではない。

コンテンツが重複する問題の原因は、不十分な計画、軽率なインフォメーションアーキテクチャ、そして、非直観的なウェブサイトの構造が該当することが多い。

eコマースサイトでは、URLパラメータ、セッション ID、そして、プリンタフレンドリなコンテンツのバージョンの利用が、この問題を発生させている犯人である可能性が高い。コンテンツ階層の通常の場所に加え、複数のカテゴリ[キャンペーン]や[オファー]で同じコンテンツが配信されている場合、さらに問題は悪化する。それぞれのシナリオを認識し、計画の段階で予防しなければならない。

eコマースSEOのアドバイス #2: コーディングを始める前に、ディベロッパーに重複するコンテンツの可能性と問題の解決策を把握させる。

デザイナーとディベロッパーは、高度な検索やフィルタリング、robots.txtファイル等の関連する問題、そして、メタディレクティブやロボットの除外の関連するメリットやリスク(利用するべきではないケースを含む)を熟知している必要がある。ページネーションもまたコンテンツの重複を生み出す可能性がある。また、グーグルに対して、正確なページネーションの属性を実装することも重要である。

3. 効率の良いリンク構造を用いて、リンクオーソリティを保つ

eコマースSEOプロジェクトにおいて、効果的なリンク構造は、インフォメーションアーキテクチャ、URLの構造、そして、製品の分類および整理の仕組みに左右される。論理的なカテゴリやサブトピックを割り当てるのではなく、場当たり的に製品を分類している場合、リンクのアーキテクチャは、SEOの観点から見て、効率が悪いと言わざるを得ない。

eコマースSEOのアドバイス #3: コマースサイト内の製品を、トピックおよびサブトピックに応じて、URLの階層に反映されるように、カテゴリとサブカテゴリに分類する。

こうすることで、eコマースサイトの最適化は強化され、人間のビジターに対するユーザビリティは改善される。新たに製品がサブカテゴリに加えられると、ブレッドクラムのナビゲーションが、URL階層内の各レベルに新しいURLを確保し、カテゴリページとホームページに遡る。サブナビゲーションメニューを特定のカテゴリに採用すると、高い階層に位置する、その他の関連するカテゴリにリンクを張ることが出来るようになる。

良質なキーワード分析を行い、完全一致のテキストを計画することで、事実上、内部リンク構築を自動的に実行させることが出来るようになる。新たに製品ページを加える度に(新しいランニングシューズ等)、URLの[shoes/running-shoes]を促進するだけでなく、同時にリンクジュースを高い階層にある[shoes]カテゴリにも送り込むことが可能になる。

関連するカテゴリにリンクを張ったセクション/カテゴリレベルのメニューを用いると、グーグルのクローラが、サイトの全てのセクションにアクセスし、その他のコンテンツとの関連性を考慮してページを確認して、容易にランクを決定させる効果が見込める。

一方、フラットなURL構造をもたらし、サイトの関連性の薄い部分にリンクを張ることがある、大きなメニューとドロップダウンメニューは避けておいた方が無難である。オーソリティ、パワー、そして、ページランクが漏れてしまうためだ。

4. SEOの自動化は(時折)有効

SEOに関して言えば、「自動化」と言う用語は、ネガティブな意味を持つことが多い。事実、私自身がSEOの「自動化」を回避する方針を持っている。しかし、自動化を促すことが有効に働く、例外のケースがある。例えば、プログラマーにオンサイトの要素(タイトルタグ等)をSEOのコンサルタントが決定したフォーマットを基に自動化してもらうケースが考えられる。

大量の製品を掲載するeコマースのストアでは、この取り組みは便利である。タイトルタグ等の要素を自動化して、適切なターゲットのキーワードを含めつつ、ユーザーフレンドリーな情報を提示させることが出来るためだ。

eコマースSEOのアドバイス #4: 大規模なeコマースサイトに関しては、新しいページに対して、SEOフレンドリーなタイトルタグとメタディスクリプションを作成する作業を自動化する方法をディベロッパーに伝える。

