Google でセキュリティを担当しているある重要人物は、連邦政府によって義務付けられているフィッシングメール訓練にうんざりしている。これには何のメリットもなく、IT チームが社員から嫌われるだけだと言うのだ。
マット・リントンは Google のセキュリティ対応とインシデント管理部門を率いている。毎年フィッシング訓練の実施を任されているリントンは、テストは消防訓練のサイバーセキュリティ版に変更すべきだと考えている。
今日のメール訓練は、昔の消防訓練により近い。つまり、何の前触れもなく建物の住人に降りかかり、後でその失敗を個人として非難する、火災避難訓練のようなものだ。
以降、建物にはより多くのセキュリティ機能が設けられてきた。リントンは、ビルの防火安全性を向上させた技術革新の例として、より広いドアや、そのプッシュバー式の出口設計、スプリンクラーを挙げた。これらはいずれも、個々の住民の訓練への対応を改善するために実施されたものではないが、共に生存率を高めた。今では消防訓練は計画が改善され、手順が上手く周知されている。
読者の皆さんなら、彼が言いたいことはわかるはずだ。このような初期の防火テストと現代のフィッシング訓練の類似点は明白だ。どちらの場合も、責任の重さは、それを取り巻くインフラよりもむしろ個人に課せられているのだ。
セキュリティ製品やメールソフトにフィッシング対策機能が組み込まれているにもかかわらず、フィッシング攻撃は増加していることが、調査で指摘されている。Zscaler の最新の年次フィッシング・レポートによると、過去 12 か月間でフィッシングは 58 % 増加しており、サイバー犯罪者による AI の幅広い導入がこの急増の要因となっている。