国民投票があるから改憲を選挙の争点にする必要がないという主張に対する批判

今回の参院選での最大の(あるいは低く見積もっても主たる)争点が改憲の是非なのは言うまでもないんですが、それを否定しようとする人たちが用いる詭弁がタイトルの「国民投票があるから改憲を選挙の争点にする必要がないという主張」です。

なぜ改憲が争点といえるか

自公は現時点で衆院の3分の2の議席数(自民290、公明35、定数475)を保持し、今回は衆院を解散しません。また、おおさか維新(14議席)などは事実上の閣外与党で改憲を主張しています。
参院非改選では自民66、公明11、お維5、こころ3、元気2、改革1で、計88議席が改憲に賛同しています*1。
つまり、今回改選される121議席中、改憲勢力が74議席以上取れば、改憲発議が可能になるわけです。
改選前の議席数は、自民50、公明9、お維2、元気2、改革1ですから、10議席程度の積み増しで手が届きます。その他の勢力を考慮すると6議席程度でも可能です。
安倍政権の支持率や自民党支持率を考慮すれば、6〜10議席程度の積み増しは現実的に十分ありえるレベルです。

自公で改選議席数の過半数(61議席)というのが安倍首相が掲げた目標(勝敗ライン)ですが、自公の改選前議席数が59議席であることを考えれば達成できない方が異常です。この改選過半数という勝敗ラインで測れる争点はアベノミクスの是非*2でしょうが、たった2議席の積み増しを争点とすること自体馬鹿げています。参院選後もほぼ間違いなく、既に失敗している経済政策を漫然と続けることになるでしょうね。

参院での自公過半数割れという勝敗ラインもありますが、これはもっと問題になりません。非改選議席を77議席持っている自公が過半数割れを起こすには改選後議席数が44議席以下にならねばならず、改選前議席数が59議席であることを考慮すれば、ほぼありえない状況です。

可能性が皆無なのが、共産党との連立政権ガーという奴です。衆院解散しない以上ありえませんので論外ですね。安保法制を称する戦争法ですが、これを廃止することも衆院解散しない以上、不可能です。

現実的に生じうる事態としての争点は、改選発議可否とアベノミクスの是非くらいですが、アベノミクスの是非についても結局は衆院解散しない以上、仮に自公が改選過半数割れしたとしても参院過半数を維持する限り、実質的に見直しを迫ることもできませんから、せいぜい有権者が意思表示したという象徴的な意味のみで、それも政権が無視すればそれまでの実効性の薄いものに過ぎません。
結局、今回の参院選の主たる争点は、改憲発議可能な3分の2の議席数を改憲勢力に委ねるか否か、以外にありません。
まして、改憲を党是とし、悲願としてきた安倍政権ですからね。

国民投票で否決すれば関係ないとは言うけれど

国民投票するのだってお金がかかりますよね。衆院選では600〜800億円くらいかかるわけですが、箸にも棒にもかからないゴミ以下の自民党改憲案を否決するために600億円以上の税金を使うのを認めるんですかね?

どこをどう修正するのかは決めてないけど、改憲することだけは決めてます。費用は600億円かかります。

そういう政党に投票するの?って話です。

まして、つい直近、イギリスの国民投票でEU離脱派がデマを流した事例があったわけですし、自民党や産経あたりがいつも通りにデマを流して国民投票に持ち込むのなんてほぼ予定調和でしょう。

*1:その他1も考慮すると89議席

*2:安倍首相によれば、消費増税延期の是非ですが、野党が軒並み延期・廃止を訴えている以上、論理的に争点になり得ません。