こうすることで、長期的に見ると全ての関係者の時間と手間を省くことが出来る – そのため、タイトルタグに通常費やす時間よりも長くかかっても、適切に実行することが肝要である。サイトワイドに展開される点を忘れないでもらいたい。タイトルタグとメタディスクリプションをeコマースサイトの製品ページに表示するコンテンツに応じて、言葉を選ぶ仕組みを技術者に対して、明確に指示する必要がある。

個別の製品名やタイトルをH1タグとタイトルタグで利用するだけでよい。ディベロッパーは、容易に、そして、速やかにプログラミングすることが出来るはずだ。また、ページのコンテンツ自体からテキストを集めて、製品ページに対するメタディスクリプションを動的に作成することも可能である。

申し分のない滑り出しだが、他にもやらなければならないことはある。リッチスニペットは、検索結果ページのCTRを高める効果がある。SEOコンサルタントが支援することで、ディベロッパーは、SEOの知識がなくても、素晴らしいタイトルやメタディスクリプションを提供することが出来るだろう。

5. 小さな反復プロセスは非常に効率が良い

計画に失敗すると、プロジェクト自体が失敗する。SEO戦略は全て重要だが、戦略および実装を行う際、ある要素が他の要素よりも重要になることがある – ここで「小さな規模でスタート」する方針が鍵を握る。

eコマースサイトのオーナー達は、全てを一度に変えようとする傾向がよく見られる。サイトを変身させ、全てのページをグーグルで上位にランクインさせようとするサイトのオーナーが後を絶たない。必要以上に変更を加え、効果が不確かな状態で、過剰に大きなリスクを取ってしまうのだ。

eコマースサイトSEOのアドバイス #5: サイトの一部に焦点を絞った小規模なプロセスを実施すると、飛躍的な効果が見込める。

変更をテストする必要がある。効果がある点を確認するのだ。何をするべきか、そして、どうするべきかを理解したら、サイト全体で変更を展開する。最も重要な変更点から手をつけよう。大半のディベロッパーやデザイナーは、仕事の時間が限られている。そのため、作業を第三者にアウトソースする際、スクラム、または同等のシステムを採用する可能性が高い。この際、重要になるのがタイミングである。一度に一つのタスクを割り当てる方が、通常、結果的に作業は捗る。

6. eコマースのトラッキングシステムを実装する

多くのウェブサイトのオーナーは、トラフィックの増加を、正しい方向に向かっており、賢く、効率的な取り組みを行っている良い兆候と見なす。しかし、トラフィックが売り上げにコンバートしていなくても同じことが言えるだろうか?

eコマースSEOのアドバイス #6: グーグルアナリティクスでeコマーストラッキングを有効にして、クライアントが実際に稼ぎだしている収益を把握する。

私のクライアントのほとんどは既にグーグルアナリティクスを利用している。コンサルタントとして、私は早い段階でeコマーストラッキングが設定/実装されていることを確認する。こうすることで、SEOの改善により、増加した収益の額が明らかになる。ページビュー、クリック数、あるいは、ランキングの増加よりも、実際の金額で成果を見せる方が効果的である。金額に勝るものはない。

サービスの価値を常にアピールしなくても済むなら、クライアントとの仕事は大幅に楽になる – エネルギーと集中力をより優先順位の高いアクティビティに投じることが出来る状況の方が、クライアントにとってもプラスに働くはずである。また、eコマーストラッキングは、クライアントのオンライン(またはオフライン)のマーケティングにおいて、効率的ではないセクション、または、ビジネスに十分な価値を与えていないセクションを素早く特定することが出来る。

データで武装することで、単なるグーグルの仲介者ではなく、eコマースビジネスの収益にとって有益な人物として認めてもらえるようになる。すると、採用期間が長くなる。私を雇う時間数について、クライアントが気にしなくなるのだ – 高いROIが実証されているためだ。SEOコンサルタントにとっても、クライアントにとってもお互いにメリットがある。

1年間で収益を100%増加させる計画を策定し、グーグルアナリティクスで進歩を共有しながら、計画を実行に移していくことで、提案した計画を実施し、最後まで実践する上で必要な支援と承認を得ることが出来るようになる。たった、10万ドルで1000万ドルを稼ぎだすことが出来るなら、反対する人などいるがない。抵抗ゼロで予算を確保することが出来るだろう。

