linux kernelに特権昇格の脆弱性( CVE-2017-6074 )
こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
02/22/2017にkernelのバグによる特権昇格の脆弱性情報(CVE-2017-6074)が公開されました。この脆弱性はImportantで広範囲なバージョン( 約11年前の2.6.18 (Sep 2006)以降全てです)に及ぶため、至急に対処が必要です。今回はこの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
(02/25/2017 00:40更新) RHEL 5版の対応も出ました
(03/06/2017 06:00更新) PoCの記事を別記事として公開しました
Priority
Important
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- CVE-2017-6074
- ローカルユーザの特権昇格の可能性
- 重要度 – Important
- DCCPサポートの部分に二重開放(double-free)の脆弱性があり、CONFIG_IP_DCCPを有効にしてビルドされたkernel(殆どのディストリビューションのkernelが有効にしています)で、これを利用してローカルユーザが特権昇格される可能性が有ります。
暫定対応方法
kernelパッケージを最新に上げることが出来ない場合には、暫定策として、
# echo "install dccp /bin/true" >> /etc/modprobe.d/disable-dccp.conf
などとして(上記はRHEL/CentOS系の場合の手順)再起動することにより、dccpモジュールを読み込ませないことで対応が可能です。再起動が必要になります
Ubuntuの場合には、/etc/modprobe.d/以下に下記のblacklist-dccp.confを作成して再起動します。
# For CVE-2017-6074 alias net-pf-2-proto-0-type-6 off alias net-pf-2-proto-33-type-6 off alias net-pf-10-proto-0-type-6 off alias net-pf-10-proto-33-type-6 off
また、RHEL7で最新のSELinuxポリシーを使っている場合には、この脆弱性を緩和することが出来ます。
補足:systemtapを使って回避する方法(band-aidと言われていますので、その程度のもの)もあります。詳しくは、https://bugzilla.redhat.com/show_bug.cgi?id=1423071を見て下さい。kernel-debuginfo / kernel-develのインストールが必要になります。また、この方法では再起動すると外れてしまうため、注意が必要です。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
https://access.redhat.com/security/cve/CVE-2017-6074
- RHEL 7
- RHEL 6
- RHEL 6.7 Extended Update Support
- RHEL 6.6 Advanced Update Support
- RHEL 5
- Oracle Linux
- Oracle Linux 7
- Oracle Linux 6
- Oracle Linux 5
- Oracle Linux UEK (5, 6, 7)
- ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2017/CVE-2017-6074.html
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat Satelliteを使うと管理が便利でしょう。
Red Hat Satelliteを用いた一般的なErattaの適用は、『Red Hat Satellite 6でerrataを適用してみる』を
参考にして下さい。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
http://seclists.org/oss-sec/2017/q1/471
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