7. 従来のSEOは今でもeコマースSEOに有効

従来のSEOは今でも十分に効果がある。eコマースサイトでは、製品ページのパフォーマンスが低いケースがよく見受けられる。コーディング、テキスト、そして、その他のコンテンツが原因になっている。また、製品の情報が少なすぎる、固有のコンテンツが欠けている、または、サイトの別の場所に同じアイテムが掲載されていることが、パフォーマンスを落としている可能性もある。

eコマースSEOのアドバイス #7: 製品に関すテキストが存在しないなら、上位にランクインすることも、検索トラフィックをサイトにもたらすことも不可能である。

コンテンツが必要である。イメージ、動画、そして、適切なキーワードのターゲティングが欠けているなら、競争の激しい分野で勝負するのは不可能に近い。ガイドやチェックリストを使って、適切な取り組みを行ってもらいたい。

まずは、サイトの別の場所、または、別のオンラインのリソース(競合者のウェブサイトやベンダーのウェブサイト)に掲載されているコンテンツを再び配信する行為は慎むべきである。重複するコンテンツはグーグルの怒りを買う可能性があり、上位にランク付けしてもらえなくなる。

8. ダッシュボードを作成し、金額を報告する

派手な写真やカラフルなグラフやチャートを用意するだけでは、クライアントを説得することは出来ない。ビジター数、クリック数、ページビュー数についてアピールするだけでは、疲れるだけで、厳しい表情の経営者達を納得させることは不可能である。何が言っているのか分からない人も多いはずだ。つまり、信頼してもらうため、そして、予算を確保するために、さらに労力を費やさなければならなくなる。

eコマースSEOのアドバイス #8: グーグルアナリティクスでダッシュボードを作成し、SEOの取り組みを介して得た金額を明確に示す。

その他のマーケティングミックスの取り組みと比較しよう。SEOの取り組みが利益をもたらしている点を証明することが、契約の続行を勝ち取る上で鍵を握る。ダッシュボードを作成して、最も重要な数字を提示するのだ。

金額に焦点を絞るべきである。これはクライアントからの信頼を高める上で効果がある。クライアントは、SEOコンサルタントのことを食物連鎖の高い位置にいる存在であり、優先する必要があると考えるようになる。「単なるSEOに詳しい人」と過小評価されることはなくなるだろう。

優れたSEOコンサルタントは、優れたウェブアナリストでもある。しかし、クライアントはこの点を理解していない。ダッシュボードを利用することで、クライアントに自分の価値を分かってもらうためのスライドやスプレッドシートのプレゼンを作るために時間を無駄遣いしなくても済む。すると、クライアントの収益をさらに増やすアクティビティに時間を注ぐことが可能になる。

その他の教訓 & 収穫

  • SEOは飾りではない。初期の段階で盛り込む必要がある、重要な材料の一つである。
  • そのまま利用することが可能な、既成のSEOが施されたeコマースプラットフォームは存在しない。SEOフレンドリーなプラットフォームは、インストール後にSEOのエキスパートが調節および最適化を実施することが可能である。
  • SEOは応急措置ではない。この考え方に固執すると、多くのセールスを逃してしまうだろう。

今回の投稿では、多くの大規模なeコマースサイトにSEOを実施した経験から得られたアドバイスを紹介した。今度は皆さんの意見を聞かせて頂きたい。

  • 今回のアドバイスに関する感想を聞かせてもらいたい。
  • 皆さんにとっての最も効果的なeコマースSEOのアドバイスは何だろうか?
  • SEOコンサルタントとして、eコマースのSEOを担当した際に、特にどのような問題に苦労させられただろうか?
  • 最後にその他に何か質問はあるだろうか?

考え、提案、そして、コメントを聞かせてもらいたい。効果的なeコマースSEOについて熱い議論を交そうではないか。

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「8 E-Commerce SEO Tips Gathered From A Decade Of Consulting」を翻訳した内容です。

10日ぶりの記事にふさわしい?、中々に充実した記事だったのではないでしょうか。私も現在、2つのECサイトを運用中ですが、ここに書かれた内容はどれも100%実用的&参考になりますし、改めて実践しきれてないと思うものもあり、早速担当者に伝えようと思った所です・・・(担当者さん、仕事増やしてごめんなさい)。